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ヴィクトル・シェンクの受難
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「? 分かった」
素直にベッドの脇にバアルがストンと跪く。
「……さて、どうしてほしい? お前の靴を脱がしながら、足の裏を舐めてやろうか?」
嬉々とした顔で提案する白い美貌を、ヴィクトルは思いきり軍靴で踏んだ。
「うぐ!」
「まずは俺の質問に答えろ……。……雲隠れしてる間、ずっと俺のことを見てやがったのか……?」
殺気に溢れたその尋問に、バアルはうっとりと答えた。
「だって、お前がしばらく私に消えろと言うから、望み通りにしたのだよ。でも、姿だけ消して、いつも離れないようにはしていた。お前が心配だからな」
「~~~~っ」
絶句しているヴィクトルの軍靴の紐を、バアルの首元から出た触手が丁寧に解いてゆく。
「でも、あんなに可愛いお前が見られるとは思わなかった……。私を必死に探してくれたり、居ないからと落ち込んだり……。挙げ句の果てに尻をいじりながら私の名を」
「それ以上言ったら殺す」
もう一度踏みつけようと太腿に力を込めた途端、ずるっと靴が足から引き抜かれた。
逆側の足で肩を蹴ろうとしたが、それも触手に捉えられて靴紐を解かれてゆく。
バアルが剥き出しの脛に頬ずりしながら真剣な眼差しでヴィクトルを見た。
睫毛に縁取られた優しげなその紫の瞳は、アミュの時のままだ。
「……お前を愛している」
紅い唇が紡いだ言葉に、ヴィクトルは激しく動揺した。
「う……っ、そばっかり言いやがって……っ」
思わずベッドの上を尻で這って後ろに逃げる。
この男は、単なる興味本位で自分に近づいてきた気まぐれな悪魔だ。
そんな訳の分からないものに絆されたくない。
心の中を見透かされるのも沢山だ。
バアルが立ち上がり、追うようにベッドの上に膝で上がってきた。
「来るんじゃねえっ、もう嫌だ……! お前に振り回されるのはごめんなんだよ……っ……あ」
白いトーガの腕の袖口から伸びてきた触手に手首を掴まれる。
いつの間にかヴィクトルの吊り気味の目尻に涙が浮かび、こぼれていた。
「それ、嫌いなんだよ……余計な腕いっぱい生やしやがって……いつも訳わかんなくなって、俺がお前に触れねえだろ……っ」
ぎりっと睨み付けると、バアルはハッとした表情で触手を引っ込めた。
「わ、悪かった……でも、少しでも早く、私の全部でお前に触りたくて……だって、私だって七日間、目の前の可愛すぎるお前に触れられなくて死ぬかと思うほど辛かったのだよ」
人間の形をした方のバアルの手がヴィクトルの手の甲に重ねられ、潤んだ紫色の目が至近距離で必死に訴えてくる。
その懇願にヴィクトルはいい仕置きの方法を思いつき、はじめて口元を綻ばせた。
「……。そんなに俺に触れたかったのか?」
「ああ……気が狂うかと思うほど」
「今も?」
「今もだ。……お前の体中にキスして、匂いを嗅いで、極上の体液を舐めて啜らないと死にそうだ……」
「ふうん、そうか。――なら、今夜はお前の本体を出すのは禁止させて貰う。最初から最後まで、絶対に人間の形をきっちり保つなら、抱かれてやらないことはないぜ」
「!!????」
バアルが声にならない悲鳴を上げ、真っ青になった。
どうやら思った通り、自分の提案はこの男には何よりの罰だったらしい。
「どうすんだ。してぇんなら、さっさとそのズルズルした服を脱げ」
軍服のホックを外し、褐色の肌を見せつけて誘いながらそう言ってやると、バアルは美しい顔を情けなく歪めて頷いた。
「んぶふ、んーっ」
腰の下で、バアルが唇を塞がれて呻いている。
引き締まった尻肉を神の顔の上にどっかりと乗せたまま、ヴィクトルは彼の性器をゆっくりした舌遣いで口淫していた。
体の下にはバアルの素晴らしい肉体が組み敷かれているが、その肌にいつもある青い斑紋は消え、人間のような白く滑らかな皮膚と隆起した筋肉がヒクヒクと震えている。
普段は伸び縮みしたり、先が割れて舌が飛び出したりするバアルの分身は、辛うじて人間の雄のそれの形を保っていて、震えながらはち切れんばかりに勃起していた。
鈴口の体裁を保っている小さな穴に舌をねじ込んでやると、ちゅうちゅうと吸い付いて来ようとするので、すかさず口を離して抗議する。
「おい、人間のチンポは舌は吸わねえぞ」
「んうっ、んーっ」
尻の下から悲痛な叫びらしきものが上がった。
その反応に、この7日間で溜まった鬱憤が少しは晴れてゆく。
唾液を絡めてペニスを舐め回していると、尻が鷲掴まれて持ち上げられ、バアルのぼやきが狭間から漏れてきた。
「酷すぎる……触れているのにお前の体液が吸えないなんて……拷問のようだ……っ」
その言葉に満足感を覚えつつ、ヴィクトルは手の中にあるペニスの裏筋を舐め上げ、震えるカリ首に舌先から唾液を垂らした。
太い屹立がビクっと揺れ、生き物のように悶えだす。
辛うじて飲むのを我慢しているのか、唾液は根本に向かってこぼれ落ちた。
その軌跡を追いかけるように舌を這わせ、側面からしゃぶるようにキスを繰り返す。
バアルもお返しとばかりにヴィクトルの後孔を舌で突き始めたが、触手のそれとは違い、ひどく稚拙な動きだった。
恐らく、人間の形を保つのに必死なあまり、身体に神経が行き届かないに違いない。
(……こいつ、触手以外はほぼサボってたしな…………)
ごく浅い部分を愛撫している男の熱っぽい舌に尻を押し付けると、もっと深くまでほじられ、吸われた経験を持つそこの筋肉が飢えを訴えるようにヒクヒクと痙攣した。
「っ……、ンっ」
素直にベッドの脇にバアルがストンと跪く。
「……さて、どうしてほしい? お前の靴を脱がしながら、足の裏を舐めてやろうか?」
嬉々とした顔で提案する白い美貌を、ヴィクトルは思いきり軍靴で踏んだ。
「うぐ!」
「まずは俺の質問に答えろ……。……雲隠れしてる間、ずっと俺のことを見てやがったのか……?」
殺気に溢れたその尋問に、バアルはうっとりと答えた。
「だって、お前がしばらく私に消えろと言うから、望み通りにしたのだよ。でも、姿だけ消して、いつも離れないようにはしていた。お前が心配だからな」
「~~~~っ」
絶句しているヴィクトルの軍靴の紐を、バアルの首元から出た触手が丁寧に解いてゆく。
「でも、あんなに可愛いお前が見られるとは思わなかった……。私を必死に探してくれたり、居ないからと落ち込んだり……。挙げ句の果てに尻をいじりながら私の名を」
「それ以上言ったら殺す」
もう一度踏みつけようと太腿に力を込めた途端、ずるっと靴が足から引き抜かれた。
逆側の足で肩を蹴ろうとしたが、それも触手に捉えられて靴紐を解かれてゆく。
バアルが剥き出しの脛に頬ずりしながら真剣な眼差しでヴィクトルを見た。
睫毛に縁取られた優しげなその紫の瞳は、アミュの時のままだ。
「……お前を愛している」
紅い唇が紡いだ言葉に、ヴィクトルは激しく動揺した。
「う……っ、そばっかり言いやがって……っ」
思わずベッドの上を尻で這って後ろに逃げる。
この男は、単なる興味本位で自分に近づいてきた気まぐれな悪魔だ。
そんな訳の分からないものに絆されたくない。
心の中を見透かされるのも沢山だ。
バアルが立ち上がり、追うようにベッドの上に膝で上がってきた。
「来るんじゃねえっ、もう嫌だ……! お前に振り回されるのはごめんなんだよ……っ……あ」
白いトーガの腕の袖口から伸びてきた触手に手首を掴まれる。
いつの間にかヴィクトルの吊り気味の目尻に涙が浮かび、こぼれていた。
「それ、嫌いなんだよ……余計な腕いっぱい生やしやがって……いつも訳わかんなくなって、俺がお前に触れねえだろ……っ」
ぎりっと睨み付けると、バアルはハッとした表情で触手を引っ込めた。
「わ、悪かった……でも、少しでも早く、私の全部でお前に触りたくて……だって、私だって七日間、目の前の可愛すぎるお前に触れられなくて死ぬかと思うほど辛かったのだよ」
人間の形をした方のバアルの手がヴィクトルの手の甲に重ねられ、潤んだ紫色の目が至近距離で必死に訴えてくる。
その懇願にヴィクトルはいい仕置きの方法を思いつき、はじめて口元を綻ばせた。
「……。そんなに俺に触れたかったのか?」
「ああ……気が狂うかと思うほど」
「今も?」
「今もだ。……お前の体中にキスして、匂いを嗅いで、極上の体液を舐めて啜らないと死にそうだ……」
「ふうん、そうか。――なら、今夜はお前の本体を出すのは禁止させて貰う。最初から最後まで、絶対に人間の形をきっちり保つなら、抱かれてやらないことはないぜ」
「!!????」
バアルが声にならない悲鳴を上げ、真っ青になった。
どうやら思った通り、自分の提案はこの男には何よりの罰だったらしい。
「どうすんだ。してぇんなら、さっさとそのズルズルした服を脱げ」
軍服のホックを外し、褐色の肌を見せつけて誘いながらそう言ってやると、バアルは美しい顔を情けなく歪めて頷いた。
「んぶふ、んーっ」
腰の下で、バアルが唇を塞がれて呻いている。
引き締まった尻肉を神の顔の上にどっかりと乗せたまま、ヴィクトルは彼の性器をゆっくりした舌遣いで口淫していた。
体の下にはバアルの素晴らしい肉体が組み敷かれているが、その肌にいつもある青い斑紋は消え、人間のような白く滑らかな皮膚と隆起した筋肉がヒクヒクと震えている。
普段は伸び縮みしたり、先が割れて舌が飛び出したりするバアルの分身は、辛うじて人間の雄のそれの形を保っていて、震えながらはち切れんばかりに勃起していた。
鈴口の体裁を保っている小さな穴に舌をねじ込んでやると、ちゅうちゅうと吸い付いて来ようとするので、すかさず口を離して抗議する。
「おい、人間のチンポは舌は吸わねえぞ」
「んうっ、んーっ」
尻の下から悲痛な叫びらしきものが上がった。
その反応に、この7日間で溜まった鬱憤が少しは晴れてゆく。
唾液を絡めてペニスを舐め回していると、尻が鷲掴まれて持ち上げられ、バアルのぼやきが狭間から漏れてきた。
「酷すぎる……触れているのにお前の体液が吸えないなんて……拷問のようだ……っ」
その言葉に満足感を覚えつつ、ヴィクトルは手の中にあるペニスの裏筋を舐め上げ、震えるカリ首に舌先から唾液を垂らした。
太い屹立がビクっと揺れ、生き物のように悶えだす。
辛うじて飲むのを我慢しているのか、唾液は根本に向かってこぼれ落ちた。
その軌跡を追いかけるように舌を這わせ、側面からしゃぶるようにキスを繰り返す。
バアルもお返しとばかりにヴィクトルの後孔を舌で突き始めたが、触手のそれとは違い、ひどく稚拙な動きだった。
恐らく、人間の形を保つのに必死なあまり、身体に神経が行き届かないに違いない。
(……こいつ、触手以外はほぼサボってたしな…………)
ごく浅い部分を愛撫している男の熱っぽい舌に尻を押し付けると、もっと深くまでほじられ、吸われた経験を持つそこの筋肉が飢えを訴えるようにヒクヒクと痙攣した。
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