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王太子

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「ん、う~ん」
もう、朝、か?

「うわぁっ、まずいっ!!しごとは……っ!……あんっ!?」
な、ナカで何か動いたっ!?
いや、挿入ってる!挿入ってるううぅっ!!!

「んっ、そんなに暴れるな。私の番。またシて欲しいのだな」
へっ!?

「あんっ」
また動くぅっ!!!

「愛しい我が番」
この声、確実に昨日の男っ!いや、つかこの蜜壺のナカに収まってる巨大なものは……

身体の上に被された布団の中身をちらりと見る。

「ひっ!?」
驚いたことは、2つある。ひとつは、俺のナカに1本挿入っているはずなのに、巨大でぶっとい、しかもトゲトゲの突起のついた雄根が、外にももう1本あった。あと、もうひとつは。

「へ……へび?」
この男の下半身は、蛇の尾だった。腹は白、背は黒い鱗で覆われた蛇体。挿れられている関係か、俺はその蛇体に脚を巻き付けるようにして横になっていたのだ。

更に顔を上げ、明らかになった男の顔をまじまじと見る。
金色の瞳は昨晩と同じ。光っていないだけで瞳孔が縦長の金色だ。
髪は艶のある黒、肌は抜けるように白く、蛇獣人かと思いきや――頭からはダークブラウンの歪んだ角が2本生えていた。因みに男も横になっているが、枕は角ありで寝ても大丈夫な仕様らしく、普通に寝転んでいる。

「へび?」
「あぁ、私は蛇獣人だ」
「へ、へぇ」
確か蛇って、2本あるんだったっけ。

「舌は?」
スプリットタンなのか?

「これか?」
そう言うと、男が唇を開きぬるっと舌を出してきた。それも先っぽが二股に分かれていて細長い……

「何で3本んんんっ!?ひぁっ」
叫んだ瞬間に何故か3本もある舌に唇を舐められ、体積問題どうなってんだと言う口の中に納められた。

「あぁ、我が愛しの番」
「いや、待って。俺がアンタの番ってのはどういう?」
少なくとも俺は、イケメンに見合うような見た目じゃない。少しだけ色素の薄いダークブラウンの髪に、限りなく黒に近い瞳、平凡な顔立ち。

今思えば、思いを寄せていた施設の頃のお兄さんもイケメンだったけど。

俺に優しくしてくれたけど、それってあくまでも俺が同じ施設で育った弟のような存在だったからだ。元々俺なんて、お兄さんとは釣り合わなかったのに、淡い恋心なんて抱いて、竜欧院 かさねに取られて勝手に傷ついて……バカみたいだ。

その後も頭ハテナ、回転追い付かないままイルの運命の番と呼ばれて宮で生活していても、本当の運命の番だと竜欧院 かさねがやってきて、俺は捨てられたんだ。

「もう、捨てられるなんて嫌だ」
挿れられている状況下で言うセリフかどうかは分からんけど!

「捨てる?私がそなたをか?バカげたことを。獣人は番への、とりわけ運命の番への執着は深い。その上蛇族の執着度は並大抵のことではない。私は一生そなたを放さない」
「なっ、俺、たいした美形でもないし」
「びけい?どうでもよい。そなただから良いのだ」
そんなことっ、そんなキラキラスマイルで言われたらっ!!
恥ずかしいのに、嬉しくてっ、

「うっ」
泣きそうになってしまう。

「どうした?」
男が、俺の顔を覗いてくる。

「その、いいの?俺なんかで」
「なんかと言うな。そなたは、……まずはそなたの名を知りたい」
そう言えば~、お互いの名前知らない。――知らないのに致しちゃったよ、俺ぇっ!!ぐぅっ!!

「たとい。蛇腹、縦」 
「へびはら、たとい?」
「あ、俺」
異世界人で、名前が変わっているかもと言おうとしたのだが……。

「確か何ヶ月か前の召喚者か?……イルの、運命の番だったと、だがイルは先月本当の運命の番を迎えたと聞いた」
――――――え、何で知って!?いや、城の中で暮らしている以上、それを知る立場でもおかしくは、ないっ!?

「あの、白虎め」
男の眼光がギラつく。いや、王子相手に何て言い方を!?第1王子だよ、相手は!!

「守護者は殺せぬが、痛い目を見せてやることはできる」
「いや、何言ってんの!?ダメだよ相手、第1王子!」
将来の王さまでは!?

「それは問題ない。私の方が立場が上だ」
「は?」
どゆこと?
イルより立場が上って、王さまじゃぁ?でも王さまの顔は見たことあるし。

「私はこの獣人国の第2王子のシュイ。王太子だ」
「え」
第2王子!?そして――王太子ぃっ!?

「お、王太子って、イルじゃぁ?」
第1王子なんだからと勝手に思っていた。

「守護者は王になれぬ、だから私が王太子だ」
知らなかったそんなことぉ――っ!?

「そして守護者は、神の遣いではあるが、王や後継者の王太子より偉いわけではない。国があり、王がいて、神が遣わす守護者だからだ。だから父上の後を継ぐ私の方が立場は上だ」

「なぬ――っ!?て、いいのか!?俺、異世界人だぞ!」

「構わぬ。おばあさま――父上の母君は異世界人だ」
「あ、そ、そうなの?あ、だから陛下は人間だったのか」
俺が見た陛下は、人間だった。ケモ耳しっぽもなければ、蛇の尾もない。人間だ。獣人国で、おかしいと思ってた。

「ん?父上は人間ではないぞ。正確には召喚者であった竜人のおばあさまの血を色濃く受け継いでいるから……竜人だ」
「まさかの竜人だった――――っ!」

「ん、それにしても、よき朝だ」
「そ、そうかい。あと、抜いてくんない?」
「無理、私はまだやり足りない」

「は?」
「さぁ、第2ラウンドと行こうか、たとい」
そしてシュイがぐるりと回転し、俺の上に覆い被さってきた。

「ん、また滾ってきた」
「いや、何言ってんの!?もう、朝!仕事は!?仕事はどうした王太子ぃっ」
王太子って忙しいんじゃないのぉっ!?

「問題ない。私は発情期のため、いつもよりも執務を縮小させている」
「い……あ、ひゃっ!?あ、あ―――――――っ」
そしてまた、シュイに注がれるぅ~~っ!!!

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