聖騎士の盾

かすがみずほ@3/25理想の結婚単行本

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悪魔と騎士

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 尾はペニスに残したままカインがそばを離れる。
 悪魔は酷薄な表情を浮かべ、そのままベッド際の壁にもたれて見物を始めた。
 羞恥に堪え、身体中を真っ赤にしながら仰向けで太腿を自ら大きく開き、尻を浮かせる。
 視線を感じながら、震えて冷たくなる指を尻側からヌプ……と後孔に挿入した。
 そこは恐ろしいほど柔らかくなっていて、すんなりと指先が呑み込まれていく。
 体を変えられてしまう恐ろしさを味わいながら、深く根元まで指を入れ、悪魔に見せつけた。
「こ、こう……か……?」
「入れただけじゃダメに決まってんだろ。動かせ」
「く、う……っ」
 言われるがままに出し入れを始めると、先ほどの悪魔の尾の刺激のせいか、そこがトロトロに柔らかく濡れ始めるのが分かった。
 見られていると思うと、不器用なその動きも堪らない性感を生む。指に肉が絡みつき、奥まで入れる度にチユクッチュクッと淫らな水音が立った。
「カイ、ン……っ、恥ずかしい……っ、勘弁してくれ……っ」
 助けを求めるように視線を送るが、相手はサディスティックな赤い瞳で楽しげに見下ろすだけだ。
「クックッ。完全に発情期のメスだな、お前……そのまま続けろ」
 カインがバサリと黒いローブを床に脱ぎ捨て、軍服のズボンの股の合わせ目を解く。
 その間から飛び出すように勃起した赤黒く長大なペニスが現れ、レオンの視線を奪った。
(――あんなものが、俺の中に……っ)
 指を入れている場所が無意識にキュウッと引き締まる。
 悪魔は膝でレオンの首筋を跨ぐように上にのしかかり、濡れた弾力のある亀頭を唇に押し付けてきた。
「歯、立てねえように舐めろ。指は留守にすんなよ」
 嫌だと意思表示をする前に、鼻を指で摘まれて顎を無理やり開かされた。
 レオンの唇いっぱいに、凶暴な雄の滑らかな肉塊が入ってくる。
 塩気のある体液が舌の奥を刺激し、嘔吐感に何度もえづきながら、それでも容赦無く喉奥をズブズブと突かれ、息ができない。
「ンンっ!! んんんっ!!」
 抗議の声を上げると、カインは多少手加減するように挿入を浅くした。
 レオンのペニスを縛めていた尾も僅かに緩まり、今度は上下に皮膚をずらすように器用に陰茎を扱き始める。
「んふ……う……」
 途端に後孔が切なくなり、指を二本に増やして自分の中をゆるゆると出し入れした。
 口に咥えているものをチュッチュッと淫らに音を立てて吸いながら、少しずつ快楽に没頭していく。
 だが、カインの尾は絶頂をもたらすほどの刺激はくれず、自分の指の動きも稚拙過ぎて、悦びの中枢には届かない。
 生殺しのような状態が長く続き、ついにレオンは根負けして、悪魔にオーガズムを強請ることを考え始めた。
 涙目を相手に向け、チュウ……ッと強く亀頭を吸って舌を陰茎に絡める。
 指ではすっかり柔らかくなった孔の襞を拡げ、淫らな体勢で暗に訴えた。
 そんなレオンの態度に満足したのか、カインが唇の端で笑って自分の雄を引き抜く。
 彼は尾をしならせながら上半身の服を脱ぎ捨て、更にエスカレートした要求を突き付けた。
「尻を向けてうつ伏せになれ。イかせて欲しかったら、メス犬になって俺を誘ってみろ」
 酷い侮辱に、レオンは少なからずショックを受けた。
 そこまでしなければこの身体を満たす快楽を与えられないのか。
 絶望しながら、それでも尋常でなく焦がれている肉体に急かされ、おずおずと腕を立てて背中を晒す。
 指がふやける程ずっと拡げられていたアヌスは濡れて緩み切っていて、ヒクヒクと犯されるのを待っていた。
 頭をベッドに預け、尻だけを高く上げる屈辱的な体勢に嫌悪で一杯になるのに、開いた脚の間のペニスは甘い期待で痛いほどドクドクと脈打つ。
「ここ、にっ……」
 人差し指と中指でアヌスの周囲を拡げて悪魔に見せつける。
 トロ、と体液が双球に向かって垂れ落ちるのが分かった。
 両手で尻たぶをぐいと掴まれる感触がして、すぐに怒張が体の内側を押し開いて入ってくる。
「ふあッ……!」
 それが腹側の1番触れて欲しい一点を突いた瞬間、軽く絶頂が訪れて膝がガクガク震えた。
 既に何も触れていないはずのペニスから精液が飛び、リンネルのシーツを汚す。
「二回目のくせに入れただけでイキやがって。やっぱりお前、俺が好きなんじゃねえのか」
(す、き……?)
 何故カインがそこに拘るのかが分からない。
 誰に対しても恋愛感情を持ったことが無い自分には尚更――。
 獣のように尻を高く上げ、肌の弾ける音をさせて犯される。
 そうして蹂躙されていることにも恥ずかしい程激しく感じてしまう自分がいる。
 ――また、悪魔の思惑に自ら堕ちてしまった……。
 快楽と絶望の最中で、急に胸を抱き上げるようにして体を起こされた。
「? 何……」
 振り向きざまに口づけをされ、膝に乗せるような恰好で抱きしめられる。
「ン……っ」
 必死に接吻に応えると、カインの腕がレオンの両腿を抱えて持ち上げ、中を細かく突かれ始めた。
 途端にキュウンと腹の内側が収縮し、後孔から生まれる快楽をより感じてしまうようになった。
「ンッ、んふっ、うっ」
 甘い鼻声が漏れ、快楽に痺れる舌を自分からも深く絡める。
(……カインの、キスは好きだ……)
 熱い舌を擦り合わせながら、蕩けた意識で自覚した。
 ――自分を軽々と抱えている掌の温度も、好きかもしれない。
 だが、人肌に飢えることと何が違うのか分からない。
 ほかの誰かとこんなことをしてみれば、理解出来るのだろうか――?
「っ……お前ん中、すげえ搾り取られるっ……中に出すぞ」
 唇の表面を優しく啄ばみ舐められながら、熱された精液が腹の奥に溢れ出る。
 自分の中で脈打ち続けるペニスを強く締め上げながら、レオンも再び上り詰めた。
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