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.争いごとなんて無理っ!絶対無理っ! 4
「おかしいですね、ハオ様のお戻りは日暮れだと思いましたが」
外はまだ日暮れというには太陽は高い位置にあった。
「あれってハオ専用なの?」
「専用というわけではないですが、使える者は限られています。今日はみな狩りに出ているはずです」
エレベーターらしくチン! という到着音とともにぎぎっと扉が開いた。
そこにいたのは、もさもさした長いヒゲのおおきなおっさんと若い男がふたり。ひとりは片腕がなかった。
「ふんっ! アンダーウォーカーがいるとはちょうどよい」
「何用ですか? ヘダ」
「ガキが趣味なロウが拾ってきただけのメス犬なお前に用はない」
なんだこのおっさん。感じ悪いな。
どっかで見たことある気がするんだけど、俺の知ってる人なんてそう多くはない。
あ、思い出した。
お披露目会で俺のこと疑ってた人だ。
こいつのせいで、俺はみんなの前でひんむかれたんだっ!
気分は歯をむき出した狼だが、相手は怖そうなおっさん。
俺は守るようにして伸ばされたサイの腕の陰に隠れた。
「そのロウ様に情けを掛けられ生き延びてきたあなたは、なんだと言うのですか? 負け犬でしょうか」
「ロウはとどめを刺せない、軟弱者だっただけだろう」
「クククッ。物はいいようですね」
すごい威圧感があるおっさんだけど、サイも負けてない。実はサイって強いの? 布で覆われてるから、よく分からないけど。
「で、俺になんか用なの?」
「アンダーウォーカーよ! 俺のモノにしてやる!」
「は? ヤダよ」
「お前の意志など関係ない。首領でなくても、お前さえ手に入れれば覇者になれるのだ。連れてこい」
「させません」
片腕の男と、もうひとりのスキンヘッドがサイに向かうのを、護衛らしいふたり組が立ちふさがった。
ああ、よかったこれでだいじょう……ぶじゃないっ!
あっという間に蹴散らされてしまった。
護衛の持っていた槍が、俺の横を掠めてドスっていう大きな音を立ててハオのイスに突き刺さる。
それでもなんとか立ち上がって、必死で俺たちを守ろうとしてくれている。
「だいじょうぶなの?」
「ハオ様は今日の狩りに使える者はみな連れて行ってしまいましたからねぇ」
「あいつ、バカなの? ねぇサイは? サイは戦えるんでしょう?」
「……困りましたね。マナ様、寝室まで走れますか?」
ちらりと背後にある緞帳の先を見る。距離にして五メートルほど。
寝室に逃げたからといってどうにかなるんだろうか?
「ハオ様がお戻りになるまでは、なんとか持ちこたえてみましょう」
「なんとかって……」
俺たちが小声で話していると、護衛を手下に任せきりのヘダが余裕な表情を浮かべた。
「はんっ! 指無しのオンナになにができるというのだ」
指無し……?
俺をかばう左腕から、布がはらりとめくれた。
そこには、あるはずの手がなかった。
あったのは五本の指の代わりに、その倍くらいはありそうな大きく膨れ上がった、グローブのような肉の塊があるだけだった。
外はまだ日暮れというには太陽は高い位置にあった。
「あれってハオ専用なの?」
「専用というわけではないですが、使える者は限られています。今日はみな狩りに出ているはずです」
エレベーターらしくチン! という到着音とともにぎぎっと扉が開いた。
そこにいたのは、もさもさした長いヒゲのおおきなおっさんと若い男がふたり。ひとりは片腕がなかった。
「ふんっ! アンダーウォーカーがいるとはちょうどよい」
「何用ですか? ヘダ」
「ガキが趣味なロウが拾ってきただけのメス犬なお前に用はない」
なんだこのおっさん。感じ悪いな。
どっかで見たことある気がするんだけど、俺の知ってる人なんてそう多くはない。
あ、思い出した。
お披露目会で俺のこと疑ってた人だ。
こいつのせいで、俺はみんなの前でひんむかれたんだっ!
気分は歯をむき出した狼だが、相手は怖そうなおっさん。
俺は守るようにして伸ばされたサイの腕の陰に隠れた。
「そのロウ様に情けを掛けられ生き延びてきたあなたは、なんだと言うのですか? 負け犬でしょうか」
「ロウはとどめを刺せない、軟弱者だっただけだろう」
「クククッ。物はいいようですね」
すごい威圧感があるおっさんだけど、サイも負けてない。実はサイって強いの? 布で覆われてるから、よく分からないけど。
「で、俺になんか用なの?」
「アンダーウォーカーよ! 俺のモノにしてやる!」
「は? ヤダよ」
「お前の意志など関係ない。首領でなくても、お前さえ手に入れれば覇者になれるのだ。連れてこい」
「させません」
片腕の男と、もうひとりのスキンヘッドがサイに向かうのを、護衛らしいふたり組が立ちふさがった。
ああ、よかったこれでだいじょう……ぶじゃないっ!
あっという間に蹴散らされてしまった。
護衛の持っていた槍が、俺の横を掠めてドスっていう大きな音を立ててハオのイスに突き刺さる。
それでもなんとか立ち上がって、必死で俺たちを守ろうとしてくれている。
「だいじょうぶなの?」
「ハオ様は今日の狩りに使える者はみな連れて行ってしまいましたからねぇ」
「あいつ、バカなの? ねぇサイは? サイは戦えるんでしょう?」
「……困りましたね。マナ様、寝室まで走れますか?」
ちらりと背後にある緞帳の先を見る。距離にして五メートルほど。
寝室に逃げたからといってどうにかなるんだろうか?
「ハオ様がお戻りになるまでは、なんとか持ちこたえてみましょう」
「なんとかって……」
俺たちが小声で話していると、護衛を手下に任せきりのヘダが余裕な表情を浮かべた。
「はんっ! 指無しのオンナになにができるというのだ」
指無し……?
俺をかばう左腕から、布がはらりとめくれた。
そこには、あるはずの手がなかった。
あったのは五本の指の代わりに、その倍くらいはありそうな大きく膨れ上がった、グローブのような肉の塊があるだけだった。
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