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第一話「月の光と胸の痛み」
008.ハチ退治にいこう!(2)
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次の瞬間、右上方と左上方、更には前方と後方の木陰から、大きなハチが束になって襲い掛かってきた。胴体の黄色と真っ黒の縞々がちょっと怖い。
「ルナ、まだ俺から離れるな」
『わかった!!』
キラー・ビーは人間の大人の半分サイズの肉食の魔物だ。それでも単体なら魔物としてはそんなに強敵じゃない。お尻にある毒針に用心さえすれば、ランクEの冒険者も倒せるだろう。
厄介なのはこうして群になった場合だ。今回は巣作りの最中だからまだ数が少ない方だ。
キラー・ビーは別名が軍隊バチとも言われているように、指揮官と兵士の部隊に分かれ系統立った狩りを行う。
数百匹に作戦をもって襲いかかられると、あっという間に毒針と鋭い牙で殺されてしまう。それから巣に持ち帰られ骨の髄まで食われたあげく、骨片だけが糞から発見される事態になるのだ。
こんなキラー・ビーの群れとの戦闘には、全体攻撃の呪文の使える魔術師が必要になる。部隊をまとめて叩けるからだ。同時に、全体攻撃はランクB以上の魔術師でなければ使えない。
――クルトが杖を高々と掲げる。そして、両手で一気に地面に突き刺した。
私とクルトを中心に紅蓮の魔法陣が浮かびまばゆく赤い光を放つ。魔力がごうっと音を立てて渦を巻き、クルトのマントと束ねた金の髪を宙に舞い上げた。直後に火炎が瞬く間にぐるりと魔法陣を取り巻き、大きな筒にも似た火の壁を作り上げる。
キラー・ビーの第一部隊が熱に驚き一歩下がった。それでもひるまず突進してきた兵士バチは、灼熱の鉄壁にわずかに触れるが早いか、車輪がきしむような断末魔とともに消し炭となる。
『キィィィイイイィィィッッッッッッ―――!!!!!!』
ぱらぱらとほんの少しの黒い煤が地に落ちた。この間クルトは一言も口にしてはいない。そう、クルトは魔術の発動に呪文の詠唱が必要ないのだ。
呪文は術者の魔力と風、火、水、土、光、闇の六元素を繋ぐ触媒のようなものだと聞いた。魔術師は呪文、魔力、六元素の三要素によって、「攻撃」「補助」「回復」の魔術を発動させる。
ふつうは触媒となる呪文の詠唱がなければ魔術は成立しない。ところが、ごく一部の天才と呼ばれる魔術師は違う。ただし、それはランクS以上でなければありえない――はずだった。けれども私には見慣れた光景で全然驚かない。
いっぽうキラー・ビーは数十匹の兵士を失ったものの、未だに第二陣、三陣が控えている。ただ、クルトの火の壁の威力を目の当たりにし、どう攻めるべきかを迷っているように見えた。
クルトはその隙を見逃さずに杖を土から引き抜くと、一歩前に踏み出し片手で宙を思い切り薙ぎ払った。その動きに合わせるかのように炎の壁が揺らめき、次の瞬間数百もの炎の玉となってはじけ飛ぶ。爆炎の威力に大地が上下にぐらついた。
『キィィィイイイィィィッッッッッッ―――!!!!!!』
風と一体になった炎の塊を真正面から受け、キラー・ビーの第一陣の生き残り、第二陣が炎に包まれ燃やされていく。何十匹もの黒焦げのキラー・ビーが地に落ちて転がった。まだ第三陣が控えているけれども、もうはじめの勢いは失っていた。
「今だ、ルナ――行け!!」
――私は大きく頷き地面を蹴った。
『ギッ!?』
「ルナ、まだ俺から離れるな」
『わかった!!』
キラー・ビーは人間の大人の半分サイズの肉食の魔物だ。それでも単体なら魔物としてはそんなに強敵じゃない。お尻にある毒針に用心さえすれば、ランクEの冒険者も倒せるだろう。
厄介なのはこうして群になった場合だ。今回は巣作りの最中だからまだ数が少ない方だ。
キラー・ビーは別名が軍隊バチとも言われているように、指揮官と兵士の部隊に分かれ系統立った狩りを行う。
数百匹に作戦をもって襲いかかられると、あっという間に毒針と鋭い牙で殺されてしまう。それから巣に持ち帰られ骨の髄まで食われたあげく、骨片だけが糞から発見される事態になるのだ。
こんなキラー・ビーの群れとの戦闘には、全体攻撃の呪文の使える魔術師が必要になる。部隊をまとめて叩けるからだ。同時に、全体攻撃はランクB以上の魔術師でなければ使えない。
――クルトが杖を高々と掲げる。そして、両手で一気に地面に突き刺した。
私とクルトを中心に紅蓮の魔法陣が浮かびまばゆく赤い光を放つ。魔力がごうっと音を立てて渦を巻き、クルトのマントと束ねた金の髪を宙に舞い上げた。直後に火炎が瞬く間にぐるりと魔法陣を取り巻き、大きな筒にも似た火の壁を作り上げる。
キラー・ビーの第一部隊が熱に驚き一歩下がった。それでもひるまず突進してきた兵士バチは、灼熱の鉄壁にわずかに触れるが早いか、車輪がきしむような断末魔とともに消し炭となる。
『キィィィイイイィィィッッッッッッ―――!!!!!!』
ぱらぱらとほんの少しの黒い煤が地に落ちた。この間クルトは一言も口にしてはいない。そう、クルトは魔術の発動に呪文の詠唱が必要ないのだ。
呪文は術者の魔力と風、火、水、土、光、闇の六元素を繋ぐ触媒のようなものだと聞いた。魔術師は呪文、魔力、六元素の三要素によって、「攻撃」「補助」「回復」の魔術を発動させる。
ふつうは触媒となる呪文の詠唱がなければ魔術は成立しない。ところが、ごく一部の天才と呼ばれる魔術師は違う。ただし、それはランクS以上でなければありえない――はずだった。けれども私には見慣れた光景で全然驚かない。
いっぽうキラー・ビーは数十匹の兵士を失ったものの、未だに第二陣、三陣が控えている。ただ、クルトの火の壁の威力を目の当たりにし、どう攻めるべきかを迷っているように見えた。
クルトはその隙を見逃さずに杖を土から引き抜くと、一歩前に踏み出し片手で宙を思い切り薙ぎ払った。その動きに合わせるかのように炎の壁が揺らめき、次の瞬間数百もの炎の玉となってはじけ飛ぶ。爆炎の威力に大地が上下にぐらついた。
『キィィィイイイィィィッッッッッッ―――!!!!!!』
風と一体になった炎の塊を真正面から受け、キラー・ビーの第一陣の生き残り、第二陣が炎に包まれ燃やされていく。何十匹もの黒焦げのキラー・ビーが地に落ちて転がった。まだ第三陣が控えているけれども、もうはじめの勢いは失っていた。
「今だ、ルナ――行け!!」
――私は大きく頷き地面を蹴った。
『ギッ!?』
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