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第二部②
【70】年始のばぶさんぽ。
しおりを挟む「年末年始の和風廊下って、なんだか空気が澄んでる気がするよねぇ、ばぶちゃん」
「ばぶ!」
ばぶちゃんとお手手を繋ぎ、楽しいばぶさんぽ~。
もちろん屋内はあったか。外に降り積もる雪はすごいが、のほほ~んと眺められる。
「そうだ、ばぶちゃん。託児所覗かない?」
「ばぶっ!」
ばぶちゃんもノリノリなようだ。託児所は宮殿の各所にあり、できるだけ普段の職場に近いところを選ぶらしい。その方が寮も近いから便利なんだって!
「ばぶばーぶ?」
「こんにちわ~」
託児所を覗けば、中にいたままんが出迎えてくれた。
「いらっしゃ~い!来てくれて嬉しいわ。ほら、みんなと遊んでいってあげてね~」
ままんの言葉に感謝しつつ、リクリばぶちゃんと中へ。最初は吸血鬼の王子のリクリばぶちゃんに本能でびびっちゃった子どもたちだが、今ではみんなの人気者。
リクリばぶちゃんが腰をおろせば、吸血鬼ジャングルジム化していた。因みに、子どもたちの場合はばぶ期に話しても許してくれる。子どもには優しいんだからっ!
俺も子どもたちとお絵描きしたり、折り紙を教えてあげたりで楽しくて。
そんな中。
ぎゅっと俺の背中に抱き付いたのは、人間の男の子。
人間の使用人もいるから、人間のちびちゃんがいることも普通なのだ。
まぁ、人間なら外の保育園や幼稚園にも通えるが、職場に近かったり、宮殿で働いている場合は預けるのが無料だったりするのだ。
吸血鬼界の社会福祉、充実してるよね……!まぁ、もともとは子どもができにくい吸血鬼だからこそ、子どもにも子育てに打ち込むぱぱままのために保証が充実しているのだ。――――――そう考えればレナードさん、すごいな。2児の母である。そしてお義父さんとナナヤさんも兄弟であった。珍しいけれど、兄弟もちらほらいたりする。
そんな中、この時期は宴に出席する参加者や宿泊者たちのために、事前予約制ではあるが、託児所を拡張、人員を増やして対応してくれている。
この子は、初めて見るなぁ。人間なら、狩人のひとたちの子どもかな?
「この子は……」
おいでおいですると、とことこと俺の前に来てくれて、ぎゅっと抱き付いてくれる。何だろう?会ったことはないはずなのに、この感じ。
「この子はままんなの」
ままん保育士さんに教えてもらう。
「ままんっ!?」
マジで!?あれ、でも……。
「迎えに行くのは18歳になってからでは?」
それとも、吸血鬼に仕えている人間の使用人さんの子かな……?偶然ままんだったとか。
「最近できた決まりなんですけど。ままんについて、保護が必要だと判断が下された場合は、まずままんの会で保護をした上で王と狩人協会が承認した上で、吸血鬼側で育てるんです」
「ふえぇ、いつの間にそんな決まりが……!」
「ばーぶ!」
その時、リクリばぶちゃんがグッドサインを送ってくる。もしかして……俺のことがあったから……!?
なんとまぁ。でも、それがこの子のためになるなら……。
けれど、懸念はある。
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