22 / 113
悪魔と騎士
22
しおりを挟む
「――あの時のお前、可愛かったよなあ」
カインが懐かしむように深い溜息を吐く。
……2度目に交わったあの夜から、気付けばもう百年近くも経ってしまった。
ヴオーダンの宿屋の二階の小さな部屋に、ギシリとベッドの軋む音が響く。
「最近は、俺の言うことあんまり聞かねえし」
「悪魔の言うことなんてそうそう聞いてられるか……っ」
「まだそうやって俺を悪魔呼ばわりするし」
「悪魔以外の何者でもないだろう……」
「それ、人の上に乗っておいて言うセリフか?」
「……っ!」
それを言われては言葉もない。
レオンは全裸で自ら膝を開いてカインのペニスに股がり、それを堪能するように腰をうねらせている最中だった。
「まあ、益々スケベになった今のお前も好きだけどな、俺は」
「ンッ……」
好き、という言葉に何故か鼓動が早まり、繋がっている場所が無意識にギュッと収縮する。
――こういう自分が嫌で、最近はカインが来ても交接するのをなるべく避けようとしてしまう。
神への信仰を楯にし、来る度に相手を罵り嫌悪をあらわにして、物理的にも距離を置こうとしているのに、カインはそれを許してくれず結局こうなってしまう。
お陰で益々近頃の自分はおかしい。最中に、自分でもうまく説明できない感情が湧く。
寂しいような切ないような……。
そして一旦抱かれれば感じすぎておかしくなる。
「今のお前は、あの娼婦なんかよりずっとココで精液搾り取るの上手いよな?」
早く終わらせたいと腰を揺らす動きを早めていると、そんな風に揶揄された。
「……っ」
無視して集中していると、カインの尾が伸びて来て、レオンの下肢で屹立しているペニスの尿道口をくすぐる。
「ッ、そこはっ」
嫌な予感がして身をよじるが、間に合わない。
小さな穴にギチギチに尾の先端が入り込んで来る。
痛みは少ないが、奥に入り込むほどペニスの中を支配する存在感が凄まじい。
精液の通り道が完全に塞がれた所で、それが鈴口をゆっくりと出入りする。
「だ、ダメだ、いや」
安穏と横たわって居たカインが急に身を起こし、レオンの胴を対面で抱き締め、腰を使い始めた。
「っあっ、両方はっ、あああっ」
自分で快楽をコントロールすることが出来なくなり、気絶しそうな程の性感に目眩がする。
悪魔の性器は完全にレオンの感じる場所を把握済みで、どこをどうすれば支配できるのか分かっている。
レオンの体もその形と熱を忠実に覚えていて、一度繋がれば二度と離れたくないと際限なく貪欲になる。
カインは来る度にそんな彼を堪能し、散々なぶり倒すのだ。
「乳首も昔よりデカくなったか?」
色の濃くなった胸の突起をからかうように弄ばれ、尻穴の収縮と淫らな声が止まらない。
既に何度かイッているのに、鈴口を塞がれているせいで果てることが出来ず、快楽の責苦を延々と味わわされる。
「あぁあ……っ、カイン、許し……俺の、っ、壊れる、からあ……っ」
「お前の何が壊れるって?」
尿道口をクチュクチュと出入りする尾が激しくなり、同時に尻の中の快楽の器官をグリグリと責めあげられる。
「ンふァっ、尻の中も……チンポも……っ!」
「忠実に神に仕える男がそんな言葉使っていいと思ってんのか?」
カインが耳元で辱めてくる。
「っあ、だって、ほんと、に、壊れるっ」
「そんな時はどうやってねだるんだ」
「……はァッ、あっ、……イ、イかせて……」
「どこでイきてえんだよ、淫乱な騎士殿」
「お、お前のチンポで、尻の穴、ナカ、突いてっ、イかせてくれ……っ」
「上出来。素直なお前は好きだぜ、レオン」
スルン!と尾が尿道口から抜け、代わって凶暴な程の突き上げが激しくレオンを襲う。
数秒後には望み通り大量の精を吐き出し、レオンは果てていた。
北の国の夜は長く、二人が長い時間を掛けて交わっても、まだ窓の外は暗かった。
夜が明ければ悪魔はまた消え去っていく。
だが今はまだ白い尾がレオンの片脚に懐くように絡まり、狭いベッドの隣には素晴らしい肉体を露わにしたカインが居て自分に腕枕をしている。
窮屈だが、この時間が酷く心地良い。
そして朝が来た時のことを考えると無償に寂しかった。
「――お前、これからどうするんだ」
腕に触れる黒髪の感触を楽しみながら、囁くようにカインが訊く。
「……」
その質問に、レオンはしばらく考えるように答えを躊躇した。
言ったとしても、冷徹な反応しか思い浮かばない。
――この百年で、エルカーズ王国を巡る情勢は変化していた。
彼らは最初の数十年で大陸の三分の二を征服した。
ところが、エルカーズの王は彼らの言うところの「神」、悪魔バアルと一体となっているうちに身も心も魔物へと成り果ててしまい、まともな指揮が取れなくなったことでその版図の拡大は現在まで止まっている。
他国との戦闘兵器として怪物のような姿にされた兵士達も、やはり時間が経過するうちに理性を失い、魔物化する者が次々と現れ、エルカーズの領土内は当初を超える混乱と崩壊に襲われ始めた。
事態を収拾出来なくなった神官や貴族達も次々と周辺の他国に亡命しているという。
レオンはこの百年、名もない傭兵として各地を転々としながら魔物化したエルカーズ兵と戦い、周辺国からエルカーズの領内に侵入し、王を暗殺する機会を伺っていた。
そして今こそが、その絶好の機会だと感じている――。
「……行くんだな? エルカーズの王都ヴァーリに」
黙っているレオンの胸の内を読み透かし、カインがもう一度訊く。
レオンは閉じていた瞼を開け、静かに頷いた。
「お前はついて来る気はないんだろう」
「……」
今度は逆にカインが黙ってしまった。
子供にするように額に口付けが落とされ、顔をじっと見つめられる。
「また、お前が泣いて逃げ帰ってきたら、この胸に迎えてやるよ」
その言葉に、苦笑いしか浮かばない。
言いようのない寂寥にもう一度目を閉じ、顔を逸らすように寝返りを打った。
悪魔はそれ以上何も言わず、ずっと髪を撫で続けている。寂しさを含んだその心地よさの中で、いつしかレオンは浅い眠りに落ちていた。
カインが懐かしむように深い溜息を吐く。
……2度目に交わったあの夜から、気付けばもう百年近くも経ってしまった。
ヴオーダンの宿屋の二階の小さな部屋に、ギシリとベッドの軋む音が響く。
「最近は、俺の言うことあんまり聞かねえし」
「悪魔の言うことなんてそうそう聞いてられるか……っ」
「まだそうやって俺を悪魔呼ばわりするし」
「悪魔以外の何者でもないだろう……」
「それ、人の上に乗っておいて言うセリフか?」
「……っ!」
それを言われては言葉もない。
レオンは全裸で自ら膝を開いてカインのペニスに股がり、それを堪能するように腰をうねらせている最中だった。
「まあ、益々スケベになった今のお前も好きだけどな、俺は」
「ンッ……」
好き、という言葉に何故か鼓動が早まり、繋がっている場所が無意識にギュッと収縮する。
――こういう自分が嫌で、最近はカインが来ても交接するのをなるべく避けようとしてしまう。
神への信仰を楯にし、来る度に相手を罵り嫌悪をあらわにして、物理的にも距離を置こうとしているのに、カインはそれを許してくれず結局こうなってしまう。
お陰で益々近頃の自分はおかしい。最中に、自分でもうまく説明できない感情が湧く。
寂しいような切ないような……。
そして一旦抱かれれば感じすぎておかしくなる。
「今のお前は、あの娼婦なんかよりずっとココで精液搾り取るの上手いよな?」
早く終わらせたいと腰を揺らす動きを早めていると、そんな風に揶揄された。
「……っ」
無視して集中していると、カインの尾が伸びて来て、レオンの下肢で屹立しているペニスの尿道口をくすぐる。
「ッ、そこはっ」
嫌な予感がして身をよじるが、間に合わない。
小さな穴にギチギチに尾の先端が入り込んで来る。
痛みは少ないが、奥に入り込むほどペニスの中を支配する存在感が凄まじい。
精液の通り道が完全に塞がれた所で、それが鈴口をゆっくりと出入りする。
「だ、ダメだ、いや」
安穏と横たわって居たカインが急に身を起こし、レオンの胴を対面で抱き締め、腰を使い始めた。
「っあっ、両方はっ、あああっ」
自分で快楽をコントロールすることが出来なくなり、気絶しそうな程の性感に目眩がする。
悪魔の性器は完全にレオンの感じる場所を把握済みで、どこをどうすれば支配できるのか分かっている。
レオンの体もその形と熱を忠実に覚えていて、一度繋がれば二度と離れたくないと際限なく貪欲になる。
カインは来る度にそんな彼を堪能し、散々なぶり倒すのだ。
「乳首も昔よりデカくなったか?」
色の濃くなった胸の突起をからかうように弄ばれ、尻穴の収縮と淫らな声が止まらない。
既に何度かイッているのに、鈴口を塞がれているせいで果てることが出来ず、快楽の責苦を延々と味わわされる。
「あぁあ……っ、カイン、許し……俺の、っ、壊れる、からあ……っ」
「お前の何が壊れるって?」
尿道口をクチュクチュと出入りする尾が激しくなり、同時に尻の中の快楽の器官をグリグリと責めあげられる。
「ンふァっ、尻の中も……チンポも……っ!」
「忠実に神に仕える男がそんな言葉使っていいと思ってんのか?」
カインが耳元で辱めてくる。
「っあ、だって、ほんと、に、壊れるっ」
「そんな時はどうやってねだるんだ」
「……はァッ、あっ、……イ、イかせて……」
「どこでイきてえんだよ、淫乱な騎士殿」
「お、お前のチンポで、尻の穴、ナカ、突いてっ、イかせてくれ……っ」
「上出来。素直なお前は好きだぜ、レオン」
スルン!と尾が尿道口から抜け、代わって凶暴な程の突き上げが激しくレオンを襲う。
数秒後には望み通り大量の精を吐き出し、レオンは果てていた。
北の国の夜は長く、二人が長い時間を掛けて交わっても、まだ窓の外は暗かった。
夜が明ければ悪魔はまた消え去っていく。
だが今はまだ白い尾がレオンの片脚に懐くように絡まり、狭いベッドの隣には素晴らしい肉体を露わにしたカインが居て自分に腕枕をしている。
窮屈だが、この時間が酷く心地良い。
そして朝が来た時のことを考えると無償に寂しかった。
「――お前、これからどうするんだ」
腕に触れる黒髪の感触を楽しみながら、囁くようにカインが訊く。
「……」
その質問に、レオンはしばらく考えるように答えを躊躇した。
言ったとしても、冷徹な反応しか思い浮かばない。
――この百年で、エルカーズ王国を巡る情勢は変化していた。
彼らは最初の数十年で大陸の三分の二を征服した。
ところが、エルカーズの王は彼らの言うところの「神」、悪魔バアルと一体となっているうちに身も心も魔物へと成り果ててしまい、まともな指揮が取れなくなったことでその版図の拡大は現在まで止まっている。
他国との戦闘兵器として怪物のような姿にされた兵士達も、やはり時間が経過するうちに理性を失い、魔物化する者が次々と現れ、エルカーズの領土内は当初を超える混乱と崩壊に襲われ始めた。
事態を収拾出来なくなった神官や貴族達も次々と周辺の他国に亡命しているという。
レオンはこの百年、名もない傭兵として各地を転々としながら魔物化したエルカーズ兵と戦い、周辺国からエルカーズの領内に侵入し、王を暗殺する機会を伺っていた。
そして今こそが、その絶好の機会だと感じている――。
「……行くんだな? エルカーズの王都ヴァーリに」
黙っているレオンの胸の内を読み透かし、カインがもう一度訊く。
レオンは閉じていた瞼を開け、静かに頷いた。
「お前はついて来る気はないんだろう」
「……」
今度は逆にカインが黙ってしまった。
子供にするように額に口付けが落とされ、顔をじっと見つめられる。
「また、お前が泣いて逃げ帰ってきたら、この胸に迎えてやるよ」
その言葉に、苦笑いしか浮かばない。
言いようのない寂寥にもう一度目を閉じ、顔を逸らすように寝返りを打った。
悪魔はそれ以上何も言わず、ずっと髪を撫で続けている。寂しさを含んだその心地よさの中で、いつしかレオンは浅い眠りに落ちていた。
26
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
黒に染まる
曙なつき
BL
“ライシャ事変”に巻き込まれ、命を落としたとされる美貌の前神官長のルーディス。
その親友の騎士団長ヴェルディは、彼の死後、長い間その死に囚われていた。
事変から一年後、神殿前に、一人の赤子が捨てられていた。
不吉な黒髪に黒い瞳の少年は、ルースと名付けられ、見習い神官として育てられることになった。
※疫病が流行るシーンがあります。時節柄、トラウマがある方はご注意ください。
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます!
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる