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第一部
【14】吸血鬼ばぶちゃんと狩人神父。
しおりを挟む――――――ここはリクリの宮殿の応接間。
「は~~ぁ――――――~~いっ!神父は週1勤務、その他は狩人兼主夫のレナードですよ~~!」
……はい?
目の前に現れたのは、テンションのべらぼうに高い……週1勤務の神父姿の男性で、年齢は不詳、金茶の髪にグレーの瞳、優しげな印象を抱かせる。
「えと……神父さん?」
「えぇ、週1ですが……!ですが神父服は週7ですよ!週6コスプレですけど!」
その神父服、まさかのコスプレ!今日は神父さんデーじゃないのかな……?てことはコスプレ!?まさかのコスプレ……!まぁ神父さんだけども!てか、神父さんて……。
「週1でもいいんですか!?」
「そこら辺は、家事や育児、狩人業務との兼ね合いで」
そ、そう……なのか?
※実際の神父さんの勤務体制とは異なる場合があります。
「……って、狩人ってそもそも何をしているのか……」
そこがまず分からない。少なくとも吸血鬼とのドンパチはやってないそうだし。
「普段は吸血鬼と人間の間を取り持つ架け橋!事務仕事もあれば警備任務、スパイもやってますよ~!あ、でもたまに人間相手にバカやらかした吸血鬼を捕まえたり、吸血鬼相手にバカやらかした人間を捕まえたりして吸血鬼側との交渉をしています。吸血鬼側に引き渡すかも含めてね。人間には手の終えないこともありますので、そこは吸血鬼に……投げます」
「投げていいんですか……!?」
スパイ……を堂々と公言していいのかは置いておいて……投げるの!?なげやりっ!!
「ぶっちゃけ吸血鬼の方が色々と進んでますからねぇ。科学力もさながら、吸血鬼特有の不可思議な力とか」
あぁ……魔眼とか?
「あと、男も妊娠できるトコ……とかっ」
にたりと笑うレナードさんに、ドキっときた。このひと……まさかっ!
「腐男子……!」
「あなたも……っ」
腐男子は時に、こうやって分かり合うこともあるのだ……!
「いや、男子って歳じゃないのでは?」
ちょちょ――――……っ!リクリ!!
「吸血鬼に言われたかありません、還暦」
「いや、お前その前に何歳だ」
ひぃ――――――っ!?言わんこっちゃない!!
「け、喧嘩はしないでよ?」
特にドンパチとか、ドンパチとかドンドンパチパチとか!!
「私はユユのためならば……何でもするぞ」
「リクリったら……。喧嘩はダメだって……」
「ぼくも昔はそう思っていたんですけど……最近は夫氏に任せることにしたんですよね」
「お……夫……?リアル……BLっ!」
「んー、ボーイズって歳でもないんですけど」
「いやだからお前一体何歳なんだ」
「結婚したのが30……吸血鬼の年齢で10年なので、×30…で、今年で60歳ですかね?」
『同い年じゃねぇかっ!!』
俺とリクリの夫夫、初の共同作業ならぬ共同台詞であった。
「あれ、待って……吸血鬼の年齢……?」
「あぁ、ぼくは吸血鬼のばぶと結婚して、血の契りを交わしているんですよ。因みにままんですよ」
「まさかの先輩ままん!」
「えへえへっ!よろしくねっ!」
……ってことは……確かさっき、育児って……っ!
「う、産んだん、ですか?」
「2児のおかんです」
「ふぉ――――――っ!?」
「あ、因みにままんの出産は、吸血鬼の専用病院での無痛分娩……ですが、直接描写はありませんのでご安心くださいねー!」
「それどこへの注意喚起っ!!確実に俺じゃないところへの注意喚起入ってるよね!?」
「ついでに、ままんの産む吸血鬼の赤ん坊は……6ヶ月で生まれて来ます」
「早――――――――っ!?急な赤ちゃんの成長に、ままんの身体持つの!?」
「ままんは神秘っ!血の契りでなんやかんやがいい感じになってるんです!」
「そのなんやかんやが気になるのぉ――――――っ!」
「いやもう、元気に生まれてきてくれればそれでいいかなぁと」
「確かにそれはそうですけど」
「あと、人間じゃぁありませんからね。そこら辺は異種族の神秘です。あぁ、因みにですが、吸血鬼の男の父×人間の女性の母だと通常どおりの周期ですね。半人半鬼になりますから。……余談ですがね」
「そう……なんだ」
いろいろあるんだなぁ……。何かいっぺんに知識を総動員されていて、ちょっと難しくなってきた。
「あ、で、何の話でここに来ていたんでしたっけ」
「忘れたんですか――――――――っ!?」
レナードさんは自ら脱線しすぎて、本題を忘れていた……。いや忘れないで――――――っ!!!
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