【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~

金色葵

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不意にチュンチュンと鳥の声が聞こえて遼はハッとする。気付いたら中庭まで来ていた。
ふと見上げた空がとても綺麗で、遼はそれに目を細めた。カサついた心が少し癒されるのを感じて、遼は空を見つめて立ち止まる。
すると足元の方でまたチュンチュンと鳥の鳴く声が聞こえた。それにつられるまま遼は足元を見て息を飲んだ。
「っ......!」
そこには人が横たわっていた。
中庭の芝生の上に無防備に寝転んで、目を閉じているその人は男性だった。
透き通るような白い肌に、瞳を閉じていても分かるほど整った鼻梁。閉じた瞼から生える睫は長く、綺麗な影を落としていた。
触り心地の良さそうな茶色がかったふわふわの髪が、太陽の光に照らされてキラキラと輝いている。
まるで物語の中から出てきた王子様のようなその姿に、遼は一瞬で目が離せなくなった。
見ると体の上に小鳥が止まっている。ああさっきの鳥の鳴き声は、ここから聞こえていたのかと遼はぼんやりとそう思う。
まるで彼に吸い込まれるように目が離せない。
四肢の長い体躯に、細くて長い指先、大きな手、あまりにもすべてが整ったその美しい姿に遼のすべてが奪われるような感覚に陥る。
(きれい......)
気付いたらそう心の中で呟いて、遼は彼に見惚れてしまったいた。
そして。
(なん、だ......鼓動が......)
彼を見ているだけで意識が持っていかれるような感覚に襲われる。胸が震えて、鼓動が早くなる。まるでときめきのような、危険を感じる怖さのような正反対の気持ちが入り混じる感情に遼は戸惑いを覚える。
もっと彼を見ていたいのに、このままここにいたら危ないとも思う。
彼の側にいたいという気持ちと、逃げないとという焦りを同時に感じて、逃げようとする意識と、ここにいようとする体の動きがバラバラになって遼は不自然な動きをしてしまう。その反動で持っていた教科書を落としてしまった。
バサバサッ―――
大きな音を立てて芝生の上に落ちた。急に聞こえた大きな音に、彼にとまっていた小鳥が驚いたように飛び立っていった。
「ん......」
小さい声を漏らして、彼の瞼が揺れる。
(あ......どうしよ起きる......)
そう思った瞬間、彼がゆっくりと瞳を開けた。そして入ってきた太陽の光に眩しそうに目を細めると、穏やかな動きで起き上がる。体に付いた芝生を払い、彼は大きく伸びをした。
その彼の動きが、スローモーションのように見えた。一瞬一瞬がとても綺麗で、なんともない仕草も彼がすれば映画のワンシーンのようにとても絵になる。
彼が遼の方に振り向いた。そして人がいることに気づいた彼が、遼に視線を向けた。
彼の瞳の中に遼の姿が写る。
目を覚ました彼は、想像していた以上に端正な顔をしていた。
太陽の光を受けキラキラと彼の瞳が綺麗な宝石のように輝いて、吸い込まれるように彼に見惚れる。
「あれ?」
こちらに視線を向けた彼は、遼を見て何故か驚くような顔をした。そして伺うように遼をジッと見つめる。
「君...大丈夫?」
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