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第一部
【41】吸血鬼ばぶちゃんの看病。
しおりを挟む「ば――……ぶぅ」
ふと、目を覚ませば。ばぶちゃんの美しくもかわいい寝顔。
「ばぶちゃん?」
ばぶちゃんを寝かし付けた後、俺もご飯を食べて……。漫画を読んで……。
その後いつの間にか俺も寝落ちていたのか、ばぶちゃんの腕の中だった。ばぶちゃんがお布団に入れてくれたのかな?
まぁ知恵熱出しているとは言え、吸血鬼だから、俺をお布団に引きずり込む……のも簡単なのだろうが、やっぱりいきなりはびっくりするよぉ~~。
んもぅ。
――――――でもかわいいなぁ。ばぶちゃんのさらさら御髪をなでなでなで。それに顔の赤みもだいぶましになったかな?段々と良くなっているみたい。安心、安心。
「ば~ぶちゃんっ」
「ばー……ぶ、まみー?」
うとうとしつつも、ばぶちゃんが眠たげな眼を開く。
「眠たいの?まだ寝ててもいいよ」
なでなでなで。
「ばー……ぶぅ」
そんな時、不意にばぶちゃんが首筋に顔を埋めて、すりすりと……。
「あん……っ、ばぶちゃん、この体勢で……っ」
こんな時まで懐いていてかわいいなぁと和んでいたのだが……。
俺は思い出した。このばぶちゃん、吸血鬼ばぶちゃんだったのだと。
――――――な・の・で……。
かぷっ
「ひゃひっ!?」
首筋に結構しっかり響く、吸血鬼に噛み付いかれた牙の感触。
首筋に吸い付く唇。そしてぢゅ~~ぢゅ~~と、俺の血を、吸っている~~~~っ!!あぁぁぁ~~~~れえぇぇぇ~~~~~~っ!?
ぢゅー……ぢゅ――――――……るるるうぅぅ――――…………。
「……んっ、ばぶちゃ……っ」
ぢゅ~~ぢゅ~~……。
「あぅ、ら、らめ……っ。へん、なっちゃうよぉ……っ」
そしてたっぷりと吸ったのか、首筋からゆっくりと牙が外れ、唇が離れ、舌で傷口をペロペロと嘗められる。
「ん……、あっ、くすぐった……っ」
「……、ばぶ。マミー、ぢゅーぢゅ……」
熱があるからだろうか、まったりしているからだろうか。
言うの……遅いよおぉぉぉ――――――――っ!!びっくりしたぁ~~~~~~っ!!!
「ばーぶ」
そしてむくりと起き上がったばぶちゃんは……。
「ん、どうしたの?」
俺も続いて起き上がる。
「ばぶー……」
すちゃっと取り出したのは救急箱。
「あ、俺自分でやるよ」
ばぶちゃん、お熱だし。
「ばーぶ。マミー!ばぶばーぶっ!」
これは吸血したものの義務と言わんばかりに手で制された。その、まぁばぶちゃんに任せた方がいいのか……?ひとりでやるのは難しそうだからな。簡単に見えて、割りと難しいのだ。
ばぶちゃんが患部を消毒してくれて、ぺたりと絆創膏を貼ってくれる。
「うん、ありがと。ばぶちゃん」
「ばぶっ!マミー、ばぶばーぶっ!」
ばぶちゃんも嬉しそうだ。やっぱりこれはばぶちゃんがままんにやってあげたいことリストなのかな……?
「ばーぶぅ」
そしてお片付けを済ませると、俺を抱き締めながらベッドに横になる。
本当に、幸せそうで。いやだからこそ、はしゃぎすぎちゃったんだろうなぁ。俺も、だけどね。
すやすやとふたりで眠りにつきながら、お昼寝を堪能すれば、――――――吸血したからなのか、ばぶちゃんは夜にはすっかり元気になっていた。
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