7 / 9
⑦
しおりを挟む
「やっと見つけた」
強くその腕が遼を抱きしめてくれる。
「遅くなってごめんね」
温かい大河の体温に自分の体から力が抜けるのが分かった。優しい声が耳元で聞こえて、安心感で瞳が潤む。
「青木」
大河の何もかもが気持ちよくて堪らない。ふわふわとした浮遊感に包まれて、そしてあらぬ部分に一気に熱が集まるのを感じた。
「あ......かんざきぃ......」
知らず甘えた声が出る。助けを求めるように遼は大河の胸元に隠れるように顔を埋めた。
「.........」
遼の様子を大河が伺う。遼の赤くなった頬と、熱い息に気付いて大河はギュッと遼をその胸に抱きしめた。
「大丈夫だよ」
そう言って優しく笑うと、大河が体を離す。
「あ......」
不安そうな遼の声に、大河が耳元に口を近づける。
「動くな」
「っ~~」
周りに聞こえないように囁かれた言葉に、ビリビリと背筋に震えるような快感が走って、遼は一瞬で動けなくなる。
「もう少しだけ、我慢だよ」
大河は白衣を脱ぐと、遼の体を包む。そして遼を抱きあげた。
「ちょっ......!」
いきなりのことに遼は慌てる。
「青木」
だけど名前を呼ばれて、それだけで遼は抱きあげる大河の腕の中に大人しく収まった。
「青木が体調悪いみたいだから連れてくね」
「え?あ、ああ......」
いきなりのことに面食らう佐々木に、にっこりと笑顔を向けると大河は歩き出す。
「神崎!」
そんな大河の背中を、佐々木の呼ぶ声が引き止める。
「......お前、遼に何するつもりだ」
佐々木が大河を睨む。その姿からは遼のことを心配していることが容易に伝わってきた。
佐々木の視線をまっすぐに受けて、大河が真摯な瞳を向ける。
「青木の嫌がることはしない。約束するよ」
佐々木にそう言うと、大河が腕の中の遼に微笑みかける。それに胸が高鳴った遼は、無意識で赤くなった頬を隠すように大河に引っ付いた。
そんな二人の様子に佐々木は瞳を瞬かせる。
まかせてと言うように佐々木に向かって頷くと、大河は遼を連れてその場を去っていった。
お姫様抱っこで遼を連れていく王子様のような大河の姿に、その場にいる女子だけじゃなく男子までがきゃあきゃあと黄色い声を上げる。
消えていく二人の姿を見つめながら、佐々木はふうと息を吐いた。
「なんか......知らないうちにおもしろいことになってんな......」
心配そうな顔をしながらも、大河の真摯な瞳と大河に対する遼の様子に、大丈夫そうだなと佐々木はホッと息を吐いた。
強くその腕が遼を抱きしめてくれる。
「遅くなってごめんね」
温かい大河の体温に自分の体から力が抜けるのが分かった。優しい声が耳元で聞こえて、安心感で瞳が潤む。
「青木」
大河の何もかもが気持ちよくて堪らない。ふわふわとした浮遊感に包まれて、そしてあらぬ部分に一気に熱が集まるのを感じた。
「あ......かんざきぃ......」
知らず甘えた声が出る。助けを求めるように遼は大河の胸元に隠れるように顔を埋めた。
「.........」
遼の様子を大河が伺う。遼の赤くなった頬と、熱い息に気付いて大河はギュッと遼をその胸に抱きしめた。
「大丈夫だよ」
そう言って優しく笑うと、大河が体を離す。
「あ......」
不安そうな遼の声に、大河が耳元に口を近づける。
「動くな」
「っ~~」
周りに聞こえないように囁かれた言葉に、ビリビリと背筋に震えるような快感が走って、遼は一瞬で動けなくなる。
「もう少しだけ、我慢だよ」
大河は白衣を脱ぐと、遼の体を包む。そして遼を抱きあげた。
「ちょっ......!」
いきなりのことに遼は慌てる。
「青木」
だけど名前を呼ばれて、それだけで遼は抱きあげる大河の腕の中に大人しく収まった。
「青木が体調悪いみたいだから連れてくね」
「え?あ、ああ......」
いきなりのことに面食らう佐々木に、にっこりと笑顔を向けると大河は歩き出す。
「神崎!」
そんな大河の背中を、佐々木の呼ぶ声が引き止める。
「......お前、遼に何するつもりだ」
佐々木が大河を睨む。その姿からは遼のことを心配していることが容易に伝わってきた。
佐々木の視線をまっすぐに受けて、大河が真摯な瞳を向ける。
「青木の嫌がることはしない。約束するよ」
佐々木にそう言うと、大河が腕の中の遼に微笑みかける。それに胸が高鳴った遼は、無意識で赤くなった頬を隠すように大河に引っ付いた。
そんな二人の様子に佐々木は瞳を瞬かせる。
まかせてと言うように佐々木に向かって頷くと、大河は遼を連れてその場を去っていった。
お姫様抱っこで遼を連れていく王子様のような大河の姿に、その場にいる女子だけじゃなく男子までがきゃあきゃあと黄色い声を上げる。
消えていく二人の姿を見つめながら、佐々木はふうと息を吐いた。
「なんか......知らないうちにおもしろいことになってんな......」
心配そうな顔をしながらも、大河の真摯な瞳と大河に対する遼の様子に、大丈夫そうだなと佐々木はホッと息を吐いた。
22
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 1000 Thank_You!!
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる