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姉
公爵(父親)視点
しおりを挟む「女の子供は少しくらいおバカな方が可愛い」
そう思っていた。
だから、2人の娘のうち、我儘を言う妹のアゼリアに手をかけた。
公爵家らしいマナーを学ばせる。最低限のマナーは直ぐできるようになったのに、全く成長する兆しがない。
物欲があり、高貴な貴族としての気高さもあるが、言えばそれだけだった。
一方、姉のイボンヌは勝手に育った。
物心ついた時には生意気な口を聞いていた。
まるで、壮年の淑女と話している感じがした。
妹のアゼリアに全てを奪われて、部屋には何も無かった。初めは、質素倹約をしていると思い、何処かの思想家にならないように、厳しく咎めた。だが、予算はおりていて買い物もいていた。
疑問はアゼリアのへやに入って理解した。
アゼリアの物欲は、普通の公爵家の物欲よりも上のはしたないものだった。
人のものを奪うなんて、公爵家にはいらない思想だ。
お金ならある。
初めは優しく諭すように教育をしたが、根っからの根性がはしたないのか?まったく変わることはなかった。
姉から奪えるものがなくなると、他家のお嬢様の自慢の品から使用人のアクセサリーまで欲しがった。
そこまでなら、お金で解決できるのだが、公爵家の秘宝まで欲しがった。
その秘宝は兄である跡継ぎの嫁にしか渡されない。
かなり怒りつけて、アゼリアの部屋のものを全て没収して、何もない部屋に謹慎させた。
アゼリアは反省して、泣いて謝るから、許した。
全てのものを返す代わりに、姉であるイボンヌがしている商売を見様見真似でやってみるように言いつけた。
ほしいものは全て金で手に入れるように…金で全てを奪える。
そう、教えて…金稼ぎの方法を教えた。
もちろん、優秀なものを周りに付けた。
警備、会計、秘書、共同経営者。
変わった発想を持っていたアゼリアは、イボンヌほどではないが、個人資産を増やしていった。
しかし、今度は婚約者の交代を頼みにきた。
物ではない。
幼いうちの気の移ろいはある。
交代ぐらいは構わない。
そう思って、イボンヌとアゼリアの婚約者の意見も聞かずに、婚約者を交代した。
イボンヌは嫌だったのだろう。
アゼリアを使って、浮気が元の相手の過失だと認めさせて婚約者と婚約解消をした。
「それほど身分の低い婚約者が嫌だったのか?」そう、イボンヌに聞いたときには、何も言わなかったが、当てつけのように平民たちと交流をするようになって、私を困らせた。
困らせたのは、イボンヌだけではない。
「王太子にイボンヌの紹介を頼まれたのに、受け入れなかったらしいと聞いたが?」
息子のウーギスにそう聞けば、イボンヌでは王太子に失礼だと言っていた。
「アゼリアなら紹介したいのだが…同じ身分の公爵と婚約しているから」
至極残念そうにそう言われた。
「アゼリアは今、関係無かろう?イボンヌが平民たちと仲良くしているのは聞いている。我が家で貴族から除籍されるものを作りたくはない。どんな縁でも縋りたいのだ。王太子とは言わん…何処か話しは来てないのか?」
私のところには、王太子の話が出てから、婚約の話は全てたち消えた。
たのみは息子のウーギスだけだった。
「はい。ありません。大丈夫です…イボンヌならば、自分で貴族との縁を結びますよ」
この時気がつけば良かったのだ。
息子のウーギスがイボンヌの生き方を応援していたことに…気が付かなかった。
しかも、アゼリアを知っていて公爵家のボンクラと結婚させたのは、お似合いだと思っていたからだ。
決して、王太子妃にするつもりはなかった。
アゼリアを安全に結婚させて、この家から追い出すためだと…後から気が付いた。
「アゼリアは男癖が悪い。愛人を囲っていた公爵に嫁ぐぐらいがちょうど良いのです」
後から冷静にそういい、笑顔を見せていた。
「それまで、イボンヌに興味を持たず突き放してきたのですから、家を出るくらい多めに見てあげて下さい。きっと、プラスになる筈ですよ」
息子の判断により、イボンヌが後に大商人と呼ばれる大国の大金持ちの王族と結婚することになるのだが…私には何も言え無くなっていた。
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