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第二部②

【80】吸血鬼ばぶちゃんとままんとは。

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あのままんの青年は、ユーリと言った。俺の勘は正しく、この国の出身。だけど……。

「留学先で、あの吸血鬼に拐われたんです」
つまり、名前はあとで聞いたが、ミミヅーマリ・バナヅウムにか。ひどいことをする。しかも実の兄のままんを。

彼の言う通り、この国では彼は留学先で行方不明となっていた。吸血鬼の妨害なのか、ろくに捜査も行われていない。彼の家は吸血鬼のことを知らない家だ。これからの処遇は吸血鬼と取引のある人間の家が間に入り、元の家と連絡をとっていくそうだ。
吸血鬼に拐われたと言うことで、レナードさんや父さんたちが調書もとっていった。今後の同じような犯罪への対策にいかされるらしい。外国ではともかく、吸血鬼が人間を無理矢理拐うことは禁じられている。だからままんの保護も、狩人を通して行うのだ。違法性がないことの証明もしなくてはならないから。

「でも……ばぶとままんのことは聞いていたけど……あのひとが本物のばぶじゃなかっただなんて」
「えぇと、じゃぁばぶちゃんには?」
今回保護したばぶちゃんは、ネオヅーマリ・バナヅウムさん。何か、最新式のハイスペックな代物が詰まっていそうな名前である。
ばぶだからこそ、生き残ったけれど、子どもの頃から監禁されていたことで、ばぶの力も発揮できず、ユーリを助けることもできなかったのだ。

「一度も会ったことがなくて……でも、誘拐されて、心細いなかでも、ひとりじゃない、諦めなくていい……いつかきっと、祖国に帰れると、祈ってきました」
偶然というか、なんと言うか、ユーリは故国の土を踏めて、ばぶちゃんと共に戻って来られたのだ。

「ユーリはこのまま、この国で暮らしたい?」
「も、もちろんです!もう二度とあんな目には……っ」
ユーリの目に涙が貯まる。後に分かったことだが、ユーリとネオヅマリばぶちゃんが運命だったのは偶然で、ミミヅマリはユーリをほかのばぶの情報でままんだと知り、拐った。ばぶちゃん同士なら、自分のままんを手に入れたいとは望んでも、ほかのままんに危害を加えようなんて……しないよね。
ばぶちゃんはばぶちゃんだからこそ、そう言う暗黙の了解を持っているものだ。

そして運命のいたずらか、ユーリがネオヅマリばぶちゃんのままんだと言うことを知り、ミミヅマリはユーリを自らのままんだと偽ったと。

因みに彼はこの国の商家との取引のために来ていたのだが。しかし今回のことで取引を受ける家はなくなった。むしろバナヅウム家も潰れるらしい。ネオヅマリさんも、ただのネオヅマリさんになるわけだ。あれ、ネオヅマリだったっけ?ちょっと違った気がするのだが……ネオヅマリでも、いっか。

「うん」
実はずっと俺の隣にいたリクリたんも頷いてるしね……!

【第二部・完】
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