【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

文字の大きさ
52 / 96

52

しおりを挟む
 昨日の今日で、何故レイモンドがうちの応接室に座っているのでしょうか?

 一緒にいるフレディとグレイをみると、グレイは私に頭を下げ、フレディは、ニッコリ笑っています。

「今日は、何か約束をしていましたか?」

 私は、少し冷たい声で問いかけました。

 私にだって、予定やゆっくりしたい時があります。

「衣装をあわせたいのです。ですから、ディアのドレスを作っている店に一緒に行きたいと思い来ました。

 流石に、私と二人ではディアが嫌がると思い、グレイも連れてきました。

 何かまずかったですか?」


「そうですね、まずは先に私の予定をきく手紙を頂きたいですね。 

 勝手に来てはいけません。それに、私が衣装を頼んでいる店は男性の衣装は作ってないです。

 ですから、レイモンド様がいつも作ってみえる衣装店に行ってください。

 社交界デビューは白のドレスなので、ハンカチーフだけ私のドレスの布地に合わせれば、よろしいかと思います」

 私が次々にダメ出しを言うので、大型犬がしゅんとしたように、悲しそうな顔して、見つめてくるのです。

 そんな目で見ないでほしいです。

 駄目なものは駄目をしっかり、言わなければいけません。

「では、私はディアと出来ることは、何かありますか?」

 困りましたね。ここまで悲しそうにされると、厳しく言えないです。

「今日は、特にないと思います。  
 
 来週からはダンスのレッスンをしますが、せっかく来ていただきましたので、今日は天気もいいですし、庭でお茶でもいただきませんか?

 フレディの学院での様子など聞きたいです」

 そう言うと、一瞬で笑顔が弾けました。

 なまじ顔が、良いので心臓に悪いですね。ドキドキします。

 今日は、特に目新しいお菓子はないですね。

 シフォンケーキにジャムでアクセントをつけましょうね。

 先にレイモンド達を庭に案内して、私は皿にのせる飾りの指示を出しに厨房にいきました。

 リンゴのジャムをシフォンケーキにのせ、リンゴをウサギの形にして皿に盛り付けます。

 シェフには、急いで生クリームを作るようにお願いをし、生クリームができ次第、茶菓子のお代わりをジャムから生クリームに変えるよう指示を出していきます。

 さあ、私も庭に行きましょう。

 3人で何やら盛り上がってますね。
「お待たせしました。何やら会話が弾んでますね。何のお話ですか?」

「姉様、王都の年末の祭りの話をしてました。

 僕達は年末が近づくと領地に戻って新年をお祝いするじゃないですか?

 だから、年末王都で過ごしたことがないでしょう。

 祭りがあるのは知っていましたが、グレイの話を楽しそうだなあと思って聞いてました。」

 なるほど、前世の記憶を思い出しても、あまりパニックにならないのは、何となく一年が、12ヶ月でなりたっているからです。
 この世界の学校が始まるのが9月、前世での外国の学校の始まりが9月なので、そんなものかと違和感なし。

 やはり12月に年末、1月が新年、年末と新年は実家(領地)に帰りますよ的なのです。

 どの世界でも年末から新年にかけてお祭り気分になります。
 王都はそんなに派手なお祭りをするのてすか?興味深いですね。

 ちなみに今は12月に入ったばかりです。

 今年はフレディの学院の冬季休暇に合わせて予定を組んでいると思いますが、いつから領地に行くとは聞いていませんね。

「姉様は興味ありませんか?領地のお祭りの出店とは規模が違って、いろんな食べ物が出ているようです」

「そうですね、出店には興味があります。でも毎年領地ですごすでしょう」

「はい、そこで今年は、姉様の社交界デビューで忙しいので、帰らず、王都で過ごそうと提案しようと思ってます。

 だから、姉様、祭りに行きましょうよ。

 平民の服をきて楽しみましょう」

 とても心惹かれますね。デビューして、顔バレすると厄介ですから、確かに今年はチャンスですね。

 でも、どこの世界でもお酒が入ると暴れる人は出てきますから、危険ではないかしら。

 護衛を連れて歩くのは楽しめませんしね。

「フレディ、確かに楽しそうだけど、お祭りだから酔っ払いとかいると危険ではないかしら。あと、お父様達が許して下さるかどうか?」  

「姉様、じゃあ父上の許可が出たら一緒に行きましょう。約束ですよ」

「ディア、君達が行くなり、私が護衛役でついていく。それなら、酔っぱらいに絡まれる前に対処できるので」

「レイモンド先輩強いんだよ。毎朝の鍛錬もしているし、これならお祭りも安全に見れるよ。グレイも行くよね。平民の服も準備しないと。楽しみだなあ」

「フレディ、いくら楽しみでもお父様の許可が降りないと無理よ」

 あんなにも楽しみにしていると、やっぱり私は行かないの言葉が言えないわ。
 レイモンド達とお祭りに行くのは、出来たら遠慮したいのに。困ったわね。

 話がひと区切りついた頃、お茶とシフォンケーキが運ばれてきました。
 レイモンドをみると、ウサギの飾りリンゴをまじまじみて、小さい声でかわいいと言っているのが聞こえてきました。
 案外可愛い物好きなのですね。レイモンドはシフォンケーキはぺろりと食べたのに、リンゴのウサギだけは食べようとしませんでした。

 いつもなら、お代わりをしているのに、どうしたのかしら?

「レイモンドさま、リンゴは、苦手ですか?残して頂いて大丈夫ですよ、次のシフォンケーキを持って越させましょうか?」

「ディア違うのです。うさぎが可愛すぎて、もったいなくて、食べれないのです」

 まあまあ、大きい身体なのに、可愛いこと。

「次も、ウサギのリンゴがきますから、遠慮なく食べてくださいね。

 次のシフォンケーキも準備させますね」

 次もウサギのリンゴが出てくると聞いて安心したのか、嬉しそうに食べている姿に、少しだけですが、キュンとしました。ギャップ萌えですね。

 それから、生クリームに添えられたシフォンケーキを8皿食べて満足したのか、帰って行きました。

 何しに来たのか、レイモンドはお菓子に弱いですね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ

悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。 残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。 そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。 だがーー 月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。 やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。 それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

処理中です...