狼王の贄神子様

だいきち

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「ハニ。……おい、大丈夫かハニ」
「ぅ……う、……」

 武骨な指先が、ハニのまろい頬に触れる。白い腹には精が散らされ、ヘルグによって体を高められた残滓が寝台に染みをつくっていた。
 ぐでりとした薄い体は、体の芯が抜けてしまったかのようにヘルグの意のままだ。指先が薄桃色の胸の突起を刺激しても、緩慢な動きで弱々しく窘められる程度。 
 ヘルグは身を屈めるようにしてハニの唇に舌を差し込むと、ゆるゆると応えるように舐め返される。
 知らない刺激は抵抗するけれど、覚えた気持ちよさは受け入れるらしい。

「……口を開けろ。そう、いいこだ」
「ん、んん……」

 ハニの唇に深く口付けながら、ヘルグは時間をかけて中を暴く。
 三本を飲み込んだ蕾は、指をゆっくりと抜く度に赤い媚肉が絡みつく。くぷりと泡が弾けるようにして、指先は引き抜かれた。こなれた穴と、ヘルグの指が濡れた粘液で繋がった。
 大きな手のひらが、そっと細い足を抱え上げる。華奢な足で己の腰を挟むように引きよせると、ヘルグはハニの蕾に先端をあてがった。

「ふ、ん、んぅ、う……っ」
「大丈夫、ゆっくりする」
「~~っ、ふ……」

 甘やかすように、ヘルグの唇が柔くハニの舌に吸い付いた。口付けの合間の囁きが、ハニの胸の奥を刺激する。
 熱い塊がハニの蕾にゆっくりと侵入した。息が止まりそうになって、窘めるように舌裏を舐めあげられる。縋り付くように広い背中に回した腕は、ヘルグとの距離を詰めるように力強かった。

「ぁう……、っ、い、ぃた、い……」
「わかった、一度とめる」
「ぜ、全部……はい、った……?」
「まだ、あと半分残っている」

 ヘルグの言葉に、泣きそうな顔で思わず見つめ返した。もうすでに腹がいっぱいなのだ。
 これ以上入ったら、へそが外側に押し出されてしまうかもしれない。
 恐る恐る己の下腹へと目を向ければ、しっかりとした太い性器がハニの蕾に入っていた。

「ぁ、は、はい、って」
「煽るな。これ以上生殺しはごめんだ」
「うぇ、……っ……ぁ、ぁあ、あっま、まって、っ」
「まだ、俺は動いてない」

 ヘルグと繋がった事を目で見た瞬間。蕾はハニの意思なく収縮した。勝手に入った力が、ヘルグの性器を飲みこもうと蠢く。体の奥の、散々ヘルグによって虐められたくるみ大の器官が、性器に自らくっつくように蠕動する。
 こめかみに青筋を浮かばせて、性感を堪えるヘルグは、獰猛な肉食の獣そのものだ。興奮で犬歯が伸びている。細まった瞳孔はしっかりとハニを映し、伸びた爪がハニの薄い腹を傷つけていることにも気が付かない。
 このまま、喉笛を噛み切られて死んでしまうかもしれない。本能的な恐怖の奥に芽生える、少しの被虐心。食物連鎖をそのままに体で受け入れようとしている。
 ヘルグにならいいかもしれない。少しでも、ハニはそんなことを思ってしまった。震える手を、そっとヘルグの頬へ伸ばした。手のひらの内側に甘えるようにヘルグが擦り寄ると、ハニはヘルグの引き締まった腰をゆるゆると足で挟んだ。

「く、って」
「……やめろ」
「お、俺の、こと……、く、食って、ほし」
「ハニ……‼︎」

 ヘルグの顔が、切なそうに歪んだ。ハニが憧れても手に入らない、男らしい体が覆い被さるように華奢な体を囲う。大きな手のひらが、ハニの腰を片手で容易く引き寄せた。薄い体は、容易くヘルグの意のままになった。太い性器はハニの許容量を無視して侵入を始める。先程までの労りなどない。本能的に、強い欲をぶつけるような乱暴な挿入だ。
 薄い唇を震わせて、ハニは身を逸らした。痛い。痛くて、体が裂けてしまいそうだった。前立腺を押し潰されるような、強い快感が痛みと苦しみを覆うように全身を苛む。
 肉体を、強い雄に支配されている。それが、こんなにも安心できることだなんて思わなかった。オアシスの瞳から涙が溢れて、それをヘルグがベロリと舐める。やがて茂みが蕾に触れるまで深く挿入を果たされると、ハニの薄い腹は性器の形を受け入れるかのように膨らんでいた。

「ぅ、ふ、ふぁ、あ……あ……っ……」
「うご、く」
「ま、まっ……ぁあ、あ、あっ、ァん、く、ぃ、いた、ぁ、あ……っ」

 目の前で、ヘルグの性器がハニの体を高めていく。抽挿はゆっくりと。しかし、奥をあてるかのように深くまで入っていくのだ。引き絞られる、ヘルグの割れた腹筋が、ハニの放った精で汚れていた。
 小さな手を、そっと伸ばした。汚れを拭うように指先でヘルグの腹筋に触れた瞬間、ハニの体は大きく揺さぶられた。

「ひ、ぃあ……っ……‼︎」

 視界が大きくぶれたかと思った。腹の内側で、何かが弾けるかのような、そんな衝撃を伴う快感が、ハニの知らない体に教え込む。男らしく引き締まった腰を挟んでいた細いハニの足は、グインと跳ね上がるように伸ばされた。
 腹の中がキュウと疼いて、性器からは勢いよく精液が放たれる。たった一回の律動が、ハニの体を高みへと追いやった。体の主導権をヘルグに奪われて、押さえ込まれるように腰を打ち付けられる。

「きゃ、ぁ、ああ、あっうう、う、うぅ、うっ……‼︎」
「ああ……、可愛い声が出た……はは、いいな。ハニ、もっと聞かせろ」
「ぃゃ、だ、あ、あっ、こぁ、いっ……き、もち……の、ゃ、……」
「怖くない、……ほら、こっちを見ろ、お前を抱いてるのは……、誰だ」

 ヘルグの掠れた声が脳に染み込む。みられたくない顔をしているだろうに、互いの汗が混じり合う距離だ。ヘルグの熱い体温が映って、勝手に体が蕩けていく。男らしい腕に、苦しいほどきつく抱きしめられて、話さないと言われているような執着がハニを甘やかす。
 この男の腕の中は気持ちいい。下手くそに縋り付く、腕の中の存在を確かめるようにだ。言葉とは裏腹のハニの行動を、ヘルグは愛おしそうに受け止める。これが大人の余裕と言うのなら、到底追いつきそうもない。
 汗で濡れた髪を撫でて、人の腹の中を縦横無尽に攻め立てて、断りもなく柔らかな肉に歯を立てられる。支配される喜びを、こうして教え込まれている。

「うあ、ぁや……ぉ、俺、じゃ、なく、ぁ……っひゃ、う……ぅ……っ」
「ああ、ずっとそうして泣いていろ」
「い、ぃじ……ゎう……ぁ、あっ、あ、あ、あーー……っ‼︎」
「俺だけが、弱いお前を知っていればいい……っ……」

 喉の奥から、ぎゅう、と心の疼痛が音として現れる。そんなこと、今まで誰も言ってくれなかった。ハニが静かに待っていた言葉を、ヘルグはくれるのだ。
 強くなんかない、本当は、心も弱いのだ。でも、ハニは強くならなくてはいけなかったから。そう望まれて、そうならなくちゃと努力をしてきた。誰も知らなくていいと思っていた。スレイヤだって知らないだろう、ハニの隠している一面を、ヘルグが無理やり暴くのだ。
 心臓よりも奥深く、こんなに心に近い部分を晒したのは初めてだ。ヘルグの目の前の、ハニの顔に幼さが宿る。早くから大人になってしまった、隠された小さなハニが、ヘルグに縋るのだ。

「うぁ、あっ……へ、ルぐ、……っ、ヘルグ……っ」
「もっと呼べ……」
「へる、ぐ……ぃ、く、っ……で、ちゃ……っ」
「ああ……くそ、可愛い……」

 足を開かされて、付け根が悲鳴を上げている。感情が忙しなくて、体は置いてけぼりになってしまったようだった。それでも、大きな手のひらがしっかりとハニを囲んでいる。腕の檻の中で、何度も唇を交わして求めてくる。
 必要とされることの、なんて甘美なことだろう。隙間を許さないように絡む指も、時折当たるヘルグの犬歯も、苦しいほどの抱擁も。ここにいていいんだ。ハニは、素直を見せていいんだと言われているようだった。
 蕾を広げるように、ヘルグの性器が膨らんだ。白く細い首筋に噛みつかれて、獲物を組み伏せるように押さえつけられる。それだけで、ハニは容易くヘルグの腹を汚した。尻を弾かれるように激しい律動と共に吐き出された熱い奔流に、体の芯から満たされるように腹でヘルグを受け止めた。

「ぁ……つぃ……」
「は……ぁ……っ……」
「ふ、ぁ、っぉ、奥、や……」
「く、……」

 流れる汗が、ハニの体にぽたりと落ちる。執念深く、射精をしながら奥を摩擦するヘルグの腰使いに、孕むわけないのに妊娠しそうだとおもった。

(もし俺が、オメガだったら……)

 栓無いことを考えて、やめた。ヘルグの上等な顔が近づいて、労わるように頬を舐められる。本能が前に出て、本当の獣のように愛情を示してくる。それほど、余裕がないのだと知って、ハニは短い尾っぽを小さく震わせた。


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