悪役令嬢候補を幸せにして、私も結婚します

成実

文字の大きさ
21 / 22

21.私と精霊との話

しおりを挟む
 
 公爵からの手紙を読むと、前公爵夫人がシェリー夫人について語った内容が書いてあった。

 実際に、嫁ぎ先の出来事は調べている最中だが、前公爵夫人が言葉を濁し、王都の屋敷ではなく、領地の屋敷に引き取るとまで言わせるぐらいだ、精霊さえも自分の声を犠牲にしてまで助けたいと思うぐらいなのだから、悲惨な目にあったと考えるのが妥当だろう。
 
 精霊の声は聞こえるけど、会話が出来ない。私の守護する精霊が高位精霊だから、他の精霊が色々と話してくれるが、私が知りたい情報をどうやって聞けばよいか?

 やはり、ここは神様にお願いしよう。使えるものは何でも使おう。
 断わられる前提で、お願いして、願いが叶えばラッキーと思おう。

 何時もの方法、窓辺でブツブツと、精霊と会話が出来るようになりますようにと願い事を言う。
 神様が煩いと嫌がる位に言い続ける。よし、これぐらいお願いすればいいかな。
 明日の朝、葉っぱが落ちてたらラッキー。ダメなら明日も願うだけ。

 朝起きると葉っぱが落ちていた。なになに、《煩い、余り精霊との会話はおすすめしない。会話が出来ると精霊達が押しかけてくる。だが、自分の精霊とは心が通じていれば、自分の精霊とのみ会話が、出来る》と書いてあった。

 なるほど、確かに霊が自分の思いを伝えるために会話が出来る人に近寄ってくると聞いたことがある。
 精霊もやはり自分の気持ちを伝えたいと会話が出来る人に近寄ってくるのだろう。
 自分を守護する精霊と、どのように心を通じあえるのだろうか?不親切な神様、どうせなら方法も教えてほしいものだ。ひとまず、神様にお願いするみたいに、ブツブツと話しかけてみよう。

「えっと、私を守護する精霊さん、私とお話しませんか?私は、今シェリー夫人の精霊の事が知りたいとおもってます。だから、もし何か知っていたら、教えて欲しいです」

 こんな感じで独り言のように話をつづける。もし、私に何か話しているかもしれないので、奥歯を噛み締めて耳をすませてみた。

『エミリー、僕に話しかけてくれて嬉しい。僕は、ずっと君を守護してきた。キャサリンであった時も、ロジーナであった時もずっと君を守護してきた』

 今言われた名前は、前前世と前世の時の私の名前よね。この精霊は私がこの世界で産まれてからずっと守護してくれていたってこと?
 もしかして、守護する精霊って、魂にずっとついてくるの?

「えっと、教えて下さい。守護する精霊は、生まれ変わってもずっと守護するのですか?違う魂というか、他の魂の人間は守護しないのですか?」

『もし君が婚約破棄されずに幸せになっていたら、きっと僕は、ちがう魂の人間を守護したと思う。
 キャサリンとしての君は、婚約破棄されても修道院で幸せそうだったが、たまに悲しそうな顔をしていた。

 あの時は、男爵令嬢を守護する精霊の力が強かった、僕の力が強ければ、君を悲しませる事なんてなかったのにと思ったよ。
 キャサリンが死んで僕は誰をも守護せず過ごした。久しぶりにふらふらしてたら、懐かしい気配がし始めたんだ。赤ちゃんが産まれた瞬間にわかったよ。キャサリンが生まれ変わったと。
 周りをみると僕と気が合いそうな精霊ばかりだから、また君(ロジーナ)を、守護することにしたんだ。

 そしてあることに気づいたんだよ。ロジーナとしての君の婚約者は、同じ魂の人間だと。守護する精霊は違ったけど、同じ魂の人間が婚約者だと。
 今度こそ幸せになると思ったのに、ロジーナの時も婚約破棄された。男爵令嬢はキャサリンの幸せを邪魔した同じ魂の人間だったんだよ、守護する精霊は違うのに。

 守護する精霊は違うのに、また僕の力が弱かったせいで、君に悲しみを与えてしまった。婚約破棄されても、君は持ち前の才能で楽しく過ごした。
 でも、キャサリンの時みたいに誰もいない部屋で悲しい顔をするだ。僕はそんな君は看取って決心したんだよ。

 高位精霊になって、今度生まれ変わった君を幸せになるようにしようとね。
 だが、君がどこで生まれ変わるかわからないだろう。全神経を集中して気配に気を配っていたら、精霊の力もどんどん上がってね、高位精霊にいつのまにかなったんだ。そして、君が、生まれるのをずっと待ってたんだよ。
 エミリーが生まれて君を守護できて、今度こそ、他の精霊の力には負けないから、幸せになってほしい』

 驚きの連続です。私の幸せを願って高位精霊になったのもありますが、前前世と前世の婚約者が同じ魂を持つ同一人物で、男爵令嬢も前前世と前世の同一人物だったとはビックリしました。もしかして、今世も同じ魂を持った人達が私に絡んでくるのでは、どんな因縁なんだろうか。
 神様も今度ぐらいは結婚をと言ったのは、この因縁めいた事が加味しているのかもしれない。

 シェリー夫人の精霊の話を聞くつもりだったのが、私の前世の因縁を聞いてしまった。そうだ、シェリー夫人の事を聞かなくては、あともし元婚約者と男爵令嬢の魂を持つ人が近くにいるか聞いてみよう。

「あの、シェリー夫人の精霊の事を教えて下さい。あと元婚約者の人達の魂の生まれ変わりは近くにいるのですか?」

『シェリー夫人の精霊というのは、自分の声を犠牲にしてまでも守護する精霊の事か?自分が守護する人間が余程酷い目にあったのだろう。
 精霊は決まった人間を見守るぐらいしかしない。でも、その人間に思いいれが深かった場合は、守りたい助けたいと言う気持ちが強くなる。
 精霊は気ままに生きる、精霊同士であっても、わからない。ただ、エミリーが気になるなら、あった時に尋ねてみよう。声を犠牲にしてもわかる方法がある。

 あと、元婚約者達の魂の気配は近くではしない』

「ありがとうございます。」

『僕から、エミリーに話しかける時は、この部屋にいる時だけにしよう。他の人には姿が見えないから、まるで独り言を話しているように見えてしまう。ピカピカ光ってみえたら、僕から話があると思って欲しい』

「あのもし名前があるなら、私から精霊さんを呼ぶ時の名前を教えて頂けませんか?」

『発音が難しいので、リーと呼んでくれればよい』

 リーと私は色々な事を話した。ただ奥歯を噛みしめるのが疲れたため、私は休憩することにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

婚約者が私のことをゴリラと言っていたので、距離を置くことにしました

相馬香子
恋愛
ある日、クローネは婚約者であるレアルと彼の友人たちの会話を盗み聞きしてしまう。 ――男らしい? ゴリラ? クローネに対するレアルの言葉にショックを受けた彼女は、レアルに絶交を突きつけるのだった。 デリカシーゼロ男と男装女子の織り成す、勘違い系ラブコメディです。

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い! 声が出せないくらいの激痛。 この痛み、覚えがある…! 「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」 やっぱり! 忘れてたけど、お産の痛みだ! だけどどうして…? 私はもう子供が産めないからだだったのに…。 そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと! 指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。 どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。 なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。 本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど! ※視点がちょくちょく変わります。 ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。 エールを送って下さりありがとうございました!

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』

鷹 綾
恋愛
内容紹介 王太子に「可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄された公爵令嬢エヴァントラ。 涙を流して見せた彼女だったが── 内心では「これで自由よ!」と小さくガッツポーズ。 実は王国の政務の大半を支えていたのは彼女だった。 エヴァントラが去った途端、王宮は大混乱に陥り、元婚約者とその恋人は国中から総スカンに。 そんな彼女を拾ったのは、隣国の宰相補佐アイオン。 彼はエヴァントラの安全と立場を守るため、 **「恋愛感情を持たない白い結婚」**を提案する。 「干渉しない? 恋愛不要? 最高ですわ」 利害一致の契約婚が始まった……はずが、 有能すぎるエヴァントラは隣国で一気に評価され、 気づけば彼女を庇い、支え、惹かれていく男がひとり。 ――白い結婚、どこへ? 「君が笑ってくれるなら、それでいい」 不器用な宰相補佐の溺愛が、静かに始まっていた。 一方、王国では元婚約者が転落し、真実が暴かれていく――。 婚約破棄ざまぁから始まる、 天才令嬢の自由と恋と大逆転のラブストーリー! ---

処理中です...