聖騎士の盾

かすがみずほ@理想の結婚二巻発売中

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神と騎士

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 2人はその日の夜を、神殿の片隅にある部屋で過ごすことに決めた。
 老神官は心配しているかもしれないが、少しの間だけでも2人きりになりたいとレオンが提案した結果だ。
 明日の朝が来れば、カインは人前では再びオスカーの姿を借り、人間達の中に混じって生きて行くことになる。
 それが、ずっとレオンのそばで生きる為に彼が下した決断だった。
「……もしかして、欲しくて我慢出来なかったのか?」
 狭い部屋の扉が閉まった途端、カインがからかうように訊いてきた。
「そ、そんなつもりじゃ……ここは聖域なんだろう!? 汚したらティモに叱られる……っ」
 レオンが頬を真っ赤にして否定する。
 2人のいる小さな部屋は綺麗に片付いていて、心地の良さそうなベッドが二台と、素朴な作りの机だけが置いてある。
 ここで暮らすというよりも、灯火や祭壇の番をする時の為の簡易な宿泊場所と言った風情だ。
 レオンが俯きながら荷を机の上に置いていると、カインの両腕が背後から強く抱きしめて来た。
「聖域なんて言ったって、昔はいかがわしい儀式もしてたんだぜ。……神と人間で交わったり、な」
「……! お前も、そういうことをしてたのか……!?」
 ムッと眉を寄せ、荷をくくっていた紐を縛る手に力が入る。
「お前、実は嫉妬深い方か……?」
 くすっと笑う声が耳元に聞こえた。青白い指がレオンの羽織っていたマントを外して床に落とし、その下に着ていた襟の詰まった紺の上衣の首のホックを解いていく。
「……エルカーズ人の服だな」
 驚いたように言われ頷いた。
「冬の服は持って着ていなかったから、フレイで手に入れた」
「似合ってるぜ。――脱がしたくなる」
 熱っぽく囁かれて、ドクッ、と動悸が高鳴った。
「カイン、やっぱり、俺は……」
 腕の中で強引に体をひねり、レオンはカインと視線を合わせた。
「……分かったよ、お前がここじゃしたくねぇんなら今日は――」
 言いかけた相手の言葉に被せるように告白する。
「今すぐに、お前が欲しくて……我慢できない……っ」
 相手の手を取り、火照った頬にすり……と触れさせる。
「お前、素面でそんなこと言うなんて反則だろ……」
 カインが一瞬目を閉じて天を仰ぎ、そしてすぐにレオンの腰を抱きしめ、肩に担ぐようにして持ち上げた。
「ちょっ、高い、頭打つ……そんなことしなくても自分でベッドに……っ!」
「今日が俺とお前の初夜なんだから、固いこと言うな」
 二つくっついて並んだベッドの片側に優しく下ろされ、残った服のホックも全て外されていく。
「初夜ってお前……」
 まるで結婚するかのような言葉に絶句し、急激に気恥ずかしくなってきた。
「どうしよう……何だか恥ずかしくて、お前の顔が見られない……っ」
 服を腕から抜き取られ、ズボンと下着を剥かれて裸にされても、なお羞恥心が収まらず、レオンは両手で顔を覆った。
 よくよく考えれば、カインときちんとした形でするのはただでさえ久しぶりなのだ。
「何言ってんだよ、お前が誘ったくせに。――ほら、ずっと欲しかったんだろ? 俺を全部、お前の物にしろよ」
 目の前で輝くように美しい異形の神が、レオンの裸体を膝を跨ぎ、黒い軍服のホックを解きながら艶めかしく微笑んだ。
 その姿に魅入られていくように、おずおずと体を起こし、瞳を開いて彼と見つめ合う。
「……お前の全部を、俺にくれるのか……? これからはずっとそばに、居てくれる……?」
 尋ねるたびに、相手が頷いてくれるのを確かめて、幸福感に目が眩みそうになる。
 自分が聖騎士であった時から、ずっとずっと望んできたものは正にこれなのだと、やっと分かった気分だった。
 己すらも知らず、カインだけが最初から知っていた、レオンの心の奥底の切ない望み。
「カイン、好きだ……っ、好き……」
 涙の混じる声で熱っぽく呟きながら、レオンは手を伸ばし、カインが服を脱ぐのを手伝い始めた。
 ズボンの前立てを強引に開いて、そこに筋の立つ程怒張した雄を見つけ、淫らな悦びを浮かべた顔でうっとりとそれを見つめる。
 レオンは膝を折って座り直すと、彼のそれを迷いなく自分から唇の中に含んだ。
 体液の味すら甘く感じるそれを、懸命に舌と喉でジュプジュプと吸い込んで頬張り、愛撫する。
「ちょっ、お前いきなりそれは積極的過ぎるだろ……っ」
 カインとしては調子を狂わされているらしく、レオンはそれが何だか嬉しくなってしまう。
 確かに、毎回悪魔呼ばわりし、ひとしきり罵倒してから嫌々セックスを初めて、その内にやっとレオンが溺れる――というパターンを百年ずっと繰り返してきているのだから、自分から彼を襲うように求めたのは殆ど初めてかもしれなかった。
 一心に唇を使って吸う内にどんどん相手が無言になって、少し不安になり、舌から体液の糸を引きながら張り詰めたペニスを離す。
「もしかして、こんなことする俺は、嫌か……?」
 眉を下げて尋ねると、カインがぶるっと一瞬震えて、何故か猛烈に怒り出した。
「……っ、い、嫌な訳ねえだろ……っ!? ほんっとにもう、お前は……っ今危うくイく所だっただろーが……っ!」
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