インシツな指先

カゲマル

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目撃

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「ふぅ……」

 疲れ交じりのため息を吐いてしまう。月曜日だというのに疲労感たっぷりだ。それもこれも先日の素晴らしいイベントのせいだ。つまり自己責任だ。
 というわけで今日は自転車を漕ぐのがめんどくさかったので、久しぶりに電車通勤をしているのだが……やばい空間だな、ここは。どいつもこいつも尻を見せびらかしてやがる。尻を鍛えるブームなのか、パンツスーツ映えするように仕上げてやがる。ああ、触りてえ……時間停止の魔法でも習得できねえかなあ。いや、透明人間も捨てがたい。ああ、でも催眠術もいい……。
 そんなことを考えていると、視界に見知った顔を見つけた。
 あれは……菅原か。
 これといった特徴もない外見のその男子生徒は、成績も運動神経も可もなく不可もなくといったところだ。体育の授業でも特に活躍はしないが、足を引っ張ったりもしない。まあ、教師的には印象には残らないが、多分いいやつだと思う。
 しかし、あいつの目つき……いつもと違うな。いつもはもっとぬぼーっとしているんだが、あの目はまるで……。
 その予感めいた胸騒ぎを肯定するように、菅原は目の前にいるタイトスカートのOLの尻に手の甲をそっとぶつけた。
 ……おい、マジかよ。まさかこんな通勤&通学ラッシュのタイミングで……こいつ、社会的な自殺志願者か!?俺だってやらねえぞ。
 とりあえず様子を窺っていると、OLの全体の姿が見えた。
 髪を後ろで束ねたいかにもなOLスタイルだが、確かに尻はいい。パツパツのタイトスカートに包まれた尻は、割れ目までうっすら透けて見える。これは男子高校生には刺激が強かろう。
 すると、菅原はまたさっきのように、手の甲をこつんと女の尻にぶつけた。
 こちらからは女の表情もよく見えるが、これは少し不審がっているな。まあ、あのスタイルだし、ちょくちょく痴漢には遭っているんだろう。
 だが、この女が我慢するタイプか捕まえるタイプかはわからんし、周りに正義の味方気取りもいるかもしれん。どっちにしろ菅原がかなり危ない橋を渡っているのは間違いない。
 菅原は無反応だと思い安心したのか、今度は手の甲を尻に押し当て、ぐいっと押し始めた。やべえ、完全に性欲に支配されてやがる。
 一方、女の方は……怒りを表情に滲ませていた。
 これはやばいな。この女、確実に菅原を捕まえる気だ。
 ……やれやれ、本当ならこのチャンスに乗じて俺が触りたいところだが、かわいい生徒を助けてやるか。
 俺はゆっくりと二人の元へと移動し始めた。
 
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