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特別編-浅野狂騒曲-
第11話『至福の宴』
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6月15日、水曜日。
ついに、この日がやってきました。羽賀さん達と呑む日が! この日をどれだけ待ちわびてきたことか。
これまで大きな事件は発生していません。今日も同じように平和に時間が流れれば、羽賀さんのお宅に行くことができます! そして、明日から4連休! 羽賀さんは代休を取られているので、どうか今日は平穏に一日が終わることができますように。
午後6時。
今日も特に大きな事件はなく、一日の業務を終えることができました。今日は雨が降っていたのですが、30分くらい前から止んだのです。完璧です。きちんと定時に終わらせて羽賀さんのお宅に行けということですね、これは。
「お先に失礼します、お疲れ様でした」
デスクを後にし、誰にも引き留められることなく、警視庁から出ることができました。外はちょっと涼しく、とても爽やかに思えますね。
仕事が終わったら羽賀さんに電話を掛けることになっているので、スマートフォンで彼に電話を掛けます。
『羽賀です』
「浅野です。今日も無事に終わりました」
『そうですか。お疲れ様でした』
「ありがとうございます。これから羽賀さんのお宅に向かいますが、何か買っていった方がいいものとかはありますか?」
『特にはないですね。ビール、日本酒、カクテル、サワー、ワイン、ウイスキーなど一通り揃っています。浅野さんが呑みたいものや食べたいものがあれば買ってきてください』
「分かりました」
それだけあれば、特に自分で買う必要はありませんね。氷室さんからも旅行のお土産があると聞いていますので。
『浅野さん。氷室はもちろんですが、岡村も今日は休日だそうで、既に彼等が家にいるのですが』
「では、先に呑んでもらってかまいませんよ。電車で向かいますので、だいたい3, 40分くらいかかると思いますから」
それに、酔っていた方がイベントも発生する可能性が高くなりそうですからね。これは更に楽しい呑み会が期待できそうです。
『分かりました。では、お言葉に甘えることにして、少しずつですが飲み始めることにします』
「はい。では、失礼します」
そう言って私の方から通話を切った。それでは、羽賀さんのお宅へと直行しましょう。
警視庁から出発して40分後。
私は無事に羽賀さんのご自宅に到着することができました。
「思ったよりも早かったですね、浅野さん」
私服でも羽賀さんはワイシャツ姿なのですね。今日も美しいです。
「今日という日を楽しみにしていましたから。いやぁ、平和で良かったです」
「そうですか。さあ、中に入ってきてください。氷室と岡村もいますので」
「はいっ! お邪魔しますっ!」
私は羽賀さんのご自宅に入りました。彼の家にお邪魔をするのはこれで2度目ですね。ついに、私の願いが叶う瞬間がやってきます。
リビングに行くと、そこには既に酔っ払っている氷室さんと岡村さんの姿が。氷室さんはほんのりと顔を赤くして、岡村さんはこの前と同じように眠たそうにしています。
「浅野さん、仕事お疲れ様です」
「千尋さん、お疲れっす!」
氷室さんはあまり普段と変わりないですが、岡村さんはお酒を呑んでいるからか相当気分が良さそうです。
「すみませんね、岡村がうるさくて。うっとうしかったら、もう少し酒を盛りますので。すぐに眠ると思います」
「いえ、おかまいなく」
「浅野さんはこちらの1人掛けのソファーに」
「はい」
ソファーに座ると、目の前には羽賀さん、氷室さん、岡村さんという3人の姿が。これです! この光景を見る瞬間をずっと心待ちにしていたんです!
「浅野さん、随分と興奮しているみたいだな、羽賀」
「まあ、楽しみにしていたようだからな」
うわあ、やっぱり警察署以外での羽賀さんと氷室さんの話す姿は最高ですね。三次元も捨てたもんじゃないですね。
嬉しさのあまり、私はソファーから立ち上がって、
「ほ、本日は私のために呑み会を開いていただきありがとうございます!」
私は3人に深々と頭を下げました。あぁ、ありがたやありがたや。
「女性が楽しみにしていることを、いつまでも放っておくわけにはいきませんから」
「……羽賀が言うと不思議と格好付けに思えないな」
「んなわけねえだろ! この格好付けが!」
「私は格好付けをしたつもりは全くない。むしろ、格好付けをするようなときに純粋な気持ちはあるのだろうか」
「そういう台詞が格好付けなんだよ! コノヤロー!」
「まあまあ、2人とも落ち着けよ。美味しいお酒が呑めなくなる」
おおっ、このやり取りは萌えますね。高貴な雰囲気に包まれた羽賀さん、優しさ溢れる氷室さん、口は悪いけれど素直な岡村さん。最高な組み合わせじゃないですか。
「浅野さん、とりあえずビールにしますか?」
「は、はい! ありがとうございます、氷室さん」
そう言うと、氷室さんは缶ビールを開けて、グラスに注いで私の前に出してくれます。羽賀さんという超美形の男性がいますから霞んでしまいますが、こうして見てみると、氷室さんもかなりのイケメンですよね。朝比奈さんが大好きなのも頷けます。
「羽賀も岡村もいつまでも睨み合ってないで、浅野さんが来たんだから乾杯しようぜ。それで睨み合うのは終わりにしような」
なるほど、氷室さんが乱れそうになった3人の輪の調整役ということですか。私はこのままお2人が睨み合っている状況でもいいんですが。
「それじゃ、改めて……乾杯!」
『乾杯!』
氷室さんの音頭で念願の4人での乾杯となりました。
「ぷはあっ! 美味しいですね!」
グラスに入っていたビールを一気飲みしてしまいました。今までに呑んだビールの中で一番美味しいかもしれません。いや、絶対にそうでしょうね。羽賀さん、氷室さん、岡村さんが見える中で呑んでいるんですから。あぁ、お酒の酔いと興奮で、油断したらすぐに鼻血が出そうです。
「あっ、そうだ。みんなに旅行のお土産を渡しておかないと」
「やっと来たか! 俺はずっと待っていたんだからな!」
今の岡村さんの台詞、妄想に使える!
氷室さんは大きめのバッグから紙袋を取り出す。
「浅野さん、温泉まんじゅうです」
「ありがとうございます」
羽賀さんの部下というだけで、そこまで面識はないのにお土産を買ってきてくれるなんて。氷室さんは優しい方です。
「岡村にはウイスキーも。羽賀は旅館のある地域の日本酒だ」
「やったぜ! サンキュー、氷室! 家でじっくりと呑むからな!」
「これは嬉しいな。さっそくだが、一杯呑んでもいいだろうか」
「もちろん」
羽賀さんは確か、日本酒がお好きなんですよね。それを考えてのお土産とは……まったく、この3人は本当に最高だぜ、ある意味で。ますます興奮してきてしまうじゃないですか。鼻に血が来ているのが分かります。
「どれどれ……」
羽賀さんは氷室さんからもらった地酒を開けて、テーブルの上に置いてあったお猪口に注いでいきます。お猪口に注がれた地酒が羽賀さんのお口の中に。
「おおっ、これは美味しいではないか。私が今まで呑んだ中でも、五本指には入るくらいに好みの味だ」
「女将さんに勧められたから買ってきたけど、良かったよ」
「ああ、ありがとう、氷室」
私が見た中で一番の羽賀さんの笑顔を見た瞬間でした。
「ああ、もう最高でぇす!」
興奮が最高潮に達してしまい、私は思いきり両方の鼻から血を出してソファーの上でぐったりとしてしまいます。お口の中に血の匂いが充満してきています。
「だ、大丈夫ですか! 浅野さん!」
「とりあえず、氷室、そこにあるティッシュを取ってくれ! 岡村は……寝てろ! 脚を掴むのではない! やかましいのだ!」
「羽賀、これを……」
羽賀さんと氷室さんの声が段々と聞こえなくなってきました。きっと、今頃、お2人にご迷惑を掛けてしまっているのでしょう。このまま出血多量で死んでしまっても悔いはありません。そのくらいに幸せな時間だったのです。
私は完全に意識がなくなったのでした。
ついに、この日がやってきました。羽賀さん達と呑む日が! この日をどれだけ待ちわびてきたことか。
これまで大きな事件は発生していません。今日も同じように平和に時間が流れれば、羽賀さんのお宅に行くことができます! そして、明日から4連休! 羽賀さんは代休を取られているので、どうか今日は平穏に一日が終わることができますように。
午後6時。
今日も特に大きな事件はなく、一日の業務を終えることができました。今日は雨が降っていたのですが、30分くらい前から止んだのです。完璧です。きちんと定時に終わらせて羽賀さんのお宅に行けということですね、これは。
「お先に失礼します、お疲れ様でした」
デスクを後にし、誰にも引き留められることなく、警視庁から出ることができました。外はちょっと涼しく、とても爽やかに思えますね。
仕事が終わったら羽賀さんに電話を掛けることになっているので、スマートフォンで彼に電話を掛けます。
『羽賀です』
「浅野です。今日も無事に終わりました」
『そうですか。お疲れ様でした』
「ありがとうございます。これから羽賀さんのお宅に向かいますが、何か買っていった方がいいものとかはありますか?」
『特にはないですね。ビール、日本酒、カクテル、サワー、ワイン、ウイスキーなど一通り揃っています。浅野さんが呑みたいものや食べたいものがあれば買ってきてください』
「分かりました」
それだけあれば、特に自分で買う必要はありませんね。氷室さんからも旅行のお土産があると聞いていますので。
『浅野さん。氷室はもちろんですが、岡村も今日は休日だそうで、既に彼等が家にいるのですが』
「では、先に呑んでもらってかまいませんよ。電車で向かいますので、だいたい3, 40分くらいかかると思いますから」
それに、酔っていた方がイベントも発生する可能性が高くなりそうですからね。これは更に楽しい呑み会が期待できそうです。
『分かりました。では、お言葉に甘えることにして、少しずつですが飲み始めることにします』
「はい。では、失礼します」
そう言って私の方から通話を切った。それでは、羽賀さんのお宅へと直行しましょう。
警視庁から出発して40分後。
私は無事に羽賀さんのご自宅に到着することができました。
「思ったよりも早かったですね、浅野さん」
私服でも羽賀さんはワイシャツ姿なのですね。今日も美しいです。
「今日という日を楽しみにしていましたから。いやぁ、平和で良かったです」
「そうですか。さあ、中に入ってきてください。氷室と岡村もいますので」
「はいっ! お邪魔しますっ!」
私は羽賀さんのご自宅に入りました。彼の家にお邪魔をするのはこれで2度目ですね。ついに、私の願いが叶う瞬間がやってきます。
リビングに行くと、そこには既に酔っ払っている氷室さんと岡村さんの姿が。氷室さんはほんのりと顔を赤くして、岡村さんはこの前と同じように眠たそうにしています。
「浅野さん、仕事お疲れ様です」
「千尋さん、お疲れっす!」
氷室さんはあまり普段と変わりないですが、岡村さんはお酒を呑んでいるからか相当気分が良さそうです。
「すみませんね、岡村がうるさくて。うっとうしかったら、もう少し酒を盛りますので。すぐに眠ると思います」
「いえ、おかまいなく」
「浅野さんはこちらの1人掛けのソファーに」
「はい」
ソファーに座ると、目の前には羽賀さん、氷室さん、岡村さんという3人の姿が。これです! この光景を見る瞬間をずっと心待ちにしていたんです!
「浅野さん、随分と興奮しているみたいだな、羽賀」
「まあ、楽しみにしていたようだからな」
うわあ、やっぱり警察署以外での羽賀さんと氷室さんの話す姿は最高ですね。三次元も捨てたもんじゃないですね。
嬉しさのあまり、私はソファーから立ち上がって、
「ほ、本日は私のために呑み会を開いていただきありがとうございます!」
私は3人に深々と頭を下げました。あぁ、ありがたやありがたや。
「女性が楽しみにしていることを、いつまでも放っておくわけにはいきませんから」
「……羽賀が言うと不思議と格好付けに思えないな」
「んなわけねえだろ! この格好付けが!」
「私は格好付けをしたつもりは全くない。むしろ、格好付けをするようなときに純粋な気持ちはあるのだろうか」
「そういう台詞が格好付けなんだよ! コノヤロー!」
「まあまあ、2人とも落ち着けよ。美味しいお酒が呑めなくなる」
おおっ、このやり取りは萌えますね。高貴な雰囲気に包まれた羽賀さん、優しさ溢れる氷室さん、口は悪いけれど素直な岡村さん。最高な組み合わせじゃないですか。
「浅野さん、とりあえずビールにしますか?」
「は、はい! ありがとうございます、氷室さん」
そう言うと、氷室さんは缶ビールを開けて、グラスに注いで私の前に出してくれます。羽賀さんという超美形の男性がいますから霞んでしまいますが、こうして見てみると、氷室さんもかなりのイケメンですよね。朝比奈さんが大好きなのも頷けます。
「羽賀も岡村もいつまでも睨み合ってないで、浅野さんが来たんだから乾杯しようぜ。それで睨み合うのは終わりにしような」
なるほど、氷室さんが乱れそうになった3人の輪の調整役ということですか。私はこのままお2人が睨み合っている状況でもいいんですが。
「それじゃ、改めて……乾杯!」
『乾杯!』
氷室さんの音頭で念願の4人での乾杯となりました。
「ぷはあっ! 美味しいですね!」
グラスに入っていたビールを一気飲みしてしまいました。今までに呑んだビールの中で一番美味しいかもしれません。いや、絶対にそうでしょうね。羽賀さん、氷室さん、岡村さんが見える中で呑んでいるんですから。あぁ、お酒の酔いと興奮で、油断したらすぐに鼻血が出そうです。
「あっ、そうだ。みんなに旅行のお土産を渡しておかないと」
「やっと来たか! 俺はずっと待っていたんだからな!」
今の岡村さんの台詞、妄想に使える!
氷室さんは大きめのバッグから紙袋を取り出す。
「浅野さん、温泉まんじゅうです」
「ありがとうございます」
羽賀さんの部下というだけで、そこまで面識はないのにお土産を買ってきてくれるなんて。氷室さんは優しい方です。
「岡村にはウイスキーも。羽賀は旅館のある地域の日本酒だ」
「やったぜ! サンキュー、氷室! 家でじっくりと呑むからな!」
「これは嬉しいな。さっそくだが、一杯呑んでもいいだろうか」
「もちろん」
羽賀さんは確か、日本酒がお好きなんですよね。それを考えてのお土産とは……まったく、この3人は本当に最高だぜ、ある意味で。ますます興奮してきてしまうじゃないですか。鼻に血が来ているのが分かります。
「どれどれ……」
羽賀さんは氷室さんからもらった地酒を開けて、テーブルの上に置いてあったお猪口に注いでいきます。お猪口に注がれた地酒が羽賀さんのお口の中に。
「おおっ、これは美味しいではないか。私が今まで呑んだ中でも、五本指には入るくらいに好みの味だ」
「女将さんに勧められたから買ってきたけど、良かったよ」
「ああ、ありがとう、氷室」
私が見た中で一番の羽賀さんの笑顔を見た瞬間でした。
「ああ、もう最高でぇす!」
興奮が最高潮に達してしまい、私は思いきり両方の鼻から血を出してソファーの上でぐったりとしてしまいます。お口の中に血の匂いが充満してきています。
「だ、大丈夫ですか! 浅野さん!」
「とりあえず、氷室、そこにあるティッシュを取ってくれ! 岡村は……寝てろ! 脚を掴むのではない! やかましいのだ!」
「羽賀、これを……」
羽賀さんと氷室さんの声が段々と聞こえなくなってきました。きっと、今頃、お2人にご迷惑を掛けてしまっているのでしょう。このまま出血多量で死んでしまっても悔いはありません。そのくらいに幸せな時間だったのです。
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