101 / 113
【続編・神々の祭日】囚われの貴公子
45
しおりを挟む
神の血に侵され、ぼんやりとしていたレオンの意識がようやくハッキリしてきたのは朝方になってからだった。
ふと気付いて足元を見下ろすと、いつのまにか自分は庭に捨ててきた旅装束に着替えている。
立っている場所も、暗い地下室ではなく焼け焦げた大広間の隅だった。
「……!?」
目の前では、婚礼のような白い衣装のオスカーが誰かと話している。
その美しい金髪と破れた装飾の肩布をぼんやりと見ていると、カラスのくちばしのようなマスクを付けた黒衣の男が二人、その傍に立っているのに気付いた。
彼らのベルトと工具だらけの服に記憶が蘇る。
「マルファスと、ハルファス……?」
驚いて思わず声を上げた。
途端、レオンの発した言葉に振り返った貴公子がそばへとやって来る。
彼の背後でマルファス達は廊下へと去って行き、広間は二人きりになった。
「やっと正気に戻ったか。お前、私を離さないと言って大変だったのだぞ」
ニッコリと微笑まれて頭が混乱する。
(え……俺は……傭兵に捕まって……それから……?)
しばらく何も思い出せなかったが、徐々に自分の痴態とヴィクトルの事を思い出し、レオンの表情から血の気が失せた。
「あ……ぁ……っ、ヴィクトル……っ!?」
探すように辺りを見回すレオンを、オスカーが不機嫌な声音で制する。
「あの男は怪我をしているのでマルファス達に頼んである。彼らなら人間に干渉する神の力があるからな。それから、逃げた傭兵とこの惨事の後始末も……借りは作りたくなかったが仕方がない。私達は王都へ戻るぞ」
絶句していると、大広間にふらふらと小柄な人影が入って来た。
異様な風体に一瞬誰かと驚く。
切り揃えた髪がボサボサになり、服も汚れきってすっかり老け込んだ男――ギレスだった。
「……あれえ……何故、私はここにいるのだあ……? そなた達は、何者だ……何故、ここにいる……?」
呆けたようになってウロウロする彼に、オスカーが華やかに微笑んだ。
「閣下はもう何も心配なさる必要はありませんよ。これからあなたの屋敷から使いのものが来ますから、座って少しお休みになればいい」
クッションの焦げた豪華な椅子が指さされ、ギレスは素直にストンとそこへ座った。
だがその表情に力は無く、とても正気とは思えない。改めて恐ろしくなり、レオンは視線を逸らした。
「さあ、行くぞ」
オスカーが言い放って廊下の方へ出て行く。
「ヴィクトルは……」
「あいつらが連れて帰るだろう」
「だろうって、お前」
眉を顰めて声を上げたが、無視された。
金髪の後ろ姿が拗ねたようにどんどん遠ざかって行く。
色々と言いたい事や聞きたいことがあったが、レオンは黙ってその背中を追いかける他無かった。
ギレスの屋敷の厩から葦毛の馬を一頭調達し、二人は王都へと向かう街道をゆっくりと戻り始めた。
二人で旅をするのは久々だ。
だが相手は、馬に乗ってしまうと殆ど何も話さなくなった。
レオンも、昨夜彼にされた仕打ちやヴィクトルのことを考えると、とても口を聞く気になれなかった。力になってくれた友人をどれ程傷付けたか分からない。そう思うと憂鬱になり、恋人を取り返したというのに、王都に帰る足も鈍った。
静かに馬を進めている内に太陽が高く昇り、草原に明るい日差しが照り付け始める。
辺りは春先の気候というよりも、蒸し暑い程の陽気になっていた。
先を行くオスカーが急に馬の手綱を引き、止まってレオンの方を振り向く。
「いつまで拗ねているつもりだ」
責めるような口調でそんな風に言われ、レオンは力なく首を振った。
「拗ねていない……。疲れているのと、落ち込んでいるんだ……」
「……」
オスカーはその言葉を聞き、視線で街道脇に生える大きなトチの木を示した。
「では、あの下で少し休もう」
誘われるままに手綱を引いて馬を跨ぎ、地面に降りる。
旅の疲労と苦悩で今にも倒れてしまいそうだったので、提案は有難かった。
新緑の作る木陰の下へ歩き、オスカーと共に腰を下ろす。
涼しい風に暫くぼんやりと目を閉じていたが、大事なことを思い出し、レオンは唇を開いた。
「オスカー、すまない……お前の正体をヴィクトルに話してしまった……」
小さなため息と共に、オスカーがレオンの肩をそっと抱き寄せた。
「知ってる。あの男と少し話したからな」
その言葉に、頬が紅く火照った。
あんな場面を見られておきながら、普通にそんな会話ができる相手が信じられない。
「ほ、ほかに一体何を話したんだ……っ」
「それは内緒だ。……が、面と向かって、あんな事をしてはお前が可哀想だと言われたな」
その言葉に居た堪れなくなり、レオンは膝頭の間に顔を伏せた。
死ぬほど恥ずかしい事には変わりないが、彼が怒っておらず、それどころか同情的であることが救いだ。
「マルファス達に記憶を消させようかとも思ったが、まあ、害はなさそうだったからそのままにしておいた」
「……っ! 消せるものなら、何故消してくれないんだ……っ」
抗議すると、オスカーは頑なに首を振った。
「消したらあの男はまたお前に手を出す」
その態度に閉口する。
やはり自分はヴィクトルに見せ付けるためにあの場で犯されたのだとはっきり分かり、やるせない気持ちで膝を抱えた手に力が入った。
俯いたまま呻くような声でせめてもの抗議を漏らす。
「お前は、時々酷すぎる……。今は、俺にだって立場ってものがある。部下にあんな姿を見られるなんて最悪だ……それに、彼は俺を助けてくれたのに」
「お前が易々とあの男に身体を触らせたのが悪い」
冷ややかにそう言われると、それ以上言い返すことも出来ない。
「それは悪かった……。これからはちゃんと、気をつけるから……」
「そうするがいい」
言葉ではそっけなく言われたが、逞しい両腕が伸びてきてレオンの身体が強く抱きしめられた。
身体を反転させて移動し、相手の膝を跨ぐようにして身体を預ける。
心地の良い体温に安心し、心にわだかまっていたものがほんの少しずつ溶けてゆくのが分かった。
「……。私が本当に結婚するかと思ったのか?」
優しく問われ、肩に額を付けたまま頷いた。
「そうする他ないと、お前が思ったのかと……」
「王都でギレスが私を疑った時あの場に居たのは、ギレスとあの傭兵頭だけだ。彼らを王都から離した後、どこか人目の無い場所で昨日のように始末するつもりだった」
「――俺を一緒に連れていってくれれば良かったのに」
ペリドットの瞳を覗き込むと、彼は首を振った。
「ずっと、政治的な事にはお前を巻き込みたく無いと思っていた。私の世界は綺麗事だけでは済まない……お前の手を汚すのは避けたかったし、何も心配させたくなかった」
「俺はそれでは嫌だ。お前が戦うなら一緒に戦いたい。大体、俺に再び剣を持たせたのはお前なのに」
オスカーがふっと瞳を細める。
「そうだったな。お前が騒ぎを起こして貴族どもを追い出し、傭兵を殺してくれた事は、結果的には助かった。ギレスはあの後貴族どもと連れ立って東部へ帰るつもりで、そうなれば昨日のような機会は東部に行くまで無かっただろう……」
レオンは驚いて目を見開いた。
「俺がした事は全てお前にはありがた迷惑だったのかと思っていた」
「そんな事はない。だが、あの男を連れてきた事だけは未だに許していないからな」
「……っ。お前の方がいつまでも拗ねてるじゃないか」
レオンはあきれ、そしてふっと思い出して言葉を繋いだ。
「そういえば俺だって、お前が縁談のことを黙っていた事に傷付いたんだ。あの場で初めて聞いたものだから、随分余計な心配をする羽目になったんだぞ。きちんとどうするつもりなのか話していてくれれば……」
「……そうだな。それについては私も反省した」
レオンは吃驚して一瞬固まった。
貴公子の姿をしているとはいえ、恋人の口からそんな殊勝な言葉を聞いたことが無い。
「オスカー……?」
体を離し、顔を見つめようとした途端、目の前の男の顔立ちが妖艶なカインのそれになっていることに気付いた。
柔らかな銀髪が手に触れ、赤い宝石のような瞳に見入る。
木漏れ日の映る彼の青白い相貌が近付き、前髪を分けるように額に口付けられた。
「おかしな心配すんな。……俺の伴侶は生涯お前だけだ」
「……!」
思いがけない声明にレオンが言葉を失っていると、カインが自分の頭に片手を伸ばし、左の巻角の尖った先をパキンと音を立てて折り取った。
「お前にやる」
言われるがままに、手の平を出して硬い角先を受け取る。
「――俺の元いた世界では結婚はこうして誓う。角が折れている奴は既婚ってことだ……下らねえ習慣だと思ってたが……」
彼は照れたように呟き、前髪をぐしゃりと掴みながら視線を逸らした。
その横顔を見つめながら、手の平に貰ったものをしっかりと握り込む。
ひんやりとして滑らかな感触を指で何度も確かめている内に、胸の底が熱くなり、ぎゅっと何かがこみ上げてきた。
「……っ、どうしよう……俺はっ、何も渡せるものがない……」
首を傾げて微笑むと、涙が頬に零れた。
長い指先がその雫を撫で取り、いつにない真剣な瞳に間近でじっと見つめられる。
「俺は別に何もいらねえよ。……ずっと傍に居ろ、死ぬ時まで」
真摯な言葉に深く頷き、レオンはカインの首筋に腕を回して強く抱擁した。
ふと気付いて足元を見下ろすと、いつのまにか自分は庭に捨ててきた旅装束に着替えている。
立っている場所も、暗い地下室ではなく焼け焦げた大広間の隅だった。
「……!?」
目の前では、婚礼のような白い衣装のオスカーが誰かと話している。
その美しい金髪と破れた装飾の肩布をぼんやりと見ていると、カラスのくちばしのようなマスクを付けた黒衣の男が二人、その傍に立っているのに気付いた。
彼らのベルトと工具だらけの服に記憶が蘇る。
「マルファスと、ハルファス……?」
驚いて思わず声を上げた。
途端、レオンの発した言葉に振り返った貴公子がそばへとやって来る。
彼の背後でマルファス達は廊下へと去って行き、広間は二人きりになった。
「やっと正気に戻ったか。お前、私を離さないと言って大変だったのだぞ」
ニッコリと微笑まれて頭が混乱する。
(え……俺は……傭兵に捕まって……それから……?)
しばらく何も思い出せなかったが、徐々に自分の痴態とヴィクトルの事を思い出し、レオンの表情から血の気が失せた。
「あ……ぁ……っ、ヴィクトル……っ!?」
探すように辺りを見回すレオンを、オスカーが不機嫌な声音で制する。
「あの男は怪我をしているのでマルファス達に頼んである。彼らなら人間に干渉する神の力があるからな。それから、逃げた傭兵とこの惨事の後始末も……借りは作りたくなかったが仕方がない。私達は王都へ戻るぞ」
絶句していると、大広間にふらふらと小柄な人影が入って来た。
異様な風体に一瞬誰かと驚く。
切り揃えた髪がボサボサになり、服も汚れきってすっかり老け込んだ男――ギレスだった。
「……あれえ……何故、私はここにいるのだあ……? そなた達は、何者だ……何故、ここにいる……?」
呆けたようになってウロウロする彼に、オスカーが華やかに微笑んだ。
「閣下はもう何も心配なさる必要はありませんよ。これからあなたの屋敷から使いのものが来ますから、座って少しお休みになればいい」
クッションの焦げた豪華な椅子が指さされ、ギレスは素直にストンとそこへ座った。
だがその表情に力は無く、とても正気とは思えない。改めて恐ろしくなり、レオンは視線を逸らした。
「さあ、行くぞ」
オスカーが言い放って廊下の方へ出て行く。
「ヴィクトルは……」
「あいつらが連れて帰るだろう」
「だろうって、お前」
眉を顰めて声を上げたが、無視された。
金髪の後ろ姿が拗ねたようにどんどん遠ざかって行く。
色々と言いたい事や聞きたいことがあったが、レオンは黙ってその背中を追いかける他無かった。
ギレスの屋敷の厩から葦毛の馬を一頭調達し、二人は王都へと向かう街道をゆっくりと戻り始めた。
二人で旅をするのは久々だ。
だが相手は、馬に乗ってしまうと殆ど何も話さなくなった。
レオンも、昨夜彼にされた仕打ちやヴィクトルのことを考えると、とても口を聞く気になれなかった。力になってくれた友人をどれ程傷付けたか分からない。そう思うと憂鬱になり、恋人を取り返したというのに、王都に帰る足も鈍った。
静かに馬を進めている内に太陽が高く昇り、草原に明るい日差しが照り付け始める。
辺りは春先の気候というよりも、蒸し暑い程の陽気になっていた。
先を行くオスカーが急に馬の手綱を引き、止まってレオンの方を振り向く。
「いつまで拗ねているつもりだ」
責めるような口調でそんな風に言われ、レオンは力なく首を振った。
「拗ねていない……。疲れているのと、落ち込んでいるんだ……」
「……」
オスカーはその言葉を聞き、視線で街道脇に生える大きなトチの木を示した。
「では、あの下で少し休もう」
誘われるままに手綱を引いて馬を跨ぎ、地面に降りる。
旅の疲労と苦悩で今にも倒れてしまいそうだったので、提案は有難かった。
新緑の作る木陰の下へ歩き、オスカーと共に腰を下ろす。
涼しい風に暫くぼんやりと目を閉じていたが、大事なことを思い出し、レオンは唇を開いた。
「オスカー、すまない……お前の正体をヴィクトルに話してしまった……」
小さなため息と共に、オスカーがレオンの肩をそっと抱き寄せた。
「知ってる。あの男と少し話したからな」
その言葉に、頬が紅く火照った。
あんな場面を見られておきながら、普通にそんな会話ができる相手が信じられない。
「ほ、ほかに一体何を話したんだ……っ」
「それは内緒だ。……が、面と向かって、あんな事をしてはお前が可哀想だと言われたな」
その言葉に居た堪れなくなり、レオンは膝頭の間に顔を伏せた。
死ぬほど恥ずかしい事には変わりないが、彼が怒っておらず、それどころか同情的であることが救いだ。
「マルファス達に記憶を消させようかとも思ったが、まあ、害はなさそうだったからそのままにしておいた」
「……っ! 消せるものなら、何故消してくれないんだ……っ」
抗議すると、オスカーは頑なに首を振った。
「消したらあの男はまたお前に手を出す」
その態度に閉口する。
やはり自分はヴィクトルに見せ付けるためにあの場で犯されたのだとはっきり分かり、やるせない気持ちで膝を抱えた手に力が入った。
俯いたまま呻くような声でせめてもの抗議を漏らす。
「お前は、時々酷すぎる……。今は、俺にだって立場ってものがある。部下にあんな姿を見られるなんて最悪だ……それに、彼は俺を助けてくれたのに」
「お前が易々とあの男に身体を触らせたのが悪い」
冷ややかにそう言われると、それ以上言い返すことも出来ない。
「それは悪かった……。これからはちゃんと、気をつけるから……」
「そうするがいい」
言葉ではそっけなく言われたが、逞しい両腕が伸びてきてレオンの身体が強く抱きしめられた。
身体を反転させて移動し、相手の膝を跨ぐようにして身体を預ける。
心地の良い体温に安心し、心にわだかまっていたものがほんの少しずつ溶けてゆくのが分かった。
「……。私が本当に結婚するかと思ったのか?」
優しく問われ、肩に額を付けたまま頷いた。
「そうする他ないと、お前が思ったのかと……」
「王都でギレスが私を疑った時あの場に居たのは、ギレスとあの傭兵頭だけだ。彼らを王都から離した後、どこか人目の無い場所で昨日のように始末するつもりだった」
「――俺を一緒に連れていってくれれば良かったのに」
ペリドットの瞳を覗き込むと、彼は首を振った。
「ずっと、政治的な事にはお前を巻き込みたく無いと思っていた。私の世界は綺麗事だけでは済まない……お前の手を汚すのは避けたかったし、何も心配させたくなかった」
「俺はそれでは嫌だ。お前が戦うなら一緒に戦いたい。大体、俺に再び剣を持たせたのはお前なのに」
オスカーがふっと瞳を細める。
「そうだったな。お前が騒ぎを起こして貴族どもを追い出し、傭兵を殺してくれた事は、結果的には助かった。ギレスはあの後貴族どもと連れ立って東部へ帰るつもりで、そうなれば昨日のような機会は東部に行くまで無かっただろう……」
レオンは驚いて目を見開いた。
「俺がした事は全てお前にはありがた迷惑だったのかと思っていた」
「そんな事はない。だが、あの男を連れてきた事だけは未だに許していないからな」
「……っ。お前の方がいつまでも拗ねてるじゃないか」
レオンはあきれ、そしてふっと思い出して言葉を繋いだ。
「そういえば俺だって、お前が縁談のことを黙っていた事に傷付いたんだ。あの場で初めて聞いたものだから、随分余計な心配をする羽目になったんだぞ。きちんとどうするつもりなのか話していてくれれば……」
「……そうだな。それについては私も反省した」
レオンは吃驚して一瞬固まった。
貴公子の姿をしているとはいえ、恋人の口からそんな殊勝な言葉を聞いたことが無い。
「オスカー……?」
体を離し、顔を見つめようとした途端、目の前の男の顔立ちが妖艶なカインのそれになっていることに気付いた。
柔らかな銀髪が手に触れ、赤い宝石のような瞳に見入る。
木漏れ日の映る彼の青白い相貌が近付き、前髪を分けるように額に口付けられた。
「おかしな心配すんな。……俺の伴侶は生涯お前だけだ」
「……!」
思いがけない声明にレオンが言葉を失っていると、カインが自分の頭に片手を伸ばし、左の巻角の尖った先をパキンと音を立てて折り取った。
「お前にやる」
言われるがままに、手の平を出して硬い角先を受け取る。
「――俺の元いた世界では結婚はこうして誓う。角が折れている奴は既婚ってことだ……下らねえ習慣だと思ってたが……」
彼は照れたように呟き、前髪をぐしゃりと掴みながら視線を逸らした。
その横顔を見つめながら、手の平に貰ったものをしっかりと握り込む。
ひんやりとして滑らかな感触を指で何度も確かめている内に、胸の底が熱くなり、ぎゅっと何かがこみ上げてきた。
「……っ、どうしよう……俺はっ、何も渡せるものがない……」
首を傾げて微笑むと、涙が頬に零れた。
長い指先がその雫を撫で取り、いつにない真剣な瞳に間近でじっと見つめられる。
「俺は別に何もいらねえよ。……ずっと傍に居ろ、死ぬ時まで」
真摯な言葉に深く頷き、レオンはカインの首筋に腕を回して強く抱擁した。
45
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
嫌われ将軍(おっさん)ですがなぜか年下の美形騎士が離してくれない
天岸 あおい
BL
第12回BL大賞・奨励賞を受賞しました(旧タイトル『嫌われ将軍、実は傾国の愛されおっさんでした』)。そして12月に新タイトルで書籍が発売されます。
「ガイ・デオタード将軍、そなたに邪竜討伐の任を与える。我が命を果たすまで、この国に戻ることは許さぬ」
――新王から事実上の追放を受けたガイ。
副官を始め、部下たちも冷ややかな態度。
ずっと感じていたが、自分は嫌われていたのだと悟りながらガイは王命を受け、邪竜討伐の旅に出る。
その際、一人の若き青年エリクがガイのお供を申し出る。
兵を辞めてまで英雄を手伝いたいというエリクに野心があるように感じつつ、ガイはエリクを連れて旅立つ。
エリクの野心も、新王の冷遇も、部下たちの冷ややかさも、すべてはガイへの愛だと知らずに――
筋肉おっさん受け好きに捧げる、実は愛されおっさん冒険譚。
※12/1ごろから書籍化記念の番外編を連載予定。二人と一匹のハイテンションラブな後日談です。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
わからないから、教えて ―恋知らずの天才魔術師は秀才教師に執着中
月灯
BL
【本編完結済・番外編更新中】魔術学院の真面目な新米教師・アーサーには秘密がある。かつての同級生、いまは天才魔術師として名を馳せるジルベルトに抱かれていることだ。
……なぜジルベルトは僕なんかを相手に?
疑問は募るが、ジルベルトに想いを寄せるアーサーは、いまの関係を失いたくないあまり踏み込めずにいた。
しかしこの頃、ジルベルトの様子がどうもおかしいようで……。
気持ちに無自覚な執着攻め×真面目片想い受け
イラストはキューさん(@kyu_manase3)に描いていただきました!
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。
ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない
Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。
かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。
後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。
群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って……
冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。
表紙は友人絵師kouma.作です♪
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる