33 / 191
第一幕 断罪からの始まり
vs17 それぞれの思案
しおりを挟む
ーーー頷いたはいいが、納得など到底出来ない。
夜、ギルベルトは自室の窓から中庭を見つめる。
〈リュミの考えを変えさせるにはどうしたらいいだろうか…〉
マリミエドの話を信じていないのではない。
あんな平民の女の為に、自分を貶めて欲しくないだけなのだ。
〈何故あの女は周りに好かれる?〉
今まで興味もなかったから無視していたが、マリミエドを死に追いやる女ならば害虫でしかない。
どんな女だったか、思い出してみる。
…マリアは、常に笑顔で周りに接していた…と思う。
〈他には…〉
目が合う事が多い…。
つまり、向こうは常にチラチラとこちらを見ていた、という事だ。
目が合うとすぐに駆け寄ってこようとする。
ギルベルトはそれが厭で、わざと強面の友人のもとへ行って避けていた。
〈…王女のパーティーなら、貴族だけの筈だがーーー〉
もしかしたら、マリアも潜り込んでいるかもしれない。
いっそ、マリアを殺した方がいいと思うのだがーーーマリミエドはそう思わないのだろう。
貴族を侮辱した平民は、殺されて当然だというのに…。
とにかく、そのマリアが虜にしたという男達を調べなければならないのは確かだ。
ギルベルトは空を睨み付けるように見てから、カーテンを閉めた。
「図書館にでも行くか…」
とにもかくにも、マリミエドと〝悪役令嬢〟について勉強すると約束してしまったのだから明日にでも行ってみようと決意する。
「それでは、おやすみなさいませ」
そう言いエレナはマリミエドの部屋を後にした。
〈お嬢様は、本気で悪役令嬢を目指している…〉
それは見ていて分かるがーーー果たして、それをやった所で何が変わるというのか?
平民を制する、または虐める貴族など、この世には当たり前のように存在する。
いや、虐げない貴族などマリミエドしかいないからこそ、目を付けられたのではないだろうか?
ここの侍女達は男爵家やその下の貴族から奉公に出されている者ばかりだが、それでも〝下級貴族〟として扱われる。
マリミエドの母親付の侍女も、髪を梳かす時に少しでも痛い思いをさせてしまったら鞭打たれるのだ。
そのくらい厳しいのに、マリミエドはどんなミスでも冷静に、優しく対処している…。
もう国母でいいのではないか?
そう思えるくらいの慈悲深さだ。
〈今のままがいいに決まっている〉
それは、誰もが思う事だろう。
それでも断罪されるというのならば、まずは根幹から、変えた方がいいのではないか?
変わるべきはマリミエドではなく…
〈バカ王太子だわ〉
エレナが違う貴族学校に居た頃から、王太子はバカだという噂があった。
まず成績が悪い
俺様キャラ
女たらし
見掛け倒し
ーーーなどなど。
一年前での違う学校でそんな噂のある王太子では、もはや先が見えている。
エレナはハッとする。
〈そうよ…〉
マリミエドの祖母は、前の皇帝の弟に嫁いでいるので、皇族と家族とも言える。
つまり…支持さえあれば、マリミエドが即位する事とて出来る筈なのだ!
〈それが一番に決まってるのに…!〉
本当にマリミエドが悪役令嬢となるのであれば、どんな手を使ってでも王太子を廃嫡させてしまえばいいのだ。
王太子が王太子らしからぬ事をやらかせばいいーーー。
〈そのままマリアとくっついてたって駄目なのよ…〉
平民の側室など幾らでもいる。
それでは駄目だ。
何か、廃嫡に持っていける方法は無いものかーーー
そうすれば、女帝になれるかどうかは別として婚約は解消される。
マリミエドにふさわしい相手は他にいる…。
エレナは、自分のベッドの中で暗闇を見つめながら考えた。
夜、ギルベルトは自室の窓から中庭を見つめる。
〈リュミの考えを変えさせるにはどうしたらいいだろうか…〉
マリミエドの話を信じていないのではない。
あんな平民の女の為に、自分を貶めて欲しくないだけなのだ。
〈何故あの女は周りに好かれる?〉
今まで興味もなかったから無視していたが、マリミエドを死に追いやる女ならば害虫でしかない。
どんな女だったか、思い出してみる。
…マリアは、常に笑顔で周りに接していた…と思う。
〈他には…〉
目が合う事が多い…。
つまり、向こうは常にチラチラとこちらを見ていた、という事だ。
目が合うとすぐに駆け寄ってこようとする。
ギルベルトはそれが厭で、わざと強面の友人のもとへ行って避けていた。
〈…王女のパーティーなら、貴族だけの筈だがーーー〉
もしかしたら、マリアも潜り込んでいるかもしれない。
いっそ、マリアを殺した方がいいと思うのだがーーーマリミエドはそう思わないのだろう。
貴族を侮辱した平民は、殺されて当然だというのに…。
とにかく、そのマリアが虜にしたという男達を調べなければならないのは確かだ。
ギルベルトは空を睨み付けるように見てから、カーテンを閉めた。
「図書館にでも行くか…」
とにもかくにも、マリミエドと〝悪役令嬢〟について勉強すると約束してしまったのだから明日にでも行ってみようと決意する。
「それでは、おやすみなさいませ」
そう言いエレナはマリミエドの部屋を後にした。
〈お嬢様は、本気で悪役令嬢を目指している…〉
それは見ていて分かるがーーー果たして、それをやった所で何が変わるというのか?
平民を制する、または虐める貴族など、この世には当たり前のように存在する。
いや、虐げない貴族などマリミエドしかいないからこそ、目を付けられたのではないだろうか?
ここの侍女達は男爵家やその下の貴族から奉公に出されている者ばかりだが、それでも〝下級貴族〟として扱われる。
マリミエドの母親付の侍女も、髪を梳かす時に少しでも痛い思いをさせてしまったら鞭打たれるのだ。
そのくらい厳しいのに、マリミエドはどんなミスでも冷静に、優しく対処している…。
もう国母でいいのではないか?
そう思えるくらいの慈悲深さだ。
〈今のままがいいに決まっている〉
それは、誰もが思う事だろう。
それでも断罪されるというのならば、まずは根幹から、変えた方がいいのではないか?
変わるべきはマリミエドではなく…
〈バカ王太子だわ〉
エレナが違う貴族学校に居た頃から、王太子はバカだという噂があった。
まず成績が悪い
俺様キャラ
女たらし
見掛け倒し
ーーーなどなど。
一年前での違う学校でそんな噂のある王太子では、もはや先が見えている。
エレナはハッとする。
〈そうよ…〉
マリミエドの祖母は、前の皇帝の弟に嫁いでいるので、皇族と家族とも言える。
つまり…支持さえあれば、マリミエドが即位する事とて出来る筈なのだ!
〈それが一番に決まってるのに…!〉
本当にマリミエドが悪役令嬢となるのであれば、どんな手を使ってでも王太子を廃嫡させてしまえばいいのだ。
王太子が王太子らしからぬ事をやらかせばいいーーー。
〈そのままマリアとくっついてたって駄目なのよ…〉
平民の側室など幾らでもいる。
それでは駄目だ。
何か、廃嫡に持っていける方法は無いものかーーー
そうすれば、女帝になれるかどうかは別として婚約は解消される。
マリミエドにふさわしい相手は他にいる…。
エレナは、自分のベッドの中で暗闇を見つめながら考えた。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
74
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる