サラリーマンのおっさんが英雄に憧れたっていいじゃないか~異世界ではずれジョブを引いたおっさんの英雄譚~

梧桐将臣

文字の大きさ
52 / 62
第2章~学園動乱編~

呪われた力と天啓

しおりを挟む
咆哮と共に高速で迫る俺に怖気づいたのか、一瞬動きを止めるホブゴブリン・ザ・スウィンドラーとゴブリンシャーマン。

しかし、ゴブリンシャーマンは迎撃の為すぐに火の玉を放ってくる。

俺はその苦し紛れの攻撃をなんなくかわしゴブリンシャーマンに迫る。

――まずはシャーマンから倒す。

弱い方から倒し数を減らすのは戦闘の定石だ。

しかし、ゴブリンシャーマンを射程圏内に捉えようとした時、俺の進路を阻むようにホブゴブリン・ザ・スウィンドラーの片手剣が唸りをあげる。

「生意気ダゾ人間!1人デ勝テルト思ッテイルノカ!!」

「あぁ余裕だな!お前らのような数にものを言わせて、抵抗もできない女性達をいたぶるような奴には負ける気はしないね!」

「キシェエーーーー!!!」

ボスに向かって投げかけたはずの俺の言葉に激高したのかゴブリンシャーマンがひと際大きな火の玉を放ってきた。意外と冷静沈着という訳では無いのかもしれない。

激情に任せて放たれてた火の玉だが、多少大きくなっても直線状に飛んでくるその魔法は、俺の素早さをもってすればかわすのは容易い。

俺は強く地面を蹴り横に飛ぶことで回避する。

くるりと地面を1回転して体勢を立て直し敵を見据える。

火の玉に巻き込まれないよう、ホブゴブリン・ザ・スウィンドラーもシャーマンから後ずさるように距離を取っていた。

偽りの王にとってもシャーマンの強攻撃は予想外だったのだろう。

また、そのゴブリンシャーマンも大きく魔力を消費したのか、魔法を放った体勢のまま杖を俺に向けた状態でぜえぜえと肩で息をしている。

――チャンスだ。

俺はここを攻め時と考え、一気に距離を詰めゴブリンシャーマンに一太刀浴びせる。

グハアッと声を上げ明らかなダメージを受けるゴブリンシャーマン。

手下を助けんとするボスの片手剣による邪魔が入る。

俺はその斬撃をかわし逆に一太刀を返す。

足が自由に使える今はヒット&アウェイを繰り返し、確実にダメージを与える事ができる。

しかし、戦闘に光明が見えた次の瞬間背中に熱さと衝撃を感じる。

ゴブリンシャーマンの火の玉が直撃したのだ。

HPゲージが1割程削れる。

――攻撃後その場にとどまってはいけない。

俺はこの場を制する為に集中力を極限まで高める。

ボスの斬撃とシャーマンの火の玉を躱しながら、一瞬の隙をついて反撃を加える。

重い一撃でなくてもいい、神速の太刀とどんな体勢からでも出しやすい打撃によるダメージを着実に積み重ね2匹のHPを削っていく。

一向に俺を捉える事ができずに、焦燥や怒りを募らせているホブゴブリン・ザ・スウィンドラーとゴブリンシャーマン。

「動キヲトメロシャーマン!!」

「承知デスゾ!!」

俺の動きを封じた魔法バインドだろうか。

また動きを封じられてしまったら確実に詰んでしまう。

一瞬背筋に緊張感が走ったが、ゴブリンシャーマンはバインドの詠唱に入った為、逆に火の玉による攻撃の手が止まった。

ボスの斬撃のみを躱しシャーマンに接敵し攻撃を加えるのは訳ないことだ。

詠唱中の無防備な状態のシャーマンに飛び蹴りを喰らわせ吹っ飛ばす。

「クッソーーーー!!!!人間風情ガッ!!!!!」

自分の目論見が外れ更に激高するゴブリン・ザ・スウィンドラー。

俺は怒りに荒れ狂うボスを無視し、吹き飛んだシャーマンにとどめを刺すべく疾走する。

シャーマンのHPは残りわずか。次の一撃で屠ることができるだろう。

今まさに己の命を奪おうとする俺を見るゴブリンシャーマンの目が妖しく光る。

「カクナルウエハッ!!」

凄まじさを感じさせる表情と共に、ゴブリンシャーマンは手にしていた杖の先についているドクロを叩き割る。

なんだっ!?猛烈に嫌な予感が全身を駆け巡り、とどめを刺さんとしていた疾走を止めシャーマンを注視する。

杖の先のドクロが砕け散り黒い霧が噴き出し、ゴブリンシャーマンを飲みこむ。

「グギャガガガアアアアアァァァ!!!!」

ゴブリンシャーマンの聞く者の恐怖を掻き立てるようなおぞましい断末魔が響き渡る。

敵ながらも同情の念が湧き出るほどの叫び声。

その身の毛もよだつ断末魔が終わり、やがて黒い霧は凝縮され消えたかと思うと杖の先には新たなドクロが鎮座していた。

そして、杖は不可視の力で引っ張られるように、ホブゴブリン・ザ・スウィンドラーの方へと飛んでいきその左手へと収まる。

・・・呪われた武器か。

強力な結界や俺の身体の自由を奪ったバインド、無詠唱で連射していた火の玉など、レベル8の雑魚モンスターらしからぬ魔法らも、呪われた杖の力によるものだったのかもしれない。

「ゲハハハアーーー!!!自ラ杖ニトリコマレルトハ!見上ゲタ根性ダシャーマンヨ!コレデ俺モ奴ノ魔法ガ使エルノカ!ドレ・・・。」

確かめるように、先ほどまで自分の部下であったはずのドクロをこちらに向けるホブゴブリン・ザ・スウィンドラー。

杖の先からは火の玉が発射される。

その火の玉は、シャーマンが放っていたものよりもひと際大きく威力の高さが伺えた。

呪いの力で強化された?それとも使用者のレベルが高いから?

いや、考察をしている場合ではない。

今はホブゴブリン・ザ・スウィンドラーが魔法の力を手に入れたという事実だけに集中すれば良い。

俺はひと際大きい火の玉を避け、ボスに向かい疾走する。

「コイツハイイ!!!ゲハハーー!!」

俺を迎え討とうと、自分の部下が死んでしまった哀しさなど微塵も感じさせない邪悪な笑い声をあげながら、火の玉を放ち続けるホブゴブリン・ザ・スウィンドラー。

しかし、多少威力が高まっていようと当たらなければ意味が無い。

俺はボスの勢いに任せた魔法の連射を全て避け接敵し斬撃を繰り出すが、片手剣で受けられてしまう。

俺の攻撃後の隙を狙いもう片方の手で持つ杖から、火の玉を放つホブゴブリン・ザ・スウィンドラー。

飛びずさり直撃を避け威力を相殺するも、確かにダメージを受けてしまう。

くっ!付け焼刃とは言え、レベル10のボスモンスターの片手剣と魔法による二刀流は厄介だ。

しかも、ここでいたずらに時間をかけてしまうとエリスがゴブリン達に蹂躙されてしまうだろう。

――それだけは絶対に防がなければいけない。

俺は神経を極限まで研ぎ澄まし、攻撃と回避を繰り返す。

唸りを上げるボスの片手剣を最小限の動きでかわし、反撃を繰り出しすぐにその場から離脱。

俺が数瞬前にいた場所を火の玉が轟音と共に通り過ぎ空気を焦がす。

熱風の余波に自ら飛び込みボスに斬撃を浴びせ、更に懐に入り込み腹部に飛び膝蹴りを加える。

手で振り払うようなボスの攻撃を刀で受けるも、俺は吹き飛び多少のダメージを受ける。

空中で体勢を立て直し着地したのち、すぐに飛んでくる火の玉を躱しながら刀の射程圏内へと再び飛び込む。

――お互いの命を奪わんとする攻防をどれくらい繰り返しただろうか。

ほんの数秒かもしれないし、数十分程経っているのかもしれない。

極限まで集中し時間の感覚もわからなくなってきたその時だった。

――アーツ【青嵐飛燕】を獲得しました。

頭の中に星の声と言われるガイア様の声が響いた。

------------------------------------------------------------------------

いつもお読み頂きありがとうございます。

今週は平日に1回と土曜日にもう1回更新できたら良いなと思っています。

お付き合いよろしくお願い致します。

コメントや応援いつも励みになっています。

また、自分の力量でできる範囲で意見など取り入れていきたいとも思っています。

これからも皆様の日常にほんの少しでも楽しい時間をお届けできるように書いていきます。

よろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。 「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。 だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに! サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!

処理中です...