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第三幕 想定外
vs02 頼もしい友人達
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マリミエドは保健室で替えのワンピースに着替えた。
「連絡蝶は飛ばしてあるから、迎えが来るまで休んでいなさい」
保健の教諭が言い、気を利かせて保健室を出た。
気を抜くと泣きそうになるので、マリミエドは空を見つめた。
しばらくすると、ギルベルトが蒼白して入ってくる。
「リュミ‼」
「…お兄様」
ギルベルトは真っ青な顔でマリミエドの両肩を掴んで言う。
「何故、暴漢などに…何故森になど入ったんだ!」
「あの、わたくしもアイテム探しのお役に立ちたくて、探知魔法の訓練をしてましたの。そうしたら森に急に追われている熱源が見えて……それで、オペラグラスで見たらリリアネットさんだったから、つい助けなくてはと…」
言いながらマリミエドはポロポロと泣く。
「とても怖くてっ! でも見捨ててたらわたくしは自分を許せなかったわ‼」
そう言って泣くので、ギルベルトはマリミエドを抱き締める。
「済まない…側にいれば俺が撃退出来たのに…」
「……!」
マリミエドは声を押し殺して泣く。
保健室の外に、心配して待ってくれている友人達がいるからだ。
泣き止むと、マリミエドはベッドに並べておいた上着の山を手に取る。
皆、自分がプレゼントをしたカフスを着けてくれている…。
「…あいつらに、今度礼をしないとな」
「皆さん、すぐに上着を掛けて下さったの…」
「そうか…」
2人が保健室から出ると、心配して待っていたソフィアやレアノルド、アルビオン、ベルンハルト、シリウス、ライアンが立ち上がって寄ってくる。
「メイナード令嬢、お怪我は?」
ソフィアが聞く。
「転んで膝を擦りむいたけれど、先生が治して下さったわ」
笑って言うが、その瞳にはまだ涙が滲んでいる。
するとベルンハルトが言う。
「急かして済まんが、上着をくれるか? その暴漢をすぐに捕まえてくる!」
「は、はい…」
マリミエドはスモーキークォーツのカフスが着いた上着を渡す。
するとベルンハルトは一礼して走っていった。
「俺達も…」
マリミエドから上着を受け取ったアルビオンとライアンとシリウスも続いて走った。
最後に上着を受け取ったレアノルドが、ギュッとマリミエドの手を握って言う。
「絶対に暴漢は捕まえる。君は、絶対にギルベルトから離れないでくれ…いいね?」
「ええ…」
それに頷いて、レアノルドは皆とは別の方向に行く。
「街の治安部隊の所か…果たして情報が上がるかどうか…」
ギルベルトが呟いてからソフィアに手を向ける。
「鞄をありがとう、持って帰るよ」
「お気を付けて」
ソフィアが鞄を渡すと、ギルベルトは鞄を手にしてマリミエドを抱き上げて歩く。
マリミエドの足が震えていたからだ。
「お兄様…」
「大丈夫、何も心配するな」
そのギルベルトの力強い言葉と温もりに安心したのか、マリミエドは気を失ってしまう。
「連絡蝶は飛ばしてあるから、迎えが来るまで休んでいなさい」
保健の教諭が言い、気を利かせて保健室を出た。
気を抜くと泣きそうになるので、マリミエドは空を見つめた。
しばらくすると、ギルベルトが蒼白して入ってくる。
「リュミ‼」
「…お兄様」
ギルベルトは真っ青な顔でマリミエドの両肩を掴んで言う。
「何故、暴漢などに…何故森になど入ったんだ!」
「あの、わたくしもアイテム探しのお役に立ちたくて、探知魔法の訓練をしてましたの。そうしたら森に急に追われている熱源が見えて……それで、オペラグラスで見たらリリアネットさんだったから、つい助けなくてはと…」
言いながらマリミエドはポロポロと泣く。
「とても怖くてっ! でも見捨ててたらわたくしは自分を許せなかったわ‼」
そう言って泣くので、ギルベルトはマリミエドを抱き締める。
「済まない…側にいれば俺が撃退出来たのに…」
「……!」
マリミエドは声を押し殺して泣く。
保健室の外に、心配して待ってくれている友人達がいるからだ。
泣き止むと、マリミエドはベッドに並べておいた上着の山を手に取る。
皆、自分がプレゼントをしたカフスを着けてくれている…。
「…あいつらに、今度礼をしないとな」
「皆さん、すぐに上着を掛けて下さったの…」
「そうか…」
2人が保健室から出ると、心配して待っていたソフィアやレアノルド、アルビオン、ベルンハルト、シリウス、ライアンが立ち上がって寄ってくる。
「メイナード令嬢、お怪我は?」
ソフィアが聞く。
「転んで膝を擦りむいたけれど、先生が治して下さったわ」
笑って言うが、その瞳にはまだ涙が滲んでいる。
するとベルンハルトが言う。
「急かして済まんが、上着をくれるか? その暴漢をすぐに捕まえてくる!」
「は、はい…」
マリミエドはスモーキークォーツのカフスが着いた上着を渡す。
するとベルンハルトは一礼して走っていった。
「俺達も…」
マリミエドから上着を受け取ったアルビオンとライアンとシリウスも続いて走った。
最後に上着を受け取ったレアノルドが、ギュッとマリミエドの手を握って言う。
「絶対に暴漢は捕まえる。君は、絶対にギルベルトから離れないでくれ…いいね?」
「ええ…」
それに頷いて、レアノルドは皆とは別の方向に行く。
「街の治安部隊の所か…果たして情報が上がるかどうか…」
ギルベルトが呟いてからソフィアに手を向ける。
「鞄をありがとう、持って帰るよ」
「お気を付けて」
ソフィアが鞄を渡すと、ギルベルトは鞄を手にしてマリミエドを抱き上げて歩く。
マリミエドの足が震えていたからだ。
「お兄様…」
「大丈夫、何も心配するな」
そのギルベルトの力強い言葉と温もりに安心したのか、マリミエドは気を失ってしまう。
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