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薬品臭い部屋の中で、ハニは両手で耳を塞いでいた。
己の荒い呼吸も、衣擦れの音も、なにより聞くに堪えない声と水音も、全部遮断してしまいたい。よすがにしていた枕は、へルグによって早々に取り払われてしまった。床には、ハニの着ていた衣服だけが重なるように落ちている。
「ぉ、おればっ、か……っ、やだ……」
「俺を受け入れてくれるお前を、まずは愛でたいんだ」
「っ、ふ、ふく、ゃっ、へ、ヘルグも……ぬ、いでって、ば」
ヘルグの手で高められた体は、白い肌を淡く染めていた。大きな手で足の付根を押されるだけでも辛いのに、ヘルグの手がハニの性器を隠すように慰めるのだ。
己だけ裸なのが嫌だ。思わず声を上げたハニだったが、同時にヘルグのことも煽ってしまったらしい。
「……煽っている?」
「え、っ」
「わるいが今の俺は、お前のことで何でもバカになれるぞ」
こめかみに青筋を浮かべるほど、何かを堪えている。聞き捨てならない言葉に、ハニは思わず涙目のままヘルグを見上げた。
そうして、ようやく言葉の意味を理解した。ヘルグは今、傷の治癒のために上半身に包帯を巻いている。衣服をまとっているのは、下半身だけであったのだ。
ハニの目の前で、無骨な手がベルトのバックルを緩める。カチャカチャという金属の擦れ合う音を前に、白い肌は上がる体温を如実に表すように染まっていった。
男らしく割れた腹筋には、太い血管が伸びていた。ボトムスのファスナーを下げ、前立てをくつろげる。血管の浮かぶ無骨な手が、ハニの目の前で性器を晒した。
「ひ、っ……」
「やめろ、その反応は流石に落ち込む」
「ご、ごめ……ぅわ、あっ」
苦笑いを浮かべたヘルグを前に、ハニは慌てたように両手で口を塞いだ。
膝同士をくっつけようとして、ヘルグに阻まれる。両手でしっかりと足を広げられ、ぎょっとしたのも束の間だ。ヘルグはハニの足の間に腰を進めると、膝を折りたたむようにしてハニの腰を持ち上げた。
「ぜ、絶対にむり」
「慣らすから、逃げるな」
「だってそこ、で、でぐち」
「それが入口にもなる」
そんなわけがあるか! ハニは思わず声を上げそうになって、再び口を塞いだ。
オアシスの瞳が、見開かれる。ヘルグの肉厚な舌が、ゆっくりと蕾を舐めたのだ。経験のない刺激に、思わず足でヘルグの頭を挟んだ。
黒髪は、ハニの妨害を気にも止めずに会陰へと口付けを落とす。己の性器越しに、ヘルグと目があった。ヘルグの瞳孔が獣のそれに変わっているのを前に、ハニは小さく身を震わせた。
「顔、こわい……」
「それは、俺にはどうしようもできない」
「ゃだ、やだって、あ、あっや、なめん、なっ」
「それも、聞けない話だ」
ぐるる、と治安の悪い音を立てる。ヘルグの舌がねろりと性器を舐め上げると、唇の隙間から見えた犬歯に小さな悲鳴を漏らした。
「噛みちぎったりはしない。怖いなら目を閉じておけ」
「み、みえないのも、やだ」
「わがままだな。なら、好きにしておけ」
甘さを含む声が、ハニの神経をだめにする。どこもかしこも鋭敏で、体が壊れてしまったようだ。
赤い舌が先走りを舐め取って、細い糸がヘルグの舌先と繋がった。
気づけば太い指先が、愛でるように蕾へと刺激をおくるのだ。気が付けばハニは薄い胸を上下させることしか出来なくなっていた。
聞くに堪えない水音が、聴覚からハニを犯す。顔の横に手がついて、寝台がぎしりと音を立てる。薄桃色に染まった美味しそうな体を覆うように、ヘルグがハニを見下ろした。
「気をやったのか」
「な、めないで」
「可愛い、良さそうな顔をしている……」
雌の毛並みを整えるように、ヘルグがハニの耳を舐める。バタバタと音がするから、きっとご機嫌が外に現れているのだろう。ぐでりとしたハニの首や耳を舐めるヘルグは、己の気に入りを愛でる狼そのものだった。
「もう少し愛でる。体が勝手に動くなら、縋りついていろ」
「ゆ、ゆび、ほんとに……?」
「慣らさなければ、俺が入れられないだろ」
少しの不遜さをにじませる。それでも、ヘルグの手は優しかった。
先走りを指先に絡め、ゆっくりと蕾を撫でる。ハニの細腕が首に縋ろうとしていることに気が付くと、そっと身を寄せた。
ハニのことを、本当によく見ている。灰色の瞳は冷たく見えるのに、その眼差しは柔らかい。
「ぁ、……」
「大丈夫、大丈夫だ」
「ぁう、ぅ……っ」
ゆっくりと埋め込まれていく。ヘルグの手袋もなにもない指先が、ハニの内側をなだめすかすように動く。ぬめりを塗りつけるだけ、これはきっと愛撫なんかじゃなくて、準備に決まってる。
ハニは現実逃避をするように、そんなことを思った。そうしなければ、身も蓋もなく情けない声を上げて、甘えてしまいそうだったのだ。
「えらいな。……もう少し奥に触れる。痛いか?」
「ぃ、いたく、ない」
「そうか、きちんと素直になれてえらいな」
「ふ、ぅ……っ……」
ヘルグの犬歯が、柔らかなハニの耳を甘く喰む。それだけで、素直な体は容易く火が灯る。
じくん、と奥が疼いた。雌でもないのに、ハニの知らない場所が、ゆっくりと目覚めるかのように。
「ぁ、へん、変……っ、ゃだ、こわ、い」
「言ってごらん」
「お、ぉく、……っ、じくじく、する、……」
ひっく、と堪えきれずに嗚咽が漏れた。長いまつげが濡れて束になるように、オアシスの瞳を縁取る。ハニの中の緊急事態も、ヘルグは嬉しそうに微笑むだけだった。
いつの間にか増やされた指が、的確にハニの知らない場所を愛でていく。指が折り曲げる生々しさを感じているはずなのに、ハニのそこは甘えるように吸い付いて離れない。
一体、己の体はどうなってしまったのだろう。気を抜けば愚図ってしまいそうで、ハニは逃げるように顔を背けた。
己の荒い呼吸も、衣擦れの音も、なにより聞くに堪えない声と水音も、全部遮断してしまいたい。よすがにしていた枕は、へルグによって早々に取り払われてしまった。床には、ハニの着ていた衣服だけが重なるように落ちている。
「ぉ、おればっ、か……っ、やだ……」
「俺を受け入れてくれるお前を、まずは愛でたいんだ」
「っ、ふ、ふく、ゃっ、へ、ヘルグも……ぬ、いでって、ば」
ヘルグの手で高められた体は、白い肌を淡く染めていた。大きな手で足の付根を押されるだけでも辛いのに、ヘルグの手がハニの性器を隠すように慰めるのだ。
己だけ裸なのが嫌だ。思わず声を上げたハニだったが、同時にヘルグのことも煽ってしまったらしい。
「……煽っている?」
「え、っ」
「わるいが今の俺は、お前のことで何でもバカになれるぞ」
こめかみに青筋を浮かべるほど、何かを堪えている。聞き捨てならない言葉に、ハニは思わず涙目のままヘルグを見上げた。
そうして、ようやく言葉の意味を理解した。ヘルグは今、傷の治癒のために上半身に包帯を巻いている。衣服をまとっているのは、下半身だけであったのだ。
ハニの目の前で、無骨な手がベルトのバックルを緩める。カチャカチャという金属の擦れ合う音を前に、白い肌は上がる体温を如実に表すように染まっていった。
男らしく割れた腹筋には、太い血管が伸びていた。ボトムスのファスナーを下げ、前立てをくつろげる。血管の浮かぶ無骨な手が、ハニの目の前で性器を晒した。
「ひ、っ……」
「やめろ、その反応は流石に落ち込む」
「ご、ごめ……ぅわ、あっ」
苦笑いを浮かべたヘルグを前に、ハニは慌てたように両手で口を塞いだ。
膝同士をくっつけようとして、ヘルグに阻まれる。両手でしっかりと足を広げられ、ぎょっとしたのも束の間だ。ヘルグはハニの足の間に腰を進めると、膝を折りたたむようにしてハニの腰を持ち上げた。
「ぜ、絶対にむり」
「慣らすから、逃げるな」
「だってそこ、で、でぐち」
「それが入口にもなる」
そんなわけがあるか! ハニは思わず声を上げそうになって、再び口を塞いだ。
オアシスの瞳が、見開かれる。ヘルグの肉厚な舌が、ゆっくりと蕾を舐めたのだ。経験のない刺激に、思わず足でヘルグの頭を挟んだ。
黒髪は、ハニの妨害を気にも止めずに会陰へと口付けを落とす。己の性器越しに、ヘルグと目があった。ヘルグの瞳孔が獣のそれに変わっているのを前に、ハニは小さく身を震わせた。
「顔、こわい……」
「それは、俺にはどうしようもできない」
「ゃだ、やだって、あ、あっや、なめん、なっ」
「それも、聞けない話だ」
ぐるる、と治安の悪い音を立てる。ヘルグの舌がねろりと性器を舐め上げると、唇の隙間から見えた犬歯に小さな悲鳴を漏らした。
「噛みちぎったりはしない。怖いなら目を閉じておけ」
「み、みえないのも、やだ」
「わがままだな。なら、好きにしておけ」
甘さを含む声が、ハニの神経をだめにする。どこもかしこも鋭敏で、体が壊れてしまったようだ。
赤い舌が先走りを舐め取って、細い糸がヘルグの舌先と繋がった。
気づけば太い指先が、愛でるように蕾へと刺激をおくるのだ。気が付けばハニは薄い胸を上下させることしか出来なくなっていた。
聞くに堪えない水音が、聴覚からハニを犯す。顔の横に手がついて、寝台がぎしりと音を立てる。薄桃色に染まった美味しそうな体を覆うように、ヘルグがハニを見下ろした。
「気をやったのか」
「な、めないで」
「可愛い、良さそうな顔をしている……」
雌の毛並みを整えるように、ヘルグがハニの耳を舐める。バタバタと音がするから、きっとご機嫌が外に現れているのだろう。ぐでりとしたハニの首や耳を舐めるヘルグは、己の気に入りを愛でる狼そのものだった。
「もう少し愛でる。体が勝手に動くなら、縋りついていろ」
「ゆ、ゆび、ほんとに……?」
「慣らさなければ、俺が入れられないだろ」
少しの不遜さをにじませる。それでも、ヘルグの手は優しかった。
先走りを指先に絡め、ゆっくりと蕾を撫でる。ハニの細腕が首に縋ろうとしていることに気が付くと、そっと身を寄せた。
ハニのことを、本当によく見ている。灰色の瞳は冷たく見えるのに、その眼差しは柔らかい。
「ぁ、……」
「大丈夫、大丈夫だ」
「ぁう、ぅ……っ」
ゆっくりと埋め込まれていく。ヘルグの手袋もなにもない指先が、ハニの内側をなだめすかすように動く。ぬめりを塗りつけるだけ、これはきっと愛撫なんかじゃなくて、準備に決まってる。
ハニは現実逃避をするように、そんなことを思った。そうしなければ、身も蓋もなく情けない声を上げて、甘えてしまいそうだったのだ。
「えらいな。……もう少し奥に触れる。痛いか?」
「ぃ、いたく、ない」
「そうか、きちんと素直になれてえらいな」
「ふ、ぅ……っ……」
ヘルグの犬歯が、柔らかなハニの耳を甘く喰む。それだけで、素直な体は容易く火が灯る。
じくん、と奥が疼いた。雌でもないのに、ハニの知らない場所が、ゆっくりと目覚めるかのように。
「ぁ、へん、変……っ、ゃだ、こわ、い」
「言ってごらん」
「お、ぉく、……っ、じくじく、する、……」
ひっく、と堪えきれずに嗚咽が漏れた。長いまつげが濡れて束になるように、オアシスの瞳を縁取る。ハニの中の緊急事態も、ヘルグは嬉しそうに微笑むだけだった。
いつの間にか増やされた指が、的確にハニの知らない場所を愛でていく。指が折り曲げる生々しさを感じているはずなのに、ハニのそこは甘えるように吸い付いて離れない。
一体、己の体はどうなってしまったのだろう。気を抜けば愚図ってしまいそうで、ハニは逃げるように顔を背けた。
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