10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ

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特別編6

プロローグ『秋のお泊まり女子会』

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特別編6



「愛実ちゃん。白菜はこのくらいの大きさに切ればいいですか?」
「うん、そうだね。そのくらい大きさで切っていって」
「分かりました!」

 9月24日、土曜日。
 午後5時過ぎ。
 私・香川愛実かがわまなみは、クラスメイトで親友の桐山きりやまあおいちゃんの家のキッチンで、あおいちゃんと一緒に夕食のキムチ鍋の準備をしている。

 どうして、あおいちゃんの家で、あおいちゃんと一緒に夕食の準備をしているのか。

 今夜、あおいちゃんの家で秋のお泊まり女子会をするからだ。参加するのはあおいちゃんと私の他に、クラスメイトで中学時代からの親友の海老名理沙えびなりさちゃんと、クラスメイトで友達の鈴木力弥すずきりきや君の恋人で別の女子校に通っている須藤美里すどうみさとちゃん。
 4人でお泊まり女子会をすることになったのは、一昨日、球技大会があった日の夜にあおいちゃんから、

『突然ですみません。もし予定が合えば、明日からの3連休の間に私の家で秋のお泊まり女子会をしたいです! 先週末の3連休は愛実ちゃんが誕生日の夜に凉我君とお泊まりしましたし、美里ちゃんとはお泊まりしたことがないので、4人でお泊まり女子会をしたくなりまして……』

 というメッセージが、あおいちゃん、理沙ちゃん、美里ちゃん、私がメンバーとなっているグループトークに送られたのがきっかけ。
 先週末も3連休で、土曜日は私の17歳の誕生日だった。その日の夜は恋人のリョウ君こと麻丘凉我あさおかりょうが君とお泊まりした。そのことはあおいちゃんも知っているし、楽しい時間だったことも話した。
 あと、今年の夏休みに私の家でお泊まり女子会をしたけど、そのときはあおいちゃんと理沙ちゃんと私だけ。美里ちゃんを誘ったけど、帰省するので参加できなかった。だから、再び3連休である今週末にあおいちゃんが4人でお泊まり女子会をしたい気持ちが分かった。
 突然の話だったけど、お泊まり女子会はとても魅力的で。なので、

『お泊まり女子会、いいね! 私、参加するよ!』

 私はすぐに快諾の返事を送った。
 また、その後すぐに、

『何だかあおいらしいわね。あたし、参加するわ』
『嬉しいお誘いね、あおいさん。夏休みのお泊まり女子会には参加できなかったし。是非、参加させてもらうわ』

 理沙ちゃんと美里ちゃんもお泊まり女子会に参加する返事を送り、あおいちゃんの家で秋のお泊まり女子会が開催されることが決まった。みんなの予定を聞いて、今夜実施されることになった。
 みんなで夕食を食べたり、お菓子を食べながらアニメを観たり、夏休みのお泊まり女子会のように夜にリョウ君と話したりする予定だ。
 あおいちゃんの御両親の麻美あさみさんとさとるさんが「お泊まり女子会の夕ご飯はみんなの食べたいもので」と言ってくださったので、みんなで何を食べるか話し合ってキムチ鍋に決まった。今は秋のお彼岸の時期で夜は涼しくなってきたことや、みんなで楽しく食べられそうだからという理由で。
 今日はお泊まり女子会以外に特に予定はないし、料理がとても好きなので、こうしてあおいちゃんと一緒に夕食のキムチ鍋の準備をしている。
 ちなみに、理沙ちゃんはマネージャーをしている陸上部の活動、美里ちゃんは本屋さんでのバイトがあるので、午後6時頃に2人で一緒に来ることになっている。

「お泊まり女子会ができることなって嬉しいですっ」

 白菜を切りながら、あおいちゃんはニコニコ顔でそう言った。私がお家にお邪魔してからあおいちゃんはずっと笑顔だ。お泊まり女子会ができることになってとても嬉しいのがよく分かる。

「ふふっ、そっか。私も嬉しいよ。あおいちゃん達とお泊まりできるの。美里ちゃんとは久しぶりだし。お泊まり女子会したいって言ってくれてありがとう」

 あおいちゃん達3人とは仲がいいし、この3人と一緒にお泊まりをするのは初めてだから。
 あおいちゃんは元々上がっている口角をさらに上げて、

「いえいえ! こちらこそです。突然のお誘いを快諾してくれてありがとうございます」

 とお礼を言ってくれた。今のあおいちゃんの素敵な笑顔を見ていると、あおいちゃんからのお誘いを受けて良かったって心の底から思う。
 その後もあおいちゃんと一緒にキムチ鍋の準備をしていく。夏休みのお泊まり女子会のこととか、2人とも好きな漫画やアニメのことなどの話をしながら準備しているので結構楽しい。
 キムチ鍋に入れる具材の準備ができたときには、理沙ちゃんと美里ちゃんが来る予定の時間が迫っていた。なので、さっそく、あおいちゃんの家にある土鍋に市販のキムチ鍋のスープを入れて煮込み始める。キムチの美味しそうな匂いに食欲がそそられる。

「あぁ、キムチのいい匂いがしますねぇ。よりお腹が空いてきました!」

 あおいちゃんは持ち前の明るい笑顔でそう言う。あおいちゃんも同じような気持ちか。いい匂いだもんね。
 煮込み始めてから少しして、
 ――ピンポーン。
 と、家のインターホンが鳴った。理沙ちゃんと美里ちゃんかな。キッチンにある時計を見ると午後6時過ぎだし。

「私、出ますね」

 と言って、あおいちゃんはリビングに向かった。果たして、誰がインターホンを鳴らしたかな?
 それから程なくして、

「理沙ちゃんと美里ちゃんでした!」

 あおいちゃんは嬉しそうな笑顔でそう言ってきた。やっぱり2人だったんだね。

「そうなんだね」
「ええ。2人を出迎えてきます。愛実ちゃんはどうしますか?」
「私も行くよ」

 あおいちゃんと一緒にキッチンを出て、玄関へ向かう。
 あおいちゃんが玄関の扉を開けると、そこには理沙ちゃんと美里ちゃんの姿が。これからお泊まり女子会なのもあってか、2人ともボストンバッグを持っている。

「いらっしゃい、理沙ちゃん、美里ちゃん!」
「お邪魔します。今回はお泊まり女子会に誘ってくれてありがとう、あおい」
「ありがとう、あおいさん。今日のお泊まり女子会を楽しみにしていたわ。あおいさんとお泊まりするのは初めてだし、愛実さんと理沙さんとは2年生になってからは初めてだから。だから、今日のバイトはよく頑張れたわ」
「あたしも部活頑張れた」
「ふふっ、そうですか。お疲れ様です。突然のお誘いでしたけど、お二人が参加してくれて嬉しいです!」

 あおいちゃんは言葉通りの嬉しそうな笑顔でそう言う。全員揃ったのもあって、夕食の準備をしているときに私にお礼を言ったとき以上のいい笑顔になっていて。

「今日は4人で楽しいお泊まり女子会にしましょうね!」

 あおいちゃんは満面の笑顔でそう言った。

「そうだね、あおいちゃん」
「楽しもうね、あおい」
「そうね。楽しみましょう」

 私、理沙ちゃん、美里ちゃんがそれぞれ返事をする。そのことであおいちゃんの笑顔はもっといいものに。
 この4人でのお泊まり女子会は初めてだから、楽しいお泊まりにしたい。

「それにしても、家に入った瞬間からとてもいい匂いがしているわね。夕食のキムチ鍋かしら?」
「キムチのいい匂いがするわよね。部活もあったし、本当にお腹が空いてきた」
「キムチ鍋の匂いだよ。今は食材を鍋で煮込んでいるところ。もうすぐ食べられるよ」
「そうなのね。楽しみ」
「そうね。バイトがあったから、私もお腹が空いているし」
「愛実ちゃんのおかげで無事に作れました。……さあ、お二人とも上がってください」
『お邪魔します』

 その後、理沙ちゃんと美里ちゃんはあおいちゃんの家に上がる。リビングにいる麻美さんと聡さんに挨拶した後、荷物を2階にあるあおいちゃんの部屋に運んだ。
 理沙ちゃんと美里ちゃんを出迎えていた間に、鍋の具材はいい感じの煮込み具合になった。なので、さっそく夕食を食べることに。
 普段、桐山家のみなさんはキッチンの食卓で食事をするそうだけど、今日は6人いるのでリビングのテーブルを囲んで食べることに。
 配膳をして、私達6人はテーブルの周りに置いてあるクッションに座る。ちなみに、座っている場所は私から時計回りで理沙ちゃん、麻美さん、聡さん、美里ちゃん、あおいちゃんだ。あおいちゃんとは隣同士で座っており、正面に麻美さんが座っている。

「わぁっ、美味しそう」
「美味しそうね」

 理沙ちゃんと美里ちゃんはテーブルに置いてあるキムチ鍋を見てそう言ってくれる。この後、実際に食べて「美味しい」と言ってもらえたらいいな。

「あおい。お泊まり女子会の企画者として、あおいに食事の挨拶をしてもらおうかしら」
「分かりました、お母さん。……一昨日のお誘いだったのにも関わらず、みなさん快諾してくれて、こうしてお泊まり女子会ができることがとても嬉しいです。楽しいお泊まりにしましょう! では、愛実ちゃんと一緒に作ったキムチ鍋、いただきます!」
『いただきます!』

 感謝も含むあおいちゃんの挨拶により、夕食の時間が始まった。
 お玉を使って、私は自分の取り皿にキムチ鍋の具材を取っていく。白菜、長ネギ、ニラといった野菜、えのきやエリンギといったキノコ、豚バラ肉や肉団子といったお肉まで満遍なく。
 まずはスープを一口。
 キムチのピリ辛さが良く、入れた具材のエキスが出ていてコクがあってとても美味しい。スープが熱々でピリ辛さがあるので、さっそく体が温まり始めてきた。
 よし、具材を食べていこう。まずは……豚バラ肉かな。

「……うんっ、美味しい」

 キムチのスープの味と良く合っていてとても美味しい。脂が程良く乗っているお肉なので柔らかいし。

「美味しいですよね、愛実ちゃん」

 あおいちゃんはそう言うと、自分の取り皿にある肉団子を一口。美味しいのか「う~んっ」と可愛らしい声を漏らしていて。凄く可愛い。

「あぁ、お肉も野菜も美味しい。どれもキムチ味のスープに合ってるし」
「美味しいわよね、理沙さん。キムチ鍋にして正解だったわ」
「そうね」

 理沙ちゃんと美里ちゃんはそう言って、キムチ鍋を美味しそうに食べている。その姿を見てとても嬉しい気持ちになる。あおいちゃんも同じ気持ちのようで、嬉しそうな笑顔になっている。

「理沙ちゃんと美里ちゃんが言うように、本当に美味しい鍋だわ」
「そうだね、母さん。あと、ピリ辛のキムチ鍋だから体がとても温まるね。最近は朝晩中心に涼しい日が増えてきたし、これからは鍋がもっと美味しくなりそうだ」
「ええ。今年も鍋をたくさん作っていきましょう」

 麻美さんと聡さんもキムチ鍋を美味しくいただけて何より。
 うちもこれからの季節は鍋が増えそうだな。私の誕生日が9月17日なのもあり、うちは毎年私が誕生日を迎えると、夕食が鍋やすき焼きになる日が増えていく。

「みなさんに美味しく食べてもらえて嬉しいです!」
「そうだね、あおいちゃん。あおいちゃんと一緒に作ったので嬉しいです」
「愛実、あおい、ありがとう」
「ありがとう、愛実さん、あおいさん」
「あおい、愛実ちゃん、ありがとう」
「2人ともありがとう」

 みんなが私達にそうお礼を言ってくれた。それもあって、嬉しい気持ちがより膨らんだ。
 その後もみんなでキムチ鍋を楽しんでいく。学校でのことなどで話が盛り上がって楽しい時間に。
 ただ、鍋を食べているのもあって、恋人のリョウ君や、友人の鈴木力弥君や道本翔太どうもとしょうた君、担任の佐藤樹理さとうじゅり先生とも一緒に食べたら楽しい時間になりそうだなと思った。
 部活があった理沙ちゃんやバイトがあった美里ちゃんがとてもお腹を空かせていたのもあり、キムチ鍋はもちろん締めのラーメンまで難なく完食しました。ごちそうさまでした。



□後書き□
読んでいただきありがとうございます。
新しい特別編がスタートしました! 既に完成しており、全7話でお送りします。
1日1話ずつ公開していく予定です。よろしくお願いします。
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