【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

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 今夜はいよいよ、私の社交界デビューの日です。今回、デビューする令嬢は16人とのこと。

 私も、朝からエステをして肌の調子をととのえてます。出来上がったドレスは私のイメージ通りで、自分で言うのもなんですが、いい感じではないかと思います。

 緊張なのか、喉が渇きます。紅茶で一息いれましょう。

 紅茶といえば、ハッピーデーの後に、私は2回のお茶会をしました。


 1つ目のお茶会は、オーシャン侯爵令嬢であるシャーロットの、ハートクッキーの結果を聞く女子会です。ざっくりいえば一勝4敗ですが、大本命からの交際申し込みがあったと聞いてます。

 なんと、相手は第二王子様、あのトンボ玉ネックレスはシャーロットの為に選んでいたのですね。

 シャーロットの話を聞いていると殿下の私の印象は商人令嬢みたいですね。

 デビューの時に、ダンスを一緒に踊る約束したと嬉しそうに話すシャーロットの顔が、キラキラ輝いてました。

 刺繍で事業をすると決めてからの彼女は、自分の居場所を見つけたのでしょうね、誰かの一番ではなく、自分自身が輝く場所を。

 すでに、私の結婚式で使うレースのベールに刺繍を入れて欲しいと注文してあります。

 シャーロットとのお茶会はとても楽しく終わりました。


 もう1つのお茶会は、なんとシェルエント公爵夫人と王妃様とのお茶会でした。

 シェルエント公爵夫人から手紙でマヨネーズと生クリームケーキ、プリン、チーズケーキの注文が入り、私にオシャレして届けに来て欲しいと言われました。

 将来の義母になるので、特に予定がなかったので、言われた通りにして訪ねました。

 公爵邸についた途端、公爵家の馬車に乗せられ、ケーキと一緒に王宮に来ていました。

 友達同士のお茶会だから、リラックスしてねと公爵夫人に言われましたが、王妃様に会うのは初めてのことなので、顔が強張ってしまいました。王妃様は気さくな方で

「ローズ、この子がディアちゃんね。将来の公爵家のお嫁さんね。私はラリサよ。
 第二王子クラークの母よ。今日はね、王妃ではなく、母親として貴方に聞きたいのよ。だから、そんなに緊張しないで」

「はい、フィンランディア・ルーシ・クライブです。今日は、お茶会のご招待ありがとうございます。私で答えれることでしたら聞いてください」

「私とローズは親友なのよ。ローズの娘なら、私の娘みたいな者よ。
 そこで、貴方の友達のオーシャン侯爵令嬢について教えてほしいの。

 ローズはあまり、オーシャン令嬢の事をよく思ってないのよ。友達なら私の息子のクラークと交際を始めたのは知っているでしょ。
 率直にシャーロット嬢はどんな娘なのかしら?」
 
 シャーロットの身辺調査ですね。私が呼ばれた理由がわかり納得です。

「シャーロット嬢は、素敵な女性です。逆に公爵夫人がどのように感じているか聞きたいです。
 人は、色んな側面を持っています。ですから、公爵夫人と私では、立場も有りますし、見る視点も違いますから」

「確かにそうね。ローズがどうしてそう思ったのか教えてほしいわ」

「そうね、まずは、ディアちゃん、いつまでも公爵夫人ではなく内輪ではお義母様と呼んで欲しいわ。
 
 なぜ私が、良い印象がないかと言うと、今回のデビューのパートナーをレイモンドにしてほしいと言われたときに思ったの。あの令嬢は、レイモンドをアクセサリーに見てるって。
 私はレイモンドに幸せになって欲しいの。だからあの令嬢は、無理と思ったのよ」
 
 なるほど、あの頃のシャーロットは居場所を求めていましたからね。でも、今は違います。

「あのお義母様、シャーロットは確かに、私にもレイモンド様のパートナーを変わってほしいと会いに来られました。
 でも、私が、レイモンド様を慕っていると話したら、謝ってくれました。
 心が正直な方なんです。シャーロットには兄上が見えて、やはり家の嫡男は大切にされます。
 誰かの一番になりたいと思うことは自然な事だと、私は思うのです。自分を見てくれる相手を探すのは当然の事だと思います。

 私はお菓子がつくるのが好きでした。貴族は厨房に入るのはいけないことだと教わりましたが、私が厨房に入りたいと言うと父は許してくれました。

 厨房に入れない家に嫁ぐなら、私は結婚しなくても領地で家をたて生きるのも良いと考えてました。
 レイモンド様は私専用の厨房を作っても良いと私のやりたいことを応援してくれます。

 シャーロット嬢も自分でやりたいことを見つけたのです。
 刺繍で事業をはじめると决めた彼女は、自分の居場所を探していた彼女ではありません。

 自分で輝く女性なのです。彼女の刺繍は素晴らしく、私の結婚式のレースのベールには刺繍してもらうことになっています。

 そのベールを見たら絶対に注文が殺到することでしょう」

「うふふ、クラークが話していた通りね。

 商売にたけているディアちゃんが、シャーロット嬢の刺繍の後押しをしていると。
 クラークが言うには、シャーロット嬢みずからディアちゃんと出会えて自分が何を欲していたのかが分って、前に進めたと言っているんですって。

 ディアちゃんを見習って、やりたいことも恋も楽しみたいと話してるみたい。

 クラークがシャーロット嬢がいいと言うなら様子をみようと思っているのよ。今日、こうやってディアちゃんに話を聞けて良かったわ。

 ローズのシャーロット嬢の印象は、変わる前の彼女ね。結婚を前提の交際ではないから、デビューしたら、私の目で彼女を確かめることにするわね。ディアちゃんのデビューのドレス楽しみね」

「そうなのよ、うちのディアちゃんは、経営のセンスがあるの。あのコサージュもディアちゃんが考えたなよ。だから、今度のドレスが楽しみなのよ」
 
 そこまで、私のドレスを楽しみにしていただけて嬉しいです。最後には私の作ったケーキが美味しから、厨房に入るのは悪いことではないと話すからねと和やかに終わりました。

 紅茶をゆっくり飲んでいたら、シャーロットや王妃様とのお茶会を思い出してしまいした。

 ナタリーの化粧技術は最高です。今日のコンセプトは子供から大人への第一歩ですと、語りながら私の顔を作ってくれます。婚約指輪をはめたら完璧です。

 ドレスを着た私は素適なレディになりました。

 迎えに来てくれた、レイモンドが私の姿をみて、褒めてくれます。 

「ディア、とても綺麗だ。出来たら私以外とダンスをしないでほしいぐらいだ。ディアの側を離れたくない」
 
 レイモンドが私に好きだと囁きます。お父様達の見てる前で、手を握りしめてきます。
 お父様達とは、馬車が違っていてよかったです。愛の囁きは、嬉しくもあり恥ずかしいのです、親の前では、赤面ものでした。

 いざ公爵邸に出発です。

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