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第一話「月の光と胸の痛み」
005.モフモフこそ最強説(3)
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ちなみにランクには上からSSS、SS、S、A、B、C、D、Eの八種類がある。ランクを上げるためには強いモンスターを倒すか、決まった数の依頼をこなして試験を受ける二つの方法がある。
Bまでは努力をすれば到達できるレベルだ。ところがAから上は才能が必要で昇格がとってもむずかしい。その分報酬額の高いソロでの依頼もぐっと増える。S以上は二つ名ももらえてギルドであっと言う間に有名になれる。
お姉さんは「Bの方でも十五ゴールドでしたら結構あるのですけど……」と申し訳なさそうだ。
「一時的にパーティを組むこともできますが? クルトさんは攻撃、回復、補助、一通りの呪文が使えますし、魔術師のいないパーティには引く手あまただと思いますよ。五組ほど魔術師の臨時メンバーを募集しているパーティがあります」
「いや……パーティはいい」
クルトは首を振りカウンターから身体を起こした。たぶん細かい依頼をいくつか受けるつもりなのだろう。
「じゃあ、十五ゴールドの仕事だな。さっそく申込書を書いてく――」
「あ、あのっ!! ま、待ってください!」
お姉さんが慌ててクルトの袖を掴んだ。目が「行かないで!」言っている。
「そ、その、Bランクのソロ可で三〇ゴールドの仕事がないわけではないんです。ただどうしてもそうした依頼はマーヤ市に市民権のある冒険者が優先されるのです。ただしそれも絶対と言うわけではなく、昨今ではそうしたクエストをこなせる人材も、なかなか市内にはおりません。で、そこから先は職員の裁量次第と言うことになっていまして……」
お姉さんは頬をぽっと赤くしクルトを見上げた。ああ、またかぁと私は生温かい気持ちになる。
人間の女の人にとってクルトは「いけめん」なのだそうだ。でえとや一夜のあばんちゅうると引き換えに、仕事を回すからと誘惑されることがある。私は今回もそれなのだろうと思い込んでいた。
ところがこのお姉さんのお願いは斜め上を行っていたのだ。
「肩の猫、小型のケット・シーですよね?」
……ん?
よく見るとお姉さんはクルトではなく、クルトの肩に乗った私を凝視している。目はぎらぎら、口からはあはあと熱い息が吐き出され、手はわきわきと動いていた。
「モフりたい……。モフって、そして……」
「み、みゃあっ!?」
私は嫌な予感に一気に毛を逆立てた。お姉さんがついに「たまんないっ!」と立ち上がる。クルトは勢いに押されカウンターから一歩引いた。
「あ、あの……?」
お姉さんはこほんと一つ咳を払うと、再び席に腰かけにっこりと笑った。
「あら、オホホ、私としたことが……。ところでその子、触ってもいいですか?」
Bまでは努力をすれば到達できるレベルだ。ところがAから上は才能が必要で昇格がとってもむずかしい。その分報酬額の高いソロでの依頼もぐっと増える。S以上は二つ名ももらえてギルドであっと言う間に有名になれる。
お姉さんは「Bの方でも十五ゴールドでしたら結構あるのですけど……」と申し訳なさそうだ。
「一時的にパーティを組むこともできますが? クルトさんは攻撃、回復、補助、一通りの呪文が使えますし、魔術師のいないパーティには引く手あまただと思いますよ。五組ほど魔術師の臨時メンバーを募集しているパーティがあります」
「いや……パーティはいい」
クルトは首を振りカウンターから身体を起こした。たぶん細かい依頼をいくつか受けるつもりなのだろう。
「じゃあ、十五ゴールドの仕事だな。さっそく申込書を書いてく――」
「あ、あのっ!! ま、待ってください!」
お姉さんが慌ててクルトの袖を掴んだ。目が「行かないで!」言っている。
「そ、その、Bランクのソロ可で三〇ゴールドの仕事がないわけではないんです。ただどうしてもそうした依頼はマーヤ市に市民権のある冒険者が優先されるのです。ただしそれも絶対と言うわけではなく、昨今ではそうしたクエストをこなせる人材も、なかなか市内にはおりません。で、そこから先は職員の裁量次第と言うことになっていまして……」
お姉さんは頬をぽっと赤くしクルトを見上げた。ああ、またかぁと私は生温かい気持ちになる。
人間の女の人にとってクルトは「いけめん」なのだそうだ。でえとや一夜のあばんちゅうると引き換えに、仕事を回すからと誘惑されることがある。私は今回もそれなのだろうと思い込んでいた。
ところがこのお姉さんのお願いは斜め上を行っていたのだ。
「肩の猫、小型のケット・シーですよね?」
……ん?
よく見るとお姉さんはクルトではなく、クルトの肩に乗った私を凝視している。目はぎらぎら、口からはあはあと熱い息が吐き出され、手はわきわきと動いていた。
「モフりたい……。モフって、そして……」
「み、みゃあっ!?」
私は嫌な予感に一気に毛を逆立てた。お姉さんがついに「たまんないっ!」と立ち上がる。クルトは勢いに押されカウンターから一歩引いた。
「あ、あの……?」
お姉さんはこほんと一つ咳を払うと、再び席に腰かけにっこりと笑った。
「あら、オホホ、私としたことが……。ところでその子、触ってもいいですか?」
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