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第二部②
【69】吸血鬼ばぶちゃんと年始の宴。
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襖をバーンッ!
「ばぶ!」
「いよっしゃあぁぁっ!」
リクリばぶちゃんと一緒に襖、バーンッ!!
和室スペースの襖をバーンッ!!
次々バァァァァ――――――ンッ!
今日はいくらやったって怒られなあぁぁぁいっ!バァァァァ――――――ンッ!!!
そうして襖バーンの儀から、使用人たちがせっせと開け放たれたお座敷で準備迎えた本日……!実は国内の吸血鬼の王族勢揃いのパーティーなのである!
子どもたちはまだまだ小さいので、お義母さんたちの区画で一緒にお泊まり。リクハとナナハ、カズトくんとイチカくんも一緒。メイドさんたちが観ていてくれるので安心してパーティーに参加できる。いつもは夜のパーティーだが、今回は昼間から。
因みに使用人のひとたちもこの時期は大忙し。子持ちさんもたくさんいるが、宮殿内にも託児所があるそうで、そちらに預けているらしい。そちらには専任のままん保育士さんまでいる。あとこの時期は忙しいせいか、手の空いているままんやお母さんたちも手伝いに行っているそうだ。
本日はみんな預けていて大変だから、うちは預けてないけど、たまに同世代の子らと遊ばせるためにお邪魔したりする。
新年のパーティーが終われば、みんな交替にお休みをとって、家族と一緒にゆっくりと過ごせるんだそうだ。
昼間はお座敷で。夜は立席で行うらしい。
お座敷の場合は新年の祝賀と言う名で行われる宴だ。場所は俺とリクリばぶちゃんがかつていたずらをした、延々と襖が続くながーい和室スペース!
今もばぶちゃんのばぶ期にいたずらに行っている……!もう、俺とばぶちゃんの襖連続バーンいたずらは知られざるこの国の吸血鬼界の名物なのだ☆
そして今回は冒頭のシーンで襖を全て開け放ったわけである!
リクリばぶちゃんもちょうどばぶ期だったし、ちょうどよかった~。ふたりではしゃぎすぎて、お義母さんから『こ~らっ☆』と、かわいく叱られてしまったのは余談である。
そうして開け放たれたながーいスペースで行われる宴。
王族たちの席は奥の上座。お義父さんとお義母さんを中心に、リクリたんたち王族やその伴侶のままんが座る。その先が貴族、さらに先が狩人のお偉いさん、さらにさらに先が自由席……とは言え招待状がないと入れないが、一般吸血鬼や狩人たちの席だ。とは言えレナードさんと父さんは王族の伴侶なので席は上座側である。
昼間のお座敷では、吸血鬼と狩人たちの会。夜会は吸血鬼と取引のある人間の家も参加するらしい。
そしてお座敷の席では。
俺は王子のリクリたんの伴侶なので、リクリたん目当ての参加客の挨拶をひっきりなしに受けている。うぅ~王子も大変だなぁ。
まぁ、リクリたんがばぶ期でもあるので、みんな挨拶だけで話などは振ってこない。
リクリばぶちゃんが嫉妬しちゃうからね。ままん仲間の先輩たちは『がんばってね~』と優しく声をかけてくれる。ままん同士なら、ばぶちゃんも我慢できるからね。ばぶちゃん、えらい、えらい。
しかし……この昼間の宴会、3日続くの。正月三が日続くんだよ~~!もちろん参加者は宮殿に宿泊もできる。毎日参加するかは自由。でも慣例として1日は参加することが暗黙の了解だ。ここに泊まらせてもらっているわけだし、王のお義父さんには挨拶をしなくてはいけない。
「ユユちゃん、ユユちゃんたちはそろそろ休憩していらっしゃい。ずっと座っていたらばぶちゃんにも良くないわ」
と、お義母さんが声をかけてくれて、俺とリクリばぶちゃんはしばしばぶさんぽへ行くことにした。
「やっぱりばぶさんぽは大事だもんね」
「ばーぶっ!」
リクリばぶちゃんもばぶさんぽが楽しみなようだ。宴の合間にちょこっとふたりでばぶさんぽ。なんだかデートみたいで、わくわくするなぁ~。
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