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第4部 妖精の森編
91 異空間の出会い①
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鳥の美しい鳴き声が聞こえ、太陽の光が木々の隙間から差し込む。
私の目の前には、森が広がっていた。あれ? 妖精の国へ続いていた道と同じような景色……?
私は光の眩しさに目を細めながら遊歩道を歩くと、大きな煉瓦造りの建物が見えた。
マグナルツォ王立魔法学校だ。私もほんの数年前に、聖女見習いの仕事で訪問したことがあったから少し懐かしい。
「これが異空間……?」
「そうよ。ここは十年前の世界」
私の疑問に、ディディは答えた。
ということは、ここは十年前の王立魔法学校?
ロウがそこに通っていたらしいが、この時代のロウは十二歳くらいだろうか。
十年前の世界にタイムスリップしたはずだけど、その歴史ある建物は私の記憶にあったものとそう変わらない。
この世界線にロウの心のカケラがきっとあるはず。それを見つけなければ、彼の意識が戻らない。まずはロウに会って、そのヒントを探したいところだ。
ロウに会って……ということは。私はふと気づく。
もし彼に会えたら、少年時代のロウの姿を拝めるってことじゃない!
「どこにロウがいるのかしら? 魔法学校の中に入ってみる?」
「そうね……あっ、ロウの気配が見つかったわ!」
ディディの扮するウサギは独自の嗅覚を発動させたようで、ぴょんこぴょんこ跳ねて、園庭の方へ走っていく。
私もその後を追いかけていくと、緑豊かな大きな園庭が目に飛び込んできた。
ロウの少年時代はどんな少年だったんだろう。
そのときから既に魔法の天才と呼ばれていた?
今みたいに魔道具の開発にのめり込んでいた?
色々と想像を膨らませていると、木々の隙間から剣の練習に打ち込んでいる少年を見つけた。あどけないが整った顔立ちで、将来は美青年に育つことが容易に想像できる。
その少年こそ、私がずっと探していたロウだった。
通りすがりのふりでもして、彼に話しかけよう。
そう決意して一歩踏み出したときだった。
「ここは魔法学校だぜ! 剣の練習をしても魔法技術は上がらないぞ!」
「魔法が使えない奴は騎士養成所にでも行くんだな!」
ロウが同級生と思われる数名に囲まれ、罵詈雑言を浴びせられている。
私は慌てて木の影に隠れた。
どうしよう、ロウがいじめにあっている! しかも、あの天才のロウが魔法を使えないってどういうこと!?
ロウは動じることなく、表情も変えず同級生たちから目を逸らしている。
「なんだその態度は!」
「やっちゃえよ!」
魔法が使える者と使えない者では立場が違う。魔法が使えることは一定以上のスターテスで、町でふんぞり返っている人もいる。
これは魔法学校ではこの差は顕著だった。
だから魔法学校に通う生徒で魔力が少ない者は、それをひた隠しにする。
しかし、ロウには魔法が使えないことを隠そうとする素振りがなかった。それがいじめの要因になっているのだろうか。
このまま見て見ぬふりをするわけにはいかない。
我慢の限界の超えた私は、木の影から飛び出し、いじめっ子たちに向かって叫ぼうとした。
そのときだった。
私よりも先にウサギが飛び出して、いじめっ子のひとりに飛び掛かった。
その愛らしいウサギの見た目によらず、彼女の瞬発力と跳躍力は凄まじく、いじめっ子のひとりの顔面を足で蹴った。
いじめっ子は仰向けに転倒して尻餅をつく。
ウサギは「やってやったわ!」と言わんばかりに目をキラキラさせている。
ディディ! もうっ、余計なことをしてー!
突然の出来事に、周りのいじめっ子たちは唖然として固まっていた。
それを好機だと思うことにした私は、彼らに駆け寄りながら叫んだ。
「ごめんなさい! 私のペットが暴れてしまったわ! 痛かったでしょう?」
私の声に、いじめっ子たちは我に返ったようで、倒れた仲間を抱きかかえながら逃げていく。
よし、救出成功ね! ……と言いたいところだけど、このあとどうすればいいの? とりあえず追い払ってみたけど……。
私は恐る恐るロウの方を見た。彼は私をじっと見つめている。どうしよう……。
どう言葉を掛けようか考えあぐねていると、ロウが先に口を開いた。
「ありがとうございました」
ロウは軽く頭を下げる。
あれ? 意外と素直……。てっきり私の存在を訝しんでくるものかと思っていたけれど。
この少年ロウと私は、そんなに歳も変わらないはずなのに敬語を使ってくるのね。そこに好感を持った。
「あなたはロウね」
私はロウのことを知っているような口ぶりで話しかける。
彼は少し驚いたような顔をしたが、すぐに頷いた。
やっぱり、このロウは私が知っているロウではない。
「あなたは?」
「初めまして。ただの通りすがりよ。あなたは魔法が使えないのね。おせっかいかもしれないけれど、私にはわかる。ロウ、あなたには魔法の才能があるわ」
私は確信を持って言う。
ロウが魔法学校時代、どれだけ非凡な少年だったかは、実際に知っているわけではないけれど、今、彼を見て分かった。
魔力量が桁違いだ。
この少年はいずれ偉大な魔法使いになるだろうと。
それを伝えると、ロウは意味が分からないといった様子で首を傾げた。
「俺に魔法の才能はありません。……初級の魔法でさえ発動できないポンコツですから」
自嘲気味に笑う。
私はその自虐的な言葉に、思わず反論したくなった。
将来は天才の魔法使いと言われるんだから! でも……この少年には彼の苦悩があるのだろう。私はそれを知らない。だから無責任なことは言えない。
私が言葉を詰まらせていると、ロウが続けて口を開いた。
「だって、魔法が使えなきゃ、魔法使いになれない。俺はもう……その夢は諦めたんだ」
ロウは悲しげに目を伏せた。私はロウに歩み寄った。
「あなたは魔法が使えないんじゃない。魔法の制御ができないだけよ」
「……え?」
驚きの表情を浮かべたロウに向かって、私は不敵に笑う。
未来の世界では、ロウの考案した魔力制御の魔道具が出回っているため、それで苦しんでいる人はいない。
魔力制御の魔道具を使って、制御の方法を体得させる方法が主流で、私もロウの魔道具に助けられた一人だ。
しかし、ロウが魔道具を開発するまでは、そんな画期的なものはなく……。魔力があっても発動できなければ魔法使いになれない苦悩を抱えていた時代だった。
今ここにいる時代には、もちろん便利な魔道具はないわけで……。
私はしゃがみ込み、ロウに視線を合わせた。そして彼に言った。
「良い方法があるの。試してみない?」
「良い方法?」
期待がこもった視線を向けられると、私はロウにあることをするように命じた。
私の目の前には、森が広がっていた。あれ? 妖精の国へ続いていた道と同じような景色……?
私は光の眩しさに目を細めながら遊歩道を歩くと、大きな煉瓦造りの建物が見えた。
マグナルツォ王立魔法学校だ。私もほんの数年前に、聖女見習いの仕事で訪問したことがあったから少し懐かしい。
「これが異空間……?」
「そうよ。ここは十年前の世界」
私の疑問に、ディディは答えた。
ということは、ここは十年前の王立魔法学校?
ロウがそこに通っていたらしいが、この時代のロウは十二歳くらいだろうか。
十年前の世界にタイムスリップしたはずだけど、その歴史ある建物は私の記憶にあったものとそう変わらない。
この世界線にロウの心のカケラがきっとあるはず。それを見つけなければ、彼の意識が戻らない。まずはロウに会って、そのヒントを探したいところだ。
ロウに会って……ということは。私はふと気づく。
もし彼に会えたら、少年時代のロウの姿を拝めるってことじゃない!
「どこにロウがいるのかしら? 魔法学校の中に入ってみる?」
「そうね……あっ、ロウの気配が見つかったわ!」
ディディの扮するウサギは独自の嗅覚を発動させたようで、ぴょんこぴょんこ跳ねて、園庭の方へ走っていく。
私もその後を追いかけていくと、緑豊かな大きな園庭が目に飛び込んできた。
ロウの少年時代はどんな少年だったんだろう。
そのときから既に魔法の天才と呼ばれていた?
今みたいに魔道具の開発にのめり込んでいた?
色々と想像を膨らませていると、木々の隙間から剣の練習に打ち込んでいる少年を見つけた。あどけないが整った顔立ちで、将来は美青年に育つことが容易に想像できる。
その少年こそ、私がずっと探していたロウだった。
通りすがりのふりでもして、彼に話しかけよう。
そう決意して一歩踏み出したときだった。
「ここは魔法学校だぜ! 剣の練習をしても魔法技術は上がらないぞ!」
「魔法が使えない奴は騎士養成所にでも行くんだな!」
ロウが同級生と思われる数名に囲まれ、罵詈雑言を浴びせられている。
私は慌てて木の影に隠れた。
どうしよう、ロウがいじめにあっている! しかも、あの天才のロウが魔法を使えないってどういうこと!?
ロウは動じることなく、表情も変えず同級生たちから目を逸らしている。
「なんだその態度は!」
「やっちゃえよ!」
魔法が使える者と使えない者では立場が違う。魔法が使えることは一定以上のスターテスで、町でふんぞり返っている人もいる。
これは魔法学校ではこの差は顕著だった。
だから魔法学校に通う生徒で魔力が少ない者は、それをひた隠しにする。
しかし、ロウには魔法が使えないことを隠そうとする素振りがなかった。それがいじめの要因になっているのだろうか。
このまま見て見ぬふりをするわけにはいかない。
我慢の限界の超えた私は、木の影から飛び出し、いじめっ子たちに向かって叫ぼうとした。
そのときだった。
私よりも先にウサギが飛び出して、いじめっ子のひとりに飛び掛かった。
その愛らしいウサギの見た目によらず、彼女の瞬発力と跳躍力は凄まじく、いじめっ子のひとりの顔面を足で蹴った。
いじめっ子は仰向けに転倒して尻餅をつく。
ウサギは「やってやったわ!」と言わんばかりに目をキラキラさせている。
ディディ! もうっ、余計なことをしてー!
突然の出来事に、周りのいじめっ子たちは唖然として固まっていた。
それを好機だと思うことにした私は、彼らに駆け寄りながら叫んだ。
「ごめんなさい! 私のペットが暴れてしまったわ! 痛かったでしょう?」
私の声に、いじめっ子たちは我に返ったようで、倒れた仲間を抱きかかえながら逃げていく。
よし、救出成功ね! ……と言いたいところだけど、このあとどうすればいいの? とりあえず追い払ってみたけど……。
私は恐る恐るロウの方を見た。彼は私をじっと見つめている。どうしよう……。
どう言葉を掛けようか考えあぐねていると、ロウが先に口を開いた。
「ありがとうございました」
ロウは軽く頭を下げる。
あれ? 意外と素直……。てっきり私の存在を訝しんでくるものかと思っていたけれど。
この少年ロウと私は、そんなに歳も変わらないはずなのに敬語を使ってくるのね。そこに好感を持った。
「あなたはロウね」
私はロウのことを知っているような口ぶりで話しかける。
彼は少し驚いたような顔をしたが、すぐに頷いた。
やっぱり、このロウは私が知っているロウではない。
「あなたは?」
「初めまして。ただの通りすがりよ。あなたは魔法が使えないのね。おせっかいかもしれないけれど、私にはわかる。ロウ、あなたには魔法の才能があるわ」
私は確信を持って言う。
ロウが魔法学校時代、どれだけ非凡な少年だったかは、実際に知っているわけではないけれど、今、彼を見て分かった。
魔力量が桁違いだ。
この少年はいずれ偉大な魔法使いになるだろうと。
それを伝えると、ロウは意味が分からないといった様子で首を傾げた。
「俺に魔法の才能はありません。……初級の魔法でさえ発動できないポンコツですから」
自嘲気味に笑う。
私はその自虐的な言葉に、思わず反論したくなった。
将来は天才の魔法使いと言われるんだから! でも……この少年には彼の苦悩があるのだろう。私はそれを知らない。だから無責任なことは言えない。
私が言葉を詰まらせていると、ロウが続けて口を開いた。
「だって、魔法が使えなきゃ、魔法使いになれない。俺はもう……その夢は諦めたんだ」
ロウは悲しげに目を伏せた。私はロウに歩み寄った。
「あなたは魔法が使えないんじゃない。魔法の制御ができないだけよ」
「……え?」
驚きの表情を浮かべたロウに向かって、私は不敵に笑う。
未来の世界では、ロウの考案した魔力制御の魔道具が出回っているため、それで苦しんでいる人はいない。
魔力制御の魔道具を使って、制御の方法を体得させる方法が主流で、私もロウの魔道具に助けられた一人だ。
しかし、ロウが魔道具を開発するまでは、そんな画期的なものはなく……。魔力があっても発動できなければ魔法使いになれない苦悩を抱えていた時代だった。
今ここにいる時代には、もちろん便利な魔道具はないわけで……。
私はしゃがみ込み、ロウに視線を合わせた。そして彼に言った。
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