狼王の贄神子様

 男性でありながら妊娠できる体。神が作り出した愛し子であるティティアは、その命を返さんとする生贄としての運命に抗うべく、側仕えである鬼族の青年、ロクとともにアキレイアスへ亡命した。
 そこは、神話でしか存在しないといわれた獣人達の国。

「どうせ生贄になるなら、生きている神様の生贄になりたい。」

 はじめて己の意思で切り開いた亡命は、獣人の王カエレスの番いという形で居場所を得る。

 この国では何をしても構わない。獣頭の神、アテルニクスと同じ姿をもつカエレスは、穏やかな声色でティティアに一つの約束をさせた。
 それは、必ずカエレスの子を産むこと。

 神話でしか存在しないと言われていた獣人の国で、王の番いとして生きることを許された。
 環境の違いに戸惑い疲弊しながらも、ティティアの心を気にかける。穏やかな優しさに、次第にカエレスへと心が惹かれていく。

 この人の為に、俺は生きたい。

 気がつけば、そう望んで横顔を見つめていた。
 しかし、神の番いであるティティアへと、悪意は人知れずその背後まで忍び寄っていた。

 神の呪いを身に受ける狼獣人カエレス×生贄として育てられてきた神の愛し子ティティア

 お互いを大切にしすぎるせいで視野が狭くなった二人が、周りを巻き込んで幸せな家族になるお話。

※男性妊娠描写有り
※獣頭攻め
※流血、残酷描写有り

⭐︎20240124 番外編含め本編完結しました⭐︎

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