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新しい世話役
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「そのへんに、転がしておけ」
秋彦の声がして僕は革張りのソファの上にゆっくりと降ろされたが、わずかな動きにも身体は大きく痙攣して高い声が漏れた。
「あの、彼は…」
「ここで働くなら、そいつへの同情など捨てることだ。それが出来ないのならば、契約書にはサインしなくていい」
苦しい、縛っているものをほんの少しでいいから緩めて欲しい。
「あき、ひこ……ぉっ…」
「憐。話が終わったら、ちゃんと外してやる。それまで大人しくしていろ」
僕に言い捨てるように命じ、ローテーブルの上に白い紙切れ並べていく秋彦の姿が涙越しに見える。僕はソファの肘掛を掴んで、痛みに耐える。
「紹介された時に話を聞いてきたかもしれないが、この店はそこの憐のような男娼のいる男色家向けの店だ」
秋彦がゆったりとした口調で牡丹茶寮の説明を始め、ときおり隆文が口を挟んだが、僕の頭には二人の会話はほとんど入ってこなかった。
ただ秋彦が、僕が限界なのを分かっていながらわざと会話を長引かせていることくらい分かる。
「では私は世話役として、憐さんのお手伝いをすればよいのですね」
「世話役兼、監視役だ。こいつがお客様以外の者に手を出さないように見張っていろ。言わずともわかるだろうが、男娼と世話役で関係を持つなど、この店では御法度だ。ただし、大切な身体だ。性処理に手をかし面倒をみるのは構わない。早速だが……」
全身が汗でじんわり濡れ、肌にまとわりついていた着物が、勢いよく剥ぎ取られる。
僕を見下ろすように立っている秋彦が剥ぎ取った着物を放り、僕の身体を無造作に仰向けにして足を大きく開かせた。
「ぁ…っ、あき、ひこっ………っ」
「苦しいか?」
秋彦が太ももの内側を軽く撫でながら尋ねる。僕は秋彦を見つめながら、小刻みに何度も頷く。
「ぃ…い、イかせて…はや、…」
「苦しいのか。それなら、これを外してあげよう」
「あぁ…っ、ぁぁあ、な、なんでっ」
まず、腰に巻かれていたベルトが外され、次にペニスを縛っているものを解いてもらえる、と期待していたのに秋彦は、強い振動を続けていたバイブを引き抜いた。
内側が空っぽになって、蕾がヒクつく。
「そ、のまま…っ、い、イかせて…くれる、って…」
「イかせるとは言ってない。外してやると言っただけだ」
身体の熱が緩やかに収まりはじめる。
バイブでイかせてもらえないなら、と、ペニスを拘束していたベルトが外された瞬間、右手で握ろうと腕を伸ばしたら、両手首を強く掴まれた。
「自慰は許可してない」
「なん、でっ……っ」
手を掴まれたまま秋彦を縋るように見つめるが、口角をあげただけの笑みを返される。
「新しい世話役がいるのだから、手伝ってもらったらいいだろう?隆文、指を使って後ろだけでイかせてやれ」
足元に居た隆文が「かしこまりました」と、返事をする。僕は必死に首をふって、両足を閉じる。
「そんなの、やだっ」
世話役に、自慰の手伝いをさせたことくらいはある。
けれど好き勝手になって絶対させないし、指で触らせたこともない。
気分がいい時に、舐めさせてあげることがほとんどだ。
秋彦が笑みを消して、冷たい瞳で僕を見つめる。
「お前はすぐ調子に乗るからな。世話役相手だと自分が優位であると思い込んで、いいように利用する。少しは身体に分からせておくべきだろう。憐、足を開け。それともまた鞭で打たれた後、両手足を縛られて太いバイブでイかされたいか?」
秋彦の左手がお尻に伸び、肌についた鞭のあとを強くなぞられて刺すような痛みがはしる。
「ひぃっ、ご、ごめんな、さぃいっ…」
涙目になりながら足を開くと、隆文が黙って股の間に屈み込み左手で軽く僕の膝をおさえてさらに足を開かせた。指先が蕾にそっと押し当てられ、するりと中に押し挿れられた。
「あぁ…っ……」
バイブで散々かき回されていたせいで、指を一本いれられたくらいじゃ物足りない。
二本目の指もするりと挿入された。二本の指が、焦らすように入り口をゆっくりとかき回す。ペニスに、じわじわと熱が溜まりはじめた。
指を、もっと、奥に。
ねだりたいけど、まるでお客に甘える時のようで絶対に口にしたくない。
まして、両手は秋彦に掴まれ新しい世話役だという男に好き勝手に指で弄られているこの最悪の状況で。
「ぜ、ぜんっぜん…気持ちよく、ない、し…っ」
股の間に屈みこんだ隆文から目をそらしながら言うと、秋彦がふっと笑い声をあげる。
「こいつがやたらと虚勢を張りたがるのは、許してやってくれ。私の躾が悪いんだ」
「気にしません。憐さん、指が二本では足りませんか」
挿しこまれていた二本の指がゆっくりと抜かれたかと思うと、一気に太い指の束がずぶりと挿入される。
「あぁぁぁんっ、あぁ…っ」
ぐりぐりと指で中をかき回されて、ペニスが正直に反応し始める。
もっと、もっと……。
「もっと、奥、ですか?」
僕は額に浮かんだ汗を飛ばしながら首を左右に振ったが、指先がぐっと押し挿れられる。
「ひぃあ、ぁぁっっ…」
身体が一気に熱をおび、腰がびくんと震える。
挿し込まれた隆文の指を、内壁がぎゅっと締め付けている。
「動かします」
「やぁぁっ…あぁぁっっ…っあぁぁっ」
ゆったりとした動きで、奥の一点を刺激される。擦られて、押されるたびに、唾液と共に声が漏れる。ペニスはいきり勃ち、先から透明な液がじわじわと溢れ始めている。
「あっぁぁ…ぁぁっ……っっ」
「憐さん…少し強く押しましょう」
「っ、ぁあ、ぁあああぁっあぁあっ…っぁああああッッッ」
奥へと強く押し込められた瞬間、頭が真っ白になる。身体中が痙攣して、熱が飛び散った。
「……っ、んっ……っ」
息を大きく吸いこむ。
全身が汗まみれで、背中がソファの革に引っ付いている。自分の両足の間では、隆文が頬からスーツの襟にかけて飛び散った白濁液をハンカチで拭いていた。
その表情は庭先で会った時と変わらず硬い無表情なままだ。
僕の視線に気がつくと隆文は薄茶色の瞳でまっすぐに見つめ返してきて「気持ち良かったですか」と、言った。
そして僕の返事など初めから期待していないかのようにそのまま黙って、ハンカチで僕の太ももに飛んだ白濁液をぬぐい始める。
僕は、秋彦に掴まれていた足をふりほどき力をこめて、思いきり隆文の肩を蹴り飛ばした。
「憐」
秋彦が半ば窘めるように、半ば呆れ返ったように僕の名前を呼ぶ。
この無表情な新しい世話役も、秋彦も大っ嫌いだ。
そう秋彦に言ってやろうと、口を開いた時、廊下に面した執務室の扉ががちゃりと開く。
「オーナー。昨日のことで……」
扉を開けて立つ龍也と目が合う。龍也はずかずかと部屋に入ってくると、僕と秋彦と、僕の足元で顔を伏せている隆文を見回したあと、一瞬だけ僕を見返してムカつく笑顔をつくった。
「昨日のことで、お話があるんですが…出直しますか?」
「こっちの事は済んだが、龍也は新入りに店を案内してやってくれ。今夜から働かせる」
秋彦がやっと僕の両手を解放し、ローテーブルの上のサインの書かれた契約書を集めていく。
「了解しました。ではお話はまたあとで……行こうか、新入りくん」
「憐、お前ももういい。仕置きは終わりだ。今夜から店に出ろ」
握られて赤くなった手首をさすっていた僕は、秋彦の言葉に手をとめた。
「え、でも。まだお尻、腫れてるし…」
「いつものように我儘を言って怒られたとでも説明しておくんだな。さっさと戻って少し寝ろ」
紙の束を持った右手で追い払うような仕草をとる秋彦に、頬を膨らませたが秋彦はこちらをちらりとも見ない。
「ほんとに、秋彦なんて嫌い」
呟いて、絨毯の上に落ちていた着物を拾って執務室を飛び出す。
お仕置き、ちゃんと受けたんだから少しは甘えさせてくれてもいいのに。
「お姫ちゃん、またそんなに着物はだけさせて…」
笑いを滲ませた龍也の声には足を止めず、龍也とその後ろに立つ隆文に向かって思いきり舌を突き出した。
秋彦の声がして僕は革張りのソファの上にゆっくりと降ろされたが、わずかな動きにも身体は大きく痙攣して高い声が漏れた。
「あの、彼は…」
「ここで働くなら、そいつへの同情など捨てることだ。それが出来ないのならば、契約書にはサインしなくていい」
苦しい、縛っているものをほんの少しでいいから緩めて欲しい。
「あき、ひこ……ぉっ…」
「憐。話が終わったら、ちゃんと外してやる。それまで大人しくしていろ」
僕に言い捨てるように命じ、ローテーブルの上に白い紙切れ並べていく秋彦の姿が涙越しに見える。僕はソファの肘掛を掴んで、痛みに耐える。
「紹介された時に話を聞いてきたかもしれないが、この店はそこの憐のような男娼のいる男色家向けの店だ」
秋彦がゆったりとした口調で牡丹茶寮の説明を始め、ときおり隆文が口を挟んだが、僕の頭には二人の会話はほとんど入ってこなかった。
ただ秋彦が、僕が限界なのを分かっていながらわざと会話を長引かせていることくらい分かる。
「では私は世話役として、憐さんのお手伝いをすればよいのですね」
「世話役兼、監視役だ。こいつがお客様以外の者に手を出さないように見張っていろ。言わずともわかるだろうが、男娼と世話役で関係を持つなど、この店では御法度だ。ただし、大切な身体だ。性処理に手をかし面倒をみるのは構わない。早速だが……」
全身が汗でじんわり濡れ、肌にまとわりついていた着物が、勢いよく剥ぎ取られる。
僕を見下ろすように立っている秋彦が剥ぎ取った着物を放り、僕の身体を無造作に仰向けにして足を大きく開かせた。
「ぁ…っ、あき、ひこっ………っ」
「苦しいか?」
秋彦が太ももの内側を軽く撫でながら尋ねる。僕は秋彦を見つめながら、小刻みに何度も頷く。
「ぃ…い、イかせて…はや、…」
「苦しいのか。それなら、これを外してあげよう」
「あぁ…っ、ぁぁあ、な、なんでっ」
まず、腰に巻かれていたベルトが外され、次にペニスを縛っているものを解いてもらえる、と期待していたのに秋彦は、強い振動を続けていたバイブを引き抜いた。
内側が空っぽになって、蕾がヒクつく。
「そ、のまま…っ、い、イかせて…くれる、って…」
「イかせるとは言ってない。外してやると言っただけだ」
身体の熱が緩やかに収まりはじめる。
バイブでイかせてもらえないなら、と、ペニスを拘束していたベルトが外された瞬間、右手で握ろうと腕を伸ばしたら、両手首を強く掴まれた。
「自慰は許可してない」
「なん、でっ……っ」
手を掴まれたまま秋彦を縋るように見つめるが、口角をあげただけの笑みを返される。
「新しい世話役がいるのだから、手伝ってもらったらいいだろう?隆文、指を使って後ろだけでイかせてやれ」
足元に居た隆文が「かしこまりました」と、返事をする。僕は必死に首をふって、両足を閉じる。
「そんなの、やだっ」
世話役に、自慰の手伝いをさせたことくらいはある。
けれど好き勝手になって絶対させないし、指で触らせたこともない。
気分がいい時に、舐めさせてあげることがほとんどだ。
秋彦が笑みを消して、冷たい瞳で僕を見つめる。
「お前はすぐ調子に乗るからな。世話役相手だと自分が優位であると思い込んで、いいように利用する。少しは身体に分からせておくべきだろう。憐、足を開け。それともまた鞭で打たれた後、両手足を縛られて太いバイブでイかされたいか?」
秋彦の左手がお尻に伸び、肌についた鞭のあとを強くなぞられて刺すような痛みがはしる。
「ひぃっ、ご、ごめんな、さぃいっ…」
涙目になりながら足を開くと、隆文が黙って股の間に屈み込み左手で軽く僕の膝をおさえてさらに足を開かせた。指先が蕾にそっと押し当てられ、するりと中に押し挿れられた。
「あぁ…っ……」
バイブで散々かき回されていたせいで、指を一本いれられたくらいじゃ物足りない。
二本目の指もするりと挿入された。二本の指が、焦らすように入り口をゆっくりとかき回す。ペニスに、じわじわと熱が溜まりはじめた。
指を、もっと、奥に。
ねだりたいけど、まるでお客に甘える時のようで絶対に口にしたくない。
まして、両手は秋彦に掴まれ新しい世話役だという男に好き勝手に指で弄られているこの最悪の状況で。
「ぜ、ぜんっぜん…気持ちよく、ない、し…っ」
股の間に屈みこんだ隆文から目をそらしながら言うと、秋彦がふっと笑い声をあげる。
「こいつがやたらと虚勢を張りたがるのは、許してやってくれ。私の躾が悪いんだ」
「気にしません。憐さん、指が二本では足りませんか」
挿しこまれていた二本の指がゆっくりと抜かれたかと思うと、一気に太い指の束がずぶりと挿入される。
「あぁぁぁんっ、あぁ…っ」
ぐりぐりと指で中をかき回されて、ペニスが正直に反応し始める。
もっと、もっと……。
「もっと、奥、ですか?」
僕は額に浮かんだ汗を飛ばしながら首を左右に振ったが、指先がぐっと押し挿れられる。
「ひぃあ、ぁぁっっ…」
身体が一気に熱をおび、腰がびくんと震える。
挿し込まれた隆文の指を、内壁がぎゅっと締め付けている。
「動かします」
「やぁぁっ…あぁぁっっ…っあぁぁっ」
ゆったりとした動きで、奥の一点を刺激される。擦られて、押されるたびに、唾液と共に声が漏れる。ペニスはいきり勃ち、先から透明な液がじわじわと溢れ始めている。
「あっぁぁ…ぁぁっ……っっ」
「憐さん…少し強く押しましょう」
「っ、ぁあ、ぁあああぁっあぁあっ…っぁああああッッッ」
奥へと強く押し込められた瞬間、頭が真っ白になる。身体中が痙攣して、熱が飛び散った。
「……っ、んっ……っ」
息を大きく吸いこむ。
全身が汗まみれで、背中がソファの革に引っ付いている。自分の両足の間では、隆文が頬からスーツの襟にかけて飛び散った白濁液をハンカチで拭いていた。
その表情は庭先で会った時と変わらず硬い無表情なままだ。
僕の視線に気がつくと隆文は薄茶色の瞳でまっすぐに見つめ返してきて「気持ち良かったですか」と、言った。
そして僕の返事など初めから期待していないかのようにそのまま黙って、ハンカチで僕の太ももに飛んだ白濁液をぬぐい始める。
僕は、秋彦に掴まれていた足をふりほどき力をこめて、思いきり隆文の肩を蹴り飛ばした。
「憐」
秋彦が半ば窘めるように、半ば呆れ返ったように僕の名前を呼ぶ。
この無表情な新しい世話役も、秋彦も大っ嫌いだ。
そう秋彦に言ってやろうと、口を開いた時、廊下に面した執務室の扉ががちゃりと開く。
「オーナー。昨日のことで……」
扉を開けて立つ龍也と目が合う。龍也はずかずかと部屋に入ってくると、僕と秋彦と、僕の足元で顔を伏せている隆文を見回したあと、一瞬だけ僕を見返してムカつく笑顔をつくった。
「昨日のことで、お話があるんですが…出直しますか?」
「こっちの事は済んだが、龍也は新入りに店を案内してやってくれ。今夜から働かせる」
秋彦がやっと僕の両手を解放し、ローテーブルの上のサインの書かれた契約書を集めていく。
「了解しました。ではお話はまたあとで……行こうか、新入りくん」
「憐、お前ももういい。仕置きは終わりだ。今夜から店に出ろ」
握られて赤くなった手首をさすっていた僕は、秋彦の言葉に手をとめた。
「え、でも。まだお尻、腫れてるし…」
「いつものように我儘を言って怒られたとでも説明しておくんだな。さっさと戻って少し寝ろ」
紙の束を持った右手で追い払うような仕草をとる秋彦に、頬を膨らませたが秋彦はこちらをちらりとも見ない。
「ほんとに、秋彦なんて嫌い」
呟いて、絨毯の上に落ちていた着物を拾って執務室を飛び出す。
お仕置き、ちゃんと受けたんだから少しは甘えさせてくれてもいいのに。
「お姫ちゃん、またそんなに着物はだけさせて…」
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