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攻めの一手 Side 彩人

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「えぇぇぇ!?そういうもん?だってずっと昔から一緒に出掛けたりしてたからそれがデートしてるとか意識した事ないよ?!!」


まぁ、麻里花にハッキリ言わなかったからそうなるよな。


そして毎度誘っても断られないし、行きたいところに連れてってるから文句も無いし一緒に居るのに慣れすぎて違和感無いんだよな。 


「そんな事だと思ってたよ、麻里花は。でも周りから見た俺達の関係は恋人同士ってこと。俺もそう接してきたし。気づいてないのは麻里花だけだよ?」

にっこり教えてやると


「ふぇぇ、そうなの?そういうものなの?」


「そういうものよ、本当に高校時代からこれだもんね。私はてっきり大学卒業したらそのまま永久就職するもんだと思ってたのに就職活動しててびっくりしたのよ?」

そう言うのは金山さん


「周りはそう思ってたけど麻里花が自覚してなかったからね。社会に出るのも経験かと思って就職活動は見守ってたよ。」

そう言ってやると


「ホントに私だけが自覚してなかったの?」

「麻里花の親に家の親もみんな俺と麻里花が結婚するものと思ってるよ。金山さんにしてもそうだったんだから。」


悩んでるな。
これでいいのか。

麻里花は天然ではあるが頭は悪くないからな。


まぁ、いきなり言われても困るだろうが。

そろそろ自覚させないと配属先の男どもを止めなきゃならないしな。

「麻里花は俺が彼氏で婚約者なのは嫌なのか?」


そう聞いてみると


「彩人くんの事は好きだよ!でもそれが恋愛の意味かは分かんない。」


ホントに鈍いな
少しため息を吐きそうになるが堪える。
長年待ち続けたのだからこれ位乗り越えないと。

そこに金山さんが諭すように言う


「麻里花、想像して。今までみたいなお迎えもなくなって休日のお出かけもなくなって、彩人さんの隣には麻里花以外の女の子が居るの。そうしたら麻里花はもう笑ってもらえなくて出かけられなくて一緒に居られないのよ?」


麻里花の顔がみるみる歪み泣き出しそうになっている。


そして呟いた。

「そんなの嫌だ……」


やっと自覚したか俺の唯一のお姫様は


「じゃあ、麻里花が俺の彼女で婚約者。それで構わないよな?」


「良いの?」

そう窺う様子の麻里花は自覚無しだったことが後ろめたそうではあるものの素直なので喜びも混じっている。


「当たり前だろ。俺は昔から麻里花だけを愛してるんだから。」


その一言に周りすら照れだし麻里花は真っ赤になりつつ可愛く微笑んで


「ありがとう、私も彩人くんが好きだよ!恋愛の意味で。気づくの遅くなってごめんなさい。」

はにかみながらの返事が可愛くて仕方ない。

「じゃあ、帰ろうか?むしろ、今日は帰せないかもな。」


フワッと微笑んで言うと真っ赤になった麻里花がおずおずとしつつも寄ってきて


「お父さん達も分かってるなら……
大丈夫、だよ?」


本当に反則的な可愛さだ。

我慢の限界超えたな。
今夜はもう俺の部屋に連れて帰る。

そうして同期の飲み会から麻里花を連れ出し俺の住むマンションに帰ることにした。
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