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第一章 産声
第八話 神在月の産土。ー中編ー
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秋。それは紛れもなく秋。出雲の西風に肌寒くなりながら、江戸紫の襷を身に付けている。
他の強豪校に気持ちで押されながら、それでも立教大学はいる。
第一区、工藤先輩の顔が固まっている。
位置取りは後方の右寄り。さぁこれから、立教大学の歴史に1ページが刻まれる。
『パン!』
始まった。最初は軽快な足取りで走っていく。先頭集団のトップ、法政大学は最初から飛ばしている。先輩は先頭集団後方にぴたりと着いて狙っている。先輩はあまり飛ばすタイプではない。後から叩き落としていくタイプ。精神的にも。
法政大学四年、東の勢いが上がったところで釣られていくように明治、早稲田、中央、立命館ととばし先頭集団と第二集団が分裂する。この大きな出来事に先輩は、ギアを上げていくかのように先頭集団中央に位置している。
3km通過。立教大学は第4位。ここから先輩の奇妙な作戦が始まった。まず、先輩は2位早稲田大学にぴたりと着いていく。そこから3kmもへばりついている。
6km通過。ここで早稲田を突き放しにかかる。しかし、相手は超強豪、『早稲田。』必死に食らいついたまま7km地点を通過。ラストスパートを極限まで出していく先輩。自分もこれくらい、行けたら。
解説員「さぁ中継所に1位の法政大学が来ました。初優勝を懸けて今、襷が繋がったー!そして今2位集団の争いが激化してきました!立教大学と早稲田大学。あー!立教大学が抜いた!2位の立教大学工藤!先頭法政大学と9秒差で繋ぎました!』
こうして高順位のままで立教の秋は始まった。快晴と言わんばかりの秋晴れに出雲は護られている。
二区の王先輩が一つ順位を落として3位。三区の西先輩が5位と順位を落としつつも前半戦が幕を閉じた。
第四区は本馬だ。立教大学は先頭早稲田と47秒差。3位の中央大学とは5秒差。なんとしてでもここで順位を上げなければならない状況下に本馬は任されている。
本馬の最初は調子が狂うものだった。中央との差は離れていく一歩で5位立命館大学との差が付いていく。2km地点で中央との差が11秒、そして立命館とは2秒差であった。
しかし、本馬にはこんなダサい姿なんてない。
ここから気合いで中央との差を縮めていき、順位を、上げた。3位に躍り出た立教大学。ここまで覚醒した立教を見たことがあるだろうか。全日本も、箱根もろくに実績のない立教が。
本馬らしくない豪快な一本走りで駆けていく。その後も2位法政大学を捉えるかのような勢いで、僕、横浜快斗の番が来る。
まず、1位の早稲田が襷を繋ぐ。その後17秒後に法政大学が来た。満天の秋空に雨雲が少し朧げに見えた時に、本馬が来た。
つい清風の悪夢を連想させてしまった。それとはもう、違うんだ。
本馬『快斗、頑張れ!』
本馬が名前呼びなんてとか少し笑みを見せながら、第五区を駆ける。
解説員『これは一年生の中で歴代随一の速さですよ。今年の立教は春が来ましたね。』
みんなの期待がこの江戸紫の襷に繋がっている。ここで花咲かす時。
ー立教大学に華あれー
他の強豪校に気持ちで押されながら、それでも立教大学はいる。
第一区、工藤先輩の顔が固まっている。
位置取りは後方の右寄り。さぁこれから、立教大学の歴史に1ページが刻まれる。
『パン!』
始まった。最初は軽快な足取りで走っていく。先頭集団のトップ、法政大学は最初から飛ばしている。先輩は先頭集団後方にぴたりと着いて狙っている。先輩はあまり飛ばすタイプではない。後から叩き落としていくタイプ。精神的にも。
法政大学四年、東の勢いが上がったところで釣られていくように明治、早稲田、中央、立命館ととばし先頭集団と第二集団が分裂する。この大きな出来事に先輩は、ギアを上げていくかのように先頭集団中央に位置している。
3km通過。立教大学は第4位。ここから先輩の奇妙な作戦が始まった。まず、先輩は2位早稲田大学にぴたりと着いていく。そこから3kmもへばりついている。
6km通過。ここで早稲田を突き放しにかかる。しかし、相手は超強豪、『早稲田。』必死に食らいついたまま7km地点を通過。ラストスパートを極限まで出していく先輩。自分もこれくらい、行けたら。
解説員「さぁ中継所に1位の法政大学が来ました。初優勝を懸けて今、襷が繋がったー!そして今2位集団の争いが激化してきました!立教大学と早稲田大学。あー!立教大学が抜いた!2位の立教大学工藤!先頭法政大学と9秒差で繋ぎました!』
こうして高順位のままで立教の秋は始まった。快晴と言わんばかりの秋晴れに出雲は護られている。
二区の王先輩が一つ順位を落として3位。三区の西先輩が5位と順位を落としつつも前半戦が幕を閉じた。
第四区は本馬だ。立教大学は先頭早稲田と47秒差。3位の中央大学とは5秒差。なんとしてでもここで順位を上げなければならない状況下に本馬は任されている。
本馬の最初は調子が狂うものだった。中央との差は離れていく一歩で5位立命館大学との差が付いていく。2km地点で中央との差が11秒、そして立命館とは2秒差であった。
しかし、本馬にはこんなダサい姿なんてない。
ここから気合いで中央との差を縮めていき、順位を、上げた。3位に躍り出た立教大学。ここまで覚醒した立教を見たことがあるだろうか。全日本も、箱根もろくに実績のない立教が。
本馬らしくない豪快な一本走りで駆けていく。その後も2位法政大学を捉えるかのような勢いで、僕、横浜快斗の番が来る。
まず、1位の早稲田が襷を繋ぐ。その後17秒後に法政大学が来た。満天の秋空に雨雲が少し朧げに見えた時に、本馬が来た。
つい清風の悪夢を連想させてしまった。それとはもう、違うんだ。
本馬『快斗、頑張れ!』
本馬が名前呼びなんてとか少し笑みを見せながら、第五区を駆ける。
解説員『これは一年生の中で歴代随一の速さですよ。今年の立教は春が来ましたね。』
みんなの期待がこの江戸紫の襷に繋がっている。ここで花咲かす時。
ー立教大学に華あれー
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