4 / 7
姉
母親視点
しおりを挟む私には、越えられない壁がいつもそばにいた。
仲が悪い訳ではなく、甘えたりもした。
私の姉だ。
歳が近いからいつも一緒。
ただ、一つ歳が違うだけで、色んなことが私よりも優れていた。
それが…とても嫌だった。
「狡い」と何度も思ったけれども、勝つことは容易ではなく、そのうち…態度にもその気持ちが現れていたらしい。
姉との会話は、日々減って行った。
離れれば離れるほど、姉が羨ましくなっていた。
だから、姉のものを欲しがった。
母はそんな私を可愛がってくれ、姉のものを与えてくれた。
つまり、私が奪ったわけではない。
あくまでも母の独断だ。
こうして、母は父に咎められても、私を甘やかした。
その分、姉は父から信頼されていた。
それがたまらなく悔しかった。
いつか…見返したい。
そう思っていた矢先。
姉の婚約者が公爵家の身分の人に決まった。
悔しくてたまらなかった。
公爵家の身分よりも上と言ったら、王太子ぐらいしかいない。
でも、同じ年代に王太子はいない。
母に相談したら、翌日から姉の婚約者を紹介された。
姉と婚約者とのお茶会の場に…何度も連れて行かれることになる。
つまり…姉から奪えと言っているのだ。
公爵様もそのうち、姉よりも私と話をするようになる。
「妻にするなら少しバカなくらいがちょうどいい」公爵様がそう言って、私は姉の婚約者を奪うことに成功した。
優秀なだけでは男の人には好かれないのだ。
いい気味!
姉に対して…「勝った」と喜んだ。
そして、数日後…姉は亡くなった。
病死とされているが…
家の後を継いだ弟から「何であんたが生きてるの?」と、他人のように見られた。
母は「気にしないで幸せになりなさい」と何度も言って、後日…父から家を出されていた。
領地の別荘で暮らしたらしい。
家族から疎遠となり、公爵家の婦人として楽しく過ごしていた私の元に…1人の長男と2人の娘が生まれた。
長男はしっかり物で、公爵様にそっくりに育った。
末の娘は、私そっくり。
真ん中の長女は…
姉に似ていた。
「きっと姉の生まれ変わりなのね…私に復讐しに来たんだわ」
コッチを見て、様子を伺う感じは、姉に似ていて不気味だった。
いつの間にかマナーも完璧で、家庭教師が「婦人を見て育ったのですね?完璧で言うことないですわ」と言った。
でも、私よりもそのマナーは飛び抜けて素晴らしかった。
何処で学んだのかわからない。
実の子なのに…この子だけ畏怖なものに見えた。
だから、妹を贔屓して、姉を差別をした。
長男はその行為を知って、私から離れて行った。
公爵様には、私から報告をしている。
家内の使用人たちは私の味方だ。
みんな、結局は不気味に思っていたのだ。
子供に見えない娘だったから。
しかし、古株の執事は違った。
「イボンヌお嬢様は公爵様の子どもの頃にそっくりですなぁ。手がかからず、聡明なところは特に!」
そんなことを話す。
「女は少しぐらいバカな方がいい」公爵様がそう言って返した。
私はホッとした。
公爵様が私を選んだのだ。
執事が何を言おうが、私の意見が通る。
社交会も一緒にデビューさせ、婚約者を変えた。
イボンヌが追い出した兵士を助けて、領地に送った。
その兵士が後々私の財産を盗むことになる。
そのことを知らずにイボンヌだけを責め立てた。
そして、イボンヌは家を出ると言った。
イボンヌは学園を卒業すると世界に瞬く女商人としてかなりの財を成し、沢山の孤児を養子に迎えて商会を作り、後々の世の中・世界になくてはならない商会を作った。
イボンヌが居なくなると…長男は私を領地の別荘に押し込めた。
そこは、ど田舎。
楽しむところもない。
使用人は私を味方してくれていた本宅の気の知れたみんなだったが、そのうち雇えなくなって…出て行った。
私の財産を盗んだ兵士は、その後…すぐに公爵様に捕まり、処刑された。
財産は戻って来なかった。
公爵様が「兵を出させた費用として預かる」と言った。
何が起きたのかわからない。
とにかく、世話をしてくれる人が居なくなって、私はひっそりとこの世から去ることになる。
「私は幸せだったの?」
疑問だらけだ。
11
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる