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第一章 新婦の誤解
第03話 結婚式(上)
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「キアン殿、休暇の日に早速で悪いんだけど、朝食のあとに明日の式と、それが終わったあとの関係者の予定の意識合わせをしたいんだ。少し、時間をもらえるかな」
翌日の朝食の席にはティルフィーユと兄のジェラルド、そしてキアンの三名がそろった。キアンは昨夜遅くに帰宅したとのことだったが、今日からは予定通り休暇に入ることができるそうだ。
しかし、キアンは性格柄なのかそれとも不機嫌なのか、最低限の挨拶以外は自分から会話をするということがない。ジェラルドが打ち合わせを持ちかけると「わかった」とだけ頷き、黙々とサラダ、スープ、パン、肉のソテーを口にしていった。
「ティルも一緒で構わないんだけど、どうする?」
これから夫婦になるというのにまったく会話のない二人を気遣って、ジェラルドは優しい声でティルフィーユに確認する。ティルフィーユはテーブルを挟んで向かい側に座るキアンにちらりと視線を送ったが、不機嫌そうな仏頂面が「お前はいなくていい」と主張しているような気がして、しずしずと首を横に振った。
「私は……えっと……部屋におります」
「そう? じゃあ、キアン殿との確認が終わったら一緒に外に出ようか。これからティルが住むこの街を少しでも詳しく知っておきたいし。キアン殿、街案内を頼めるかな?」
ジェラルドは口数の少ないキアンに臆することなく依頼した。
キアンはこの結婚を快く受け入れてはいない。だから、好いてもいない未来の妻をわざわざ案内することなどないだろう。ティルフィーユはそう予想し、ジェラルドがキアンに断られる未来を恐れて表情を暗くした。
「引き受けよう。移動は徒歩か?」
「大事な結婚式の前に足を痛めるのもよくないし、馬車での移動をお願いできるかな」
「わかった」
しかし、意外にもキアンは淡々と承諾してくれた。
(ルドお兄様は私の付き添いでもあるけれど、グントバハロンの代表でもある……さすがに、大国の使者を無碍にすることはない……ということかしら)
ティルフィーユはそんな風に後ろ向きに考えながら、兄たちよりも少ない量の朝食を終え、一度私室に戻った。そしてそう長くはない打ち合わせが終わるのを待ち、ストーラー家の馬車に乗って首都マルドレーゼの街へと繰り出した。
屋敷を出た馬車はまずテベサックス通りを北上し、オールベーサ街道に出た。そしてオールベーサ街道の終点でもある街の中心、「永久平地広場」で一度止まった。
「国民全員に関わる新しい法律や決まり事ができると、この広場で周知する」
永久平地広場の中心には一体の男性の銅像があり、それはこの地にジャノオン王国を築いた初代王なのだという。その銅像を囲む四方には市民が寛げる木造の長い椅子がいくつも置いてあり、実際に何人かが腰掛けて休んでいる。広場の地面には表面がなめらかに磨かれた面積の大きな石が丁寧に敷き詰められており、馬車で進んでも大きく車体が揺れることはなかった。人の足にとっても、とても歩きやすそうだ。
「それ以外だと、たまにアト族の者が舞や歌を披露して市民を楽しませている」
並んで座り合ったティルフィーユとジェラルドと向かい合っているキアンは、無表情のまま低い声でそう説明した。
「周囲の建物は普通の民家なのかな?」
「そうだ。ここから西マーゼ通りを進んでしばらくすると、南に伸びるフラルル通りに入れる。商いをしている店舗が一番密集しているのは、そのフラルル通りだ」
車体に備え付けられている小さな小窓から外を眺めつつ、ティルフィーユはキアンの低い声に聞き入った。
グントバハロンのティルフィーユの職場には、多くの武人たちがいた。中には静かに話す武人もいたが、武人たちにとって憩いの場であることもあってか、気を抜いて好きなだけ大声で話している者たちが多かったように思う。彼らの喧騒とも言えるような大声をティルフィーユは毎日のように聞いていたのだが、グントバハロンの武人たちのその声に比べると、キアンの深みのある低い声はとても静穏としていた。
ミリ族のキアンは、グントバハロンで言う武人だ。今日は堅苦しくない、質素な深緑色の長袖のシャツと黒いズボンにショートブーツという姿だが、騎士服の彼はとてもスマートだった。今も、戦うことを生業としている男性とは思えないほど知的に、ジェラルドの質問に的確に答えている。きっと地頭が良いのだろう。
(素敵な方なのに)
期待するときっと落胆が大きくなると思っていたので、結婚相手にあれこれと求めるつもりはなかった。しかし、明日の結婚式をもって夫となるこのキアンという男性は、万人受けするわけではないがなかなかに魅力的な男性だと思う。きっと近い将来、この殿方が夫でよかったと思えるだろう。ティルフィーユはそう思った。
(でも……)
けれども残念なことに、どんなにティルフィーユが好ましく思って心を寄せようとしても、キアンの方はそうではないようだ。この結婚に不服なのか、ティルフィーユに不服なのか。そしてその原因はダミアレア族を妻にできないからなのか、それともほかに好いた女性がいるからなのか――はたまたそれらすべてなのか。
正確な理由はわからないが、ティルフィーユはいまだにキアンから話しかけてもらえず、目線すらもろくに合わないので、よほど疎まれているのだろうと思う。自分の方がキアンのことを悪くない、むしろ素敵だと思い始めているだけに、彼との感情の温度差がとても悲しかった。
キアンの方を見ることはできず、彼の短くて的確な説明と、間に入るジェラルドの質問をティルフィーユはただ黙って聞いていた。
車体に取り付けられたガラス窓は小さかったが、そこから眺める首都マルドレーゼの景色には、やはりまだ痛ましい部分が見え隠れする。壊れたままの柵やベンチ、割れたままのプランター、荒らされた状態の民家の庭先。この街は――この国には、痛みを負った過去が確かにある。
けれども、クーデターの被害の痕跡だけが残っているわけではなかった。マルドレーゼは植物と隣り合わせの生活を好むのか、街の中心にある木造の家々は庭がなかったが、中心から離れれば離れるほど、どの家も大なり小なり庭があり、背の低い様々な花々が植えられている。庭がない家でも壁にプランターをつるしている家が多く、春先なので早くも花びらを開き始めている色とりどりの小さな花が見えた。
(まだ復興しきれていないけど、マルドレーゼも素敵な街……。きっとこの街で……この新しい国で、悪くない人生を送れるはず)
人も場所もいい。まだ友と呼べる人はいないが、いつかきっと、この地に友人もできるだろう。気掛かりなのは、キアンとの夫婦関係だけだ。
心に小骨が刺さったような寂しさをつのらせつつ、その後もティルフィーユは、マルドレーゼの名物である高級ホテル・ライエゾンや、市民に娯楽を提供する総合遊技場エストーアといった場所を、馬車の中から眺めた。
そうしてゆっくりと時間をかけて街を見て回り、一行はストーラーの屋敷に戻った。しかしこの日の夜も、キアンは何か理由を説明することもなく寝室には入らず、ティルフィーユは独身最後の夜を大きな寝台で一人過ごすのだった。
◆◇◆◇◆
夜が明けて、ついに結婚式当日になった。ティルフィーユとキアンは屋敷で朝食をすませると、馬車でスベーク城に向かった。
相変わらず、新婚夫婦の間には無音の空気が流れている。それはどう見ても「これから夫婦になるのが恥ずかしい」という初々しいものではなく、ただひたすらに「気まずい」という妙に湿った空気だった。同乗していたジェラルドが無言の二人のどちらかにたまに話しかけはしたが、スベーク城に向かう馬車の中の雰囲気は、結婚式ではなくまるで葬式にでも向かうような重たさだった。
そんな当事者二人の湿っぽくて重たい関係とは裏腹に、空は朝からよく晴れていた。時折まだひんやりとした風が流れることもあるが、日差しはとても春らしく、人々の気持ちや身体を心地よく温めてくれている。
スベーク城に到着したティルフィーユとキアンは東棟に向かい、それぞれ別室で着替えた。ティルフィーユの方はグトバハロン側で用意した、繊細な刺繍とレースがふんだんに施されたハイネックで長袖のエンパイア型ドレスだった。
この世界を創った神、ウォンクゼアーザがすべての人間に望む「白き心」を象徴するように布地も糸もすべて純白で、胸のすぐ下にある切り返しからすとん、と優雅に落ちる裾がとてもエレガントな印象だ。過度な肌の露出を好まないというミリ族に合わせて、首も腕もその肌は繊細なレース生地でしっかりと覆われている。しかし、注ぐ光の角度によって違う模様に見える複雑な編み方の施されたレースが、見る者の視線をついつい奪う。サックスブルーの長い髪の毛はシニヨンヘアにされて、白い花があしらわれている。頭部全体をふんわりと覆うシースルー生地のベールは背中の途中ぐらいまでの長さしかないが、ウェディングドレスのトレーンはうんと長く、ティルフィーユが高貴な身分であることを存分に主張していた。
一方のキアンも、白を基調としたタキシードだった。騎士団の団長であることを示すように肩章は付けており、結婚式用に表地を白にした、しかし裏地は赤のマントを羽織り、その裾がひるがえるたびに赤と白のコントラストがこれまた見る者の視線を魅了した。ティルフィーユとキアンはティルフィーユの頭ふたつ分くらいのとても大きな身長の差があるが、しかし同じ純白の正装姿で並ぶと、これから神に祝福されて新たに夫婦になる二人なのだと、誰もが納得する眩しさだった。
翌日の朝食の席にはティルフィーユと兄のジェラルド、そしてキアンの三名がそろった。キアンは昨夜遅くに帰宅したとのことだったが、今日からは予定通り休暇に入ることができるそうだ。
しかし、キアンは性格柄なのかそれとも不機嫌なのか、最低限の挨拶以外は自分から会話をするということがない。ジェラルドが打ち合わせを持ちかけると「わかった」とだけ頷き、黙々とサラダ、スープ、パン、肉のソテーを口にしていった。
「ティルも一緒で構わないんだけど、どうする?」
これから夫婦になるというのにまったく会話のない二人を気遣って、ジェラルドは優しい声でティルフィーユに確認する。ティルフィーユはテーブルを挟んで向かい側に座るキアンにちらりと視線を送ったが、不機嫌そうな仏頂面が「お前はいなくていい」と主張しているような気がして、しずしずと首を横に振った。
「私は……えっと……部屋におります」
「そう? じゃあ、キアン殿との確認が終わったら一緒に外に出ようか。これからティルが住むこの街を少しでも詳しく知っておきたいし。キアン殿、街案内を頼めるかな?」
ジェラルドは口数の少ないキアンに臆することなく依頼した。
キアンはこの結婚を快く受け入れてはいない。だから、好いてもいない未来の妻をわざわざ案内することなどないだろう。ティルフィーユはそう予想し、ジェラルドがキアンに断られる未来を恐れて表情を暗くした。
「引き受けよう。移動は徒歩か?」
「大事な結婚式の前に足を痛めるのもよくないし、馬車での移動をお願いできるかな」
「わかった」
しかし、意外にもキアンは淡々と承諾してくれた。
(ルドお兄様は私の付き添いでもあるけれど、グントバハロンの代表でもある……さすがに、大国の使者を無碍にすることはない……ということかしら)
ティルフィーユはそんな風に後ろ向きに考えながら、兄たちよりも少ない量の朝食を終え、一度私室に戻った。そしてそう長くはない打ち合わせが終わるのを待ち、ストーラー家の馬車に乗って首都マルドレーゼの街へと繰り出した。
屋敷を出た馬車はまずテベサックス通りを北上し、オールベーサ街道に出た。そしてオールベーサ街道の終点でもある街の中心、「永久平地広場」で一度止まった。
「国民全員に関わる新しい法律や決まり事ができると、この広場で周知する」
永久平地広場の中心には一体の男性の銅像があり、それはこの地にジャノオン王国を築いた初代王なのだという。その銅像を囲む四方には市民が寛げる木造の長い椅子がいくつも置いてあり、実際に何人かが腰掛けて休んでいる。広場の地面には表面がなめらかに磨かれた面積の大きな石が丁寧に敷き詰められており、馬車で進んでも大きく車体が揺れることはなかった。人の足にとっても、とても歩きやすそうだ。
「それ以外だと、たまにアト族の者が舞や歌を披露して市民を楽しませている」
並んで座り合ったティルフィーユとジェラルドと向かい合っているキアンは、無表情のまま低い声でそう説明した。
「周囲の建物は普通の民家なのかな?」
「そうだ。ここから西マーゼ通りを進んでしばらくすると、南に伸びるフラルル通りに入れる。商いをしている店舗が一番密集しているのは、そのフラルル通りだ」
車体に備え付けられている小さな小窓から外を眺めつつ、ティルフィーユはキアンの低い声に聞き入った。
グントバハロンのティルフィーユの職場には、多くの武人たちがいた。中には静かに話す武人もいたが、武人たちにとって憩いの場であることもあってか、気を抜いて好きなだけ大声で話している者たちが多かったように思う。彼らの喧騒とも言えるような大声をティルフィーユは毎日のように聞いていたのだが、グントバハロンの武人たちのその声に比べると、キアンの深みのある低い声はとても静穏としていた。
ミリ族のキアンは、グントバハロンで言う武人だ。今日は堅苦しくない、質素な深緑色の長袖のシャツと黒いズボンにショートブーツという姿だが、騎士服の彼はとてもスマートだった。今も、戦うことを生業としている男性とは思えないほど知的に、ジェラルドの質問に的確に答えている。きっと地頭が良いのだろう。
(素敵な方なのに)
期待するときっと落胆が大きくなると思っていたので、結婚相手にあれこれと求めるつもりはなかった。しかし、明日の結婚式をもって夫となるこのキアンという男性は、万人受けするわけではないがなかなかに魅力的な男性だと思う。きっと近い将来、この殿方が夫でよかったと思えるだろう。ティルフィーユはそう思った。
(でも……)
けれども残念なことに、どんなにティルフィーユが好ましく思って心を寄せようとしても、キアンの方はそうではないようだ。この結婚に不服なのか、ティルフィーユに不服なのか。そしてその原因はダミアレア族を妻にできないからなのか、それともほかに好いた女性がいるからなのか――はたまたそれらすべてなのか。
正確な理由はわからないが、ティルフィーユはいまだにキアンから話しかけてもらえず、目線すらもろくに合わないので、よほど疎まれているのだろうと思う。自分の方がキアンのことを悪くない、むしろ素敵だと思い始めているだけに、彼との感情の温度差がとても悲しかった。
キアンの方を見ることはできず、彼の短くて的確な説明と、間に入るジェラルドの質問をティルフィーユはただ黙って聞いていた。
車体に取り付けられたガラス窓は小さかったが、そこから眺める首都マルドレーゼの景色には、やはりまだ痛ましい部分が見え隠れする。壊れたままの柵やベンチ、割れたままのプランター、荒らされた状態の民家の庭先。この街は――この国には、痛みを負った過去が確かにある。
けれども、クーデターの被害の痕跡だけが残っているわけではなかった。マルドレーゼは植物と隣り合わせの生活を好むのか、街の中心にある木造の家々は庭がなかったが、中心から離れれば離れるほど、どの家も大なり小なり庭があり、背の低い様々な花々が植えられている。庭がない家でも壁にプランターをつるしている家が多く、春先なので早くも花びらを開き始めている色とりどりの小さな花が見えた。
(まだ復興しきれていないけど、マルドレーゼも素敵な街……。きっとこの街で……この新しい国で、悪くない人生を送れるはず)
人も場所もいい。まだ友と呼べる人はいないが、いつかきっと、この地に友人もできるだろう。気掛かりなのは、キアンとの夫婦関係だけだ。
心に小骨が刺さったような寂しさをつのらせつつ、その後もティルフィーユは、マルドレーゼの名物である高級ホテル・ライエゾンや、市民に娯楽を提供する総合遊技場エストーアといった場所を、馬車の中から眺めた。
そうしてゆっくりと時間をかけて街を見て回り、一行はストーラーの屋敷に戻った。しかしこの日の夜も、キアンは何か理由を説明することもなく寝室には入らず、ティルフィーユは独身最後の夜を大きな寝台で一人過ごすのだった。
◆◇◆◇◆
夜が明けて、ついに結婚式当日になった。ティルフィーユとキアンは屋敷で朝食をすませると、馬車でスベーク城に向かった。
相変わらず、新婚夫婦の間には無音の空気が流れている。それはどう見ても「これから夫婦になるのが恥ずかしい」という初々しいものではなく、ただひたすらに「気まずい」という妙に湿った空気だった。同乗していたジェラルドが無言の二人のどちらかにたまに話しかけはしたが、スベーク城に向かう馬車の中の雰囲気は、結婚式ではなくまるで葬式にでも向かうような重たさだった。
そんな当事者二人の湿っぽくて重たい関係とは裏腹に、空は朝からよく晴れていた。時折まだひんやりとした風が流れることもあるが、日差しはとても春らしく、人々の気持ちや身体を心地よく温めてくれている。
スベーク城に到着したティルフィーユとキアンは東棟に向かい、それぞれ別室で着替えた。ティルフィーユの方はグトバハロン側で用意した、繊細な刺繍とレースがふんだんに施されたハイネックで長袖のエンパイア型ドレスだった。
この世界を創った神、ウォンクゼアーザがすべての人間に望む「白き心」を象徴するように布地も糸もすべて純白で、胸のすぐ下にある切り返しからすとん、と優雅に落ちる裾がとてもエレガントな印象だ。過度な肌の露出を好まないというミリ族に合わせて、首も腕もその肌は繊細なレース生地でしっかりと覆われている。しかし、注ぐ光の角度によって違う模様に見える複雑な編み方の施されたレースが、見る者の視線をついつい奪う。サックスブルーの長い髪の毛はシニヨンヘアにされて、白い花があしらわれている。頭部全体をふんわりと覆うシースルー生地のベールは背中の途中ぐらいまでの長さしかないが、ウェディングドレスのトレーンはうんと長く、ティルフィーユが高貴な身分であることを存分に主張していた。
一方のキアンも、白を基調としたタキシードだった。騎士団の団長であることを示すように肩章は付けており、結婚式用に表地を白にした、しかし裏地は赤のマントを羽織り、その裾がひるがえるたびに赤と白のコントラストがこれまた見る者の視線を魅了した。ティルフィーユとキアンはティルフィーユの頭ふたつ分くらいのとても大きな身長の差があるが、しかし同じ純白の正装姿で並ぶと、これから神に祝福されて新たに夫婦になる二人なのだと、誰もが納得する眩しさだった。
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