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本編
第34話『生意気小娘タイフーン再来』
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――ふ~ん。この子達が高校のお友達なんだね。胡桃。
将野さんはこの前ムーンバックスに来たときと同じ女子達を従え、俺達を待ち構えていた。何を企んでいるんだ? それは分からないけど、面倒な事態になりそうなことだけは分かる。
「美玲ちゃん……」
「胡桃があたしの誘いを断るからさ。高校でできた友達がどんな奴なのか確かめたくて。でも、それがまさかね……」
あははっ! と将野さんは俺達を見て高らかに笑う。きっと、華頂さんと一緒にいる人達の中に俺と高嶺さん、中野先輩がいるからだろう。
ここが正門前であり、高嶺さんや華頂さんという人気の生徒がいるからか、多くの生徒が立ち止まってこちらを見ている。
「美玲……もしかして、結衣が言っていたゲス女とは彼女のことなのですか?」
「そうだよ」
「……とても納得したのです」
「そして、小娘でもあるんだよ、伊集院ちゃん。……そこの小娘。悠真や華頂ちゃんに何かしたら、あたし達が許さないんだから!」
高嶺さんと中野先輩は怒った様子で将野さん達のことを見る。伊集院さんも真剣な表情になっている。華頂さんや俺を守ってくれる人が3人もいるのは心強い。
ただ、そんな3人を前にしても、将野さんは笑みを絶やさない。
「体が発達していないと怒りっぽくなるのかな、お嬢ちゃん」
「何ですって……!」
「全然恐くな~い。一瞬だけ美少女だった黒髪の子も、あたしのことをゲス呼ばわりだなんて。そういう人こそゲスなんです~。ピンク髪の縦ロールは……姿が痛すぎて眼中にない。こういう子と仲良くなる日は一生来ないな」
「……気が合うのですね。あたしも、あなたと仲良くなる日は永遠に来ないと思っているのです。あと、彼女にはあらゆる手段を使って教育させる方がいいと思うのですよ」
笑顔でそう言う伊集院さんがとても恐い。もしかしたら、4人の中で怒らせたら一番恐ろしいのは伊集院さんかもしれない。
「ピンクの子こわ~い。こんな子達とお友達になるなんて。胡桃って可哀想な高校生活を送っているんだねぇ。金井高校に進学したのは失敗だったんじゃない? あと、一緒に低田がいることに驚いてるんだけど。どういうこと?」
そう言って、将野さんは俺に指さしてくる。
「2年前にあんなことをしたのに。よく低田と一緒にいられるよね。……あっ、3人が知らないかもしれないからあたしが教えてあげる。ついでに、周りにいる金井高校の生徒さん達にも。そこにいる華頂胡桃っていう女子は、2年前にこの低田って男子に嘘の告白をして傷つけたんだよ!」
将野さんはとても大きな声で言う。そのことで、周りがざわざわし始める。華頂さんがしたことを金井高校の多くの生徒に教えるなんて。本当にイライラしてくる。気付けば、右手が拳になって震えていた。
「その話は悠真君から聞いているから、もう知ってるよ。胡桃ちゃんが悠真君に嘘の告白を言うように命令したのは、将野美玲さん。あなたが命令したからでしょう? 胡桃ちゃんはあなたに逆らえなくて、仕方なく嘘の告白をしたんだよ」
将野さんと同じくらいの声の大きさで、高嶺さんがすぐに反論する。そのためか、それまでのざわつきが収まり始める。さすがは高嶺の花の高嶺さんだ。
「そして、華頂さんは嘘の告白をして、俺を傷つけたことに罪悪感を覚えていた。2年経った今、華頂さんは俺に謝ってくれた。俺はそんな華頂さんを許して、友達になったんだ。だから、俺もここにいるんだよ」
俺がそう言ったからか、将野さんは今回初めて不機嫌そうな様子を見せる。俺だけには反論されたくないと思っているのだろうか。
「ふうん……」
そう呟くと、将野さんはすぐに嫌らしい笑みを見せる。
「あのことがあってから、中学の間は低田と全然関わらなかったのにね。……もしかして、胡桃って低田のことが好きなの?」
将野さんのそんな問いかけに対して、華頂さんの顔が見る見るうちに赤くなっていく。チラッと俺を見る仕草が可愛らしくて。まさか――。
「……好きだよ」
小さい声で言うと、華頂さんは将野さんの方を向いて、
「美玲ちゃんなんかよりもゆう君の方がよっぽど好きだよ! 結衣ちゃんも! 姫奈ちゃんも! 中野先輩も! それに比べて美玲ちゃんのことは大嫌い! 少なくとも、ゆう君に嘘の告白をさせたあのときからは。その気持ちは今もずっと変わらない。自信を持ってそう言えるくらい、美玲ちゃんのことは大嫌い!」
これまでの華頂さんからは信じられないほどの怒った表情で、華頂さんは将野さんに向けて言い放った。ただ、華頂さんが好きだと言ったときはさすがにドキッとしたな。
さすがに将野さんもカチンときたのか、さっき俺に見せた不機嫌な顔が可愛いと思えるくらいの怒った表情を見せる。
「へえ、胡桃も高校生になったら言うようになったじゃない。あたしと別の高校に行ったからかな。ていうか、低田に嘘の告白を言った後も、一緒にいるときは笑顔を見せてくれてたじゃない。あれも嘘だったんだ」
「……そう。嘘を付くのは得意なの」
華頂さんは切なげな笑みを浮かべ、一度、俺の方をチラッと見た。
「全ては自分の身を守るためだよ。ほんと、美玲ちゃんと別々の高校に進学できて良かったよ」
「……今まで騙していたのね」
「……ゆう君の気持ちが少しは分かった?」
将野さんに俺の気持ちが分かるとは思えないけど。
それにしても、華頂さん……将野さん相手に堂々としているな。嫌いだと本音を言えたからだろうか。それとも、高嶺さん達が一緒だからだろうか。
「昨日、杏さんが言ってた。胡桃ちゃんが将野さん達との遊びから帰ってきたときは疲れてばかりだと」
「言っていたのですね。大嫌いな人と一緒にいるだけでも疲れるのに、身を守るために笑顔を見せなければならないと更に疲れてしまうのでしょう」
「あたしは2年前のことを詳しく知らないけど、この前のムーンバックスや今の態度を見ていたら、華頂ちゃんがこの小娘を嫌うのも無理ないね」
3人のフォローもあってか、周りにいる金井高校の生徒達の大半が、将野さん達に鋭い視線を向けている。そんな状況でも将野さんは怒ったままだけど、取り巻きの女子達は気まずそうな様子を見せ始めていた。
「もう、二度と美玲ちゃんとは関わらない。美玲ちゃん達とも絶対に遊ばない」
「……あたしだって、二度と胡桃なんかには関わらない。縁切りだよ。何にも反論せずに、可愛い笑顔を見せるのが胡桃の取り柄だったのに。あとは、胡桃もいれば、その特大サイズの胸に釣られて、良さげな男子が近づいてくることか。でも、あなたの本性を知ったら、低田と一緒なのも頷けるわ。オタクで、いつもボッチで、変人でキモいひく――」
「いい加減にして!」
――バシン!
華頂さんは叫ぶようにして言うと、将野さんの左頬を思い切り叩いた。そのことで鈍い音が響き渡る。その音が、周りのざわめきを掻き消していく。
将野さんは叩かれた頬に手を当てて、華頂さんを睨み付ける。
「何するのよ!」
「あたしならともかく、ゆう君を馬鹿にするのは許さない。2年前のことをゆう君に謝って。謝りなさい!」
「……なんで?」
華頂さんの言葉に、将野さんは薄ら笑いを浮かべる。
「あたしは嘘の告白をしろって命令したけど、実際に告白したのは胡桃じゃない。胡桃が謝って、低田に許してもらったならそれで終わりでしょ? そもそも、胡桃が嘘の告白をしなければ何も起こらなかったんだよ? だから、胡桃が全て悪いの」
「……確かに嘘の告白をしたよ。でも、あんなことはしたくなかった!」
「重要なのは嘘の告白をしたいかどうかじゃない! 嘘の告白をしたかどうかなの! 嘘の告白をしたのは胡桃! あんたなんだよ! だから、胡桃が全部悪いんだってば! 普通そう考えるでしょ?」
目を鋭くさせたまま口角を上げる将野さん。そういえば、中学時代、将野さんは『普通』って言葉を使って、俺を馬鹿にしたことが何度かあったな。思わず舌打ちをした。
「俺は華頂さんが全部悪いとは思わない。それにしても『普通』って便利な言葉だな。どんな考えも、一瞬でもまともそうに思わせることができるんだから。そもそも、普通なんて、多くの人が正しいと思い込んでいるだけの偏見かもしれないのに」
ただ、嘘の告白をしたのは華頂さんであり、将野さんではないのは事実だ。それを盾にして、俺に謝りたくないんだろう。きっと、将野さんにとって俺に謝罪するのは恥でしかないだろうから。
「胡桃ちゃんは嘘の告白を言った。だから、胡桃ちゃんにも非がある。ただ、その嘘の告白をしろって胡桃ちゃんに命令したのを認めたじゃない。それに、嘘だとばらして悠真君を嘲笑って。だから、将野さんも悠真君に謝るべきだと思う。第三者の私でもそう考えるよ」
冷静な様子でそう言う高嶺さん。そんな高嶺さんの言葉に、伊集院さんや中野先輩が何度も頷いている。
将野さんは「はあーっ」と長くため息をつき、
「……このままだと、これからもあなた達がうるさいから謝ってあげる」
と言って、ゆっくり俺の目の前までやってくる。将野さんの着ている制服は替わったけど、こうして目の前に立たれると、クラスメイトだったときのことを思い出すな。
「低田。あのときは胡桃に嘘の告白をして低田を傷つけるよう企てたり、ネタばらししたときにたくさん笑ったりしてごめんねー」
将野さんは軽いトーンで謝罪の言葉を述べた。
これが形式的なもので、華頂さんのように心がこもっていないのは丸わかりだ。絶対に反省していないだろう。そんな将野さんの謝罪への返事はこれが一番だろう。
――バシンッ!
さっきの華頂さんのように、俺は将野さんの左頬をできる限り力を込めて叩いた。
その衝撃が強かったのか、将野さんはその場で尻餅をつく。俺に叩かれたことに驚いたのか目を見開いて俺のことを見ている。
「許すわけないだろう。将野さんが全く反省していないのは一目瞭然なんだよ」
俺がそう言うと、ようやく驚いた気持ちがなくなってきたのか、将野さんは怒った表情を浮かべ、鋭い視線を送ってくる。
「男子が女子に向かって叩くなんて最低よ、低田!」
「さ、最低だよ!」
将野さんに同調の声を上げる人はいるけど、それは将野さんの取り巻き達くらいだ。
「性別問わず、手を挙げるのはよくないだろう。でも、嘘の告白はもちろんのこと、同じクラスだった中学2年の間はいつも俺に嫌味なことを言ってきて。この間も、ムーンバックスで店員やお客様の前で好き勝手なことを言った。そんな俺から頬を一度叩かれたぐらいで文句なんて言えないんじゃないか? あと、このくらいしないと、俺の気持ちが少しも晴れないんだよ」
「低田のくせに……」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる将野さん。
「……今まで散々馬鹿にしてきた俺に頬を叩かれ、尻餅をついた姿を多くの人に見られる気分はどうだ? 悔しいだろう? 惨めだろう? それに似た気持ちを、君が嘘の告白だってばらしたときに俺は体験したんだ。あと、華頂さんに謝ってもらおうか。嘘の告白をやるように命令したんだから。華頂さんはそのせいで苦しんだんだ!」
「ふざけるな! 友達じゃなくなった胡桃にも謝らない!」
将野さんは涙目になってそう言ってくる。胡桃にも、ってことはさっきの謝罪はやっぱり嘘だったんだな。こんな人間にかける言葉がなかなか見つからない。
「そうか。思った通りだ。……華頂さんと俺はもちろん、高嶺さん達にも関わるな。傷つけるな。もし、何かしたらこの程度じゃ済まさないぞ。お友達にも伝えておけ」
華頂さんの友人がどんな人か確かめるために、ここまでやってきて待ち構えるほどの行動力がある奴だ。今回のことで、何か報復をしてくる可能性も否めない。だから、ここで釘を刺しておかないと。
「そこまで」
聞き覚えのある声が背後から聞こえたので振り返ると、そこには福王寺先生の姿が。さすがに、この場ではとても真剣な様子になっている。
「教室から外の様子を見たら、校門に生徒達が集まっていたのが見えたから。その中心に金髪のあなたや、ピンク髪の伊集院さんが見えたからここに来たの」
確かに、うちの教室からここら辺の様子が見えるけれど。やっぱり、俺や伊集院さんの髪の色って目立つのかな。
「近くで一部始終を見させてもらったわ。低田君や華頂さんの気持ちは理解できる。でも、どんな事情があるとはいえ、手を出すのはいけないわ。反省しなさい。そして、これからは気を付けるように」
「……分かりました、福王寺先生」
「俺も以後、気を付けます」
「……よろしい」
華頂さんと俺に向かって一度頷くと、福王寺先生は将野さん達の目の前まで向かう。
「私、この金井高校に勤めている教師で、低田悠真君の担任です。その制服……都立四鷹東高校のものね。今すぐに帰りなさい。うちに通う多くの生徒にはもちろんのこと、近隣住民の方々にも迷惑です。そして、低田君や華頂さん達に今後も迷惑をかけたり、傷つけたりするようであれば、金井高校から四鷹東高校へ抗議の連絡をします。場合によっては警察にも通報しますので覚悟しておきなさい」
さすがに、大人である福王寺先生が相手だからか、将野さん達は全く怒った様子を見せない。むしろ、とても鋭い目つきになる福王寺先生を前にしているからか、顔色が悪くなっている。
「……わ、分かりました。もう帰ります。もう、彼女達とは一切関わりません」
「さっき、俺が言ったことも忘れるんじゃないぞ」
「分かってるわよ!」
将野さんは取り巻きの女子達を連れて走り去っていった。これで、本当に二度と将野さんと関わらなくなると祈ろう。
「立ち去ったわね。……さあ、みんな。いつまでもここで立ち止まっていないで下校しなさい。気を付けて帰るのよ」
『はーい』
福王寺先生の一言で、周りの生徒は各々の帰路に就く。俺や華頂さんのことを理解してくれたのか、こちらに鋭い視線を向けたり、侮蔑した様子で見たりする生徒はいなかった。
「さすがは杏樹先生! とてもかっこよかったです!」
「杏樹先生が担任で本当に良かったのです」
「さすがはクールビューティーって言われるだけありますね」
「……ほ、褒めてくれるのは嬉しいけど、私は教師として当然のことをしたまでよ」
福王寺先生は笑顔を見せないけど、高嶺さん、伊集院さん、中野先輩に褒められたことをとても嬉しく思っているんじゃないだろうか。さっきの先生は今までの中で一番、教師としての風格があったと思う。
華頂さんの方を見ると、華頂さんと目が合って。すると、華頂さんは爽やかな笑顔になる。
「ゆう君。ありがとう。心強かったし、かっこよかったよ。あと、あたしへ謝れって言ってくれて嬉しかった。美玲ちゃんは謝らなかったけど」
「いい機会だから、将野さんに本音をぶつけたかったんだ。あと、頬を叩いて正直スッキリしてる」
「……あたしも」
華頂さんは俺にだけ聞こえるような声でそう言った。
「俺も華頂さんがいて心強かった。ありがとう」
「うん! あと、改めてこれからもよろしくね」
可愛らしい笑みを浮かべると、華頂さんは俺に右手を差し出してきた。なので、俺は華頂さんと握手を交わす。華頂さんの手から伝わる優しい温もりが、未だに残る将野さんの頬を叩いたときの痛みを和らげてくれた。
将野さんはこの前ムーンバックスに来たときと同じ女子達を従え、俺達を待ち構えていた。何を企んでいるんだ? それは分からないけど、面倒な事態になりそうなことだけは分かる。
「美玲ちゃん……」
「胡桃があたしの誘いを断るからさ。高校でできた友達がどんな奴なのか確かめたくて。でも、それがまさかね……」
あははっ! と将野さんは俺達を見て高らかに笑う。きっと、華頂さんと一緒にいる人達の中に俺と高嶺さん、中野先輩がいるからだろう。
ここが正門前であり、高嶺さんや華頂さんという人気の生徒がいるからか、多くの生徒が立ち止まってこちらを見ている。
「美玲……もしかして、結衣が言っていたゲス女とは彼女のことなのですか?」
「そうだよ」
「……とても納得したのです」
「そして、小娘でもあるんだよ、伊集院ちゃん。……そこの小娘。悠真や華頂ちゃんに何かしたら、あたし達が許さないんだから!」
高嶺さんと中野先輩は怒った様子で将野さん達のことを見る。伊集院さんも真剣な表情になっている。華頂さんや俺を守ってくれる人が3人もいるのは心強い。
ただ、そんな3人を前にしても、将野さんは笑みを絶やさない。
「体が発達していないと怒りっぽくなるのかな、お嬢ちゃん」
「何ですって……!」
「全然恐くな~い。一瞬だけ美少女だった黒髪の子も、あたしのことをゲス呼ばわりだなんて。そういう人こそゲスなんです~。ピンク髪の縦ロールは……姿が痛すぎて眼中にない。こういう子と仲良くなる日は一生来ないな」
「……気が合うのですね。あたしも、あなたと仲良くなる日は永遠に来ないと思っているのです。あと、彼女にはあらゆる手段を使って教育させる方がいいと思うのですよ」
笑顔でそう言う伊集院さんがとても恐い。もしかしたら、4人の中で怒らせたら一番恐ろしいのは伊集院さんかもしれない。
「ピンクの子こわ~い。こんな子達とお友達になるなんて。胡桃って可哀想な高校生活を送っているんだねぇ。金井高校に進学したのは失敗だったんじゃない? あと、一緒に低田がいることに驚いてるんだけど。どういうこと?」
そう言って、将野さんは俺に指さしてくる。
「2年前にあんなことをしたのに。よく低田と一緒にいられるよね。……あっ、3人が知らないかもしれないからあたしが教えてあげる。ついでに、周りにいる金井高校の生徒さん達にも。そこにいる華頂胡桃っていう女子は、2年前にこの低田って男子に嘘の告白をして傷つけたんだよ!」
将野さんはとても大きな声で言う。そのことで、周りがざわざわし始める。華頂さんがしたことを金井高校の多くの生徒に教えるなんて。本当にイライラしてくる。気付けば、右手が拳になって震えていた。
「その話は悠真君から聞いているから、もう知ってるよ。胡桃ちゃんが悠真君に嘘の告白を言うように命令したのは、将野美玲さん。あなたが命令したからでしょう? 胡桃ちゃんはあなたに逆らえなくて、仕方なく嘘の告白をしたんだよ」
将野さんと同じくらいの声の大きさで、高嶺さんがすぐに反論する。そのためか、それまでのざわつきが収まり始める。さすがは高嶺の花の高嶺さんだ。
「そして、華頂さんは嘘の告白をして、俺を傷つけたことに罪悪感を覚えていた。2年経った今、華頂さんは俺に謝ってくれた。俺はそんな華頂さんを許して、友達になったんだ。だから、俺もここにいるんだよ」
俺がそう言ったからか、将野さんは今回初めて不機嫌そうな様子を見せる。俺だけには反論されたくないと思っているのだろうか。
「ふうん……」
そう呟くと、将野さんはすぐに嫌らしい笑みを見せる。
「あのことがあってから、中学の間は低田と全然関わらなかったのにね。……もしかして、胡桃って低田のことが好きなの?」
将野さんのそんな問いかけに対して、華頂さんの顔が見る見るうちに赤くなっていく。チラッと俺を見る仕草が可愛らしくて。まさか――。
「……好きだよ」
小さい声で言うと、華頂さんは将野さんの方を向いて、
「美玲ちゃんなんかよりもゆう君の方がよっぽど好きだよ! 結衣ちゃんも! 姫奈ちゃんも! 中野先輩も! それに比べて美玲ちゃんのことは大嫌い! 少なくとも、ゆう君に嘘の告白をさせたあのときからは。その気持ちは今もずっと変わらない。自信を持ってそう言えるくらい、美玲ちゃんのことは大嫌い!」
これまでの華頂さんからは信じられないほどの怒った表情で、華頂さんは将野さんに向けて言い放った。ただ、華頂さんが好きだと言ったときはさすがにドキッとしたな。
さすがに将野さんもカチンときたのか、さっき俺に見せた不機嫌な顔が可愛いと思えるくらいの怒った表情を見せる。
「へえ、胡桃も高校生になったら言うようになったじゃない。あたしと別の高校に行ったからかな。ていうか、低田に嘘の告白を言った後も、一緒にいるときは笑顔を見せてくれてたじゃない。あれも嘘だったんだ」
「……そう。嘘を付くのは得意なの」
華頂さんは切なげな笑みを浮かべ、一度、俺の方をチラッと見た。
「全ては自分の身を守るためだよ。ほんと、美玲ちゃんと別々の高校に進学できて良かったよ」
「……今まで騙していたのね」
「……ゆう君の気持ちが少しは分かった?」
将野さんに俺の気持ちが分かるとは思えないけど。
それにしても、華頂さん……将野さん相手に堂々としているな。嫌いだと本音を言えたからだろうか。それとも、高嶺さん達が一緒だからだろうか。
「昨日、杏さんが言ってた。胡桃ちゃんが将野さん達との遊びから帰ってきたときは疲れてばかりだと」
「言っていたのですね。大嫌いな人と一緒にいるだけでも疲れるのに、身を守るために笑顔を見せなければならないと更に疲れてしまうのでしょう」
「あたしは2年前のことを詳しく知らないけど、この前のムーンバックスや今の態度を見ていたら、華頂ちゃんがこの小娘を嫌うのも無理ないね」
3人のフォローもあってか、周りにいる金井高校の生徒達の大半が、将野さん達に鋭い視線を向けている。そんな状況でも将野さんは怒ったままだけど、取り巻きの女子達は気まずそうな様子を見せ始めていた。
「もう、二度と美玲ちゃんとは関わらない。美玲ちゃん達とも絶対に遊ばない」
「……あたしだって、二度と胡桃なんかには関わらない。縁切りだよ。何にも反論せずに、可愛い笑顔を見せるのが胡桃の取り柄だったのに。あとは、胡桃もいれば、その特大サイズの胸に釣られて、良さげな男子が近づいてくることか。でも、あなたの本性を知ったら、低田と一緒なのも頷けるわ。オタクで、いつもボッチで、変人でキモいひく――」
「いい加減にして!」
――バシン!
華頂さんは叫ぶようにして言うと、将野さんの左頬を思い切り叩いた。そのことで鈍い音が響き渡る。その音が、周りのざわめきを掻き消していく。
将野さんは叩かれた頬に手を当てて、華頂さんを睨み付ける。
「何するのよ!」
「あたしならともかく、ゆう君を馬鹿にするのは許さない。2年前のことをゆう君に謝って。謝りなさい!」
「……なんで?」
華頂さんの言葉に、将野さんは薄ら笑いを浮かべる。
「あたしは嘘の告白をしろって命令したけど、実際に告白したのは胡桃じゃない。胡桃が謝って、低田に許してもらったならそれで終わりでしょ? そもそも、胡桃が嘘の告白をしなければ何も起こらなかったんだよ? だから、胡桃が全て悪いの」
「……確かに嘘の告白をしたよ。でも、あんなことはしたくなかった!」
「重要なのは嘘の告白をしたいかどうかじゃない! 嘘の告白をしたかどうかなの! 嘘の告白をしたのは胡桃! あんたなんだよ! だから、胡桃が全部悪いんだってば! 普通そう考えるでしょ?」
目を鋭くさせたまま口角を上げる将野さん。そういえば、中学時代、将野さんは『普通』って言葉を使って、俺を馬鹿にしたことが何度かあったな。思わず舌打ちをした。
「俺は華頂さんが全部悪いとは思わない。それにしても『普通』って便利な言葉だな。どんな考えも、一瞬でもまともそうに思わせることができるんだから。そもそも、普通なんて、多くの人が正しいと思い込んでいるだけの偏見かもしれないのに」
ただ、嘘の告白をしたのは華頂さんであり、将野さんではないのは事実だ。それを盾にして、俺に謝りたくないんだろう。きっと、将野さんにとって俺に謝罪するのは恥でしかないだろうから。
「胡桃ちゃんは嘘の告白を言った。だから、胡桃ちゃんにも非がある。ただ、その嘘の告白をしろって胡桃ちゃんに命令したのを認めたじゃない。それに、嘘だとばらして悠真君を嘲笑って。だから、将野さんも悠真君に謝るべきだと思う。第三者の私でもそう考えるよ」
冷静な様子でそう言う高嶺さん。そんな高嶺さんの言葉に、伊集院さんや中野先輩が何度も頷いている。
将野さんは「はあーっ」と長くため息をつき、
「……このままだと、これからもあなた達がうるさいから謝ってあげる」
と言って、ゆっくり俺の目の前までやってくる。将野さんの着ている制服は替わったけど、こうして目の前に立たれると、クラスメイトだったときのことを思い出すな。
「低田。あのときは胡桃に嘘の告白をして低田を傷つけるよう企てたり、ネタばらししたときにたくさん笑ったりしてごめんねー」
将野さんは軽いトーンで謝罪の言葉を述べた。
これが形式的なもので、華頂さんのように心がこもっていないのは丸わかりだ。絶対に反省していないだろう。そんな将野さんの謝罪への返事はこれが一番だろう。
――バシンッ!
さっきの華頂さんのように、俺は将野さんの左頬をできる限り力を込めて叩いた。
その衝撃が強かったのか、将野さんはその場で尻餅をつく。俺に叩かれたことに驚いたのか目を見開いて俺のことを見ている。
「許すわけないだろう。将野さんが全く反省していないのは一目瞭然なんだよ」
俺がそう言うと、ようやく驚いた気持ちがなくなってきたのか、将野さんは怒った表情を浮かべ、鋭い視線を送ってくる。
「男子が女子に向かって叩くなんて最低よ、低田!」
「さ、最低だよ!」
将野さんに同調の声を上げる人はいるけど、それは将野さんの取り巻き達くらいだ。
「性別問わず、手を挙げるのはよくないだろう。でも、嘘の告白はもちろんのこと、同じクラスだった中学2年の間はいつも俺に嫌味なことを言ってきて。この間も、ムーンバックスで店員やお客様の前で好き勝手なことを言った。そんな俺から頬を一度叩かれたぐらいで文句なんて言えないんじゃないか? あと、このくらいしないと、俺の気持ちが少しも晴れないんだよ」
「低田のくせに……」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる将野さん。
「……今まで散々馬鹿にしてきた俺に頬を叩かれ、尻餅をついた姿を多くの人に見られる気分はどうだ? 悔しいだろう? 惨めだろう? それに似た気持ちを、君が嘘の告白だってばらしたときに俺は体験したんだ。あと、華頂さんに謝ってもらおうか。嘘の告白をやるように命令したんだから。華頂さんはそのせいで苦しんだんだ!」
「ふざけるな! 友達じゃなくなった胡桃にも謝らない!」
将野さんは涙目になってそう言ってくる。胡桃にも、ってことはさっきの謝罪はやっぱり嘘だったんだな。こんな人間にかける言葉がなかなか見つからない。
「そうか。思った通りだ。……華頂さんと俺はもちろん、高嶺さん達にも関わるな。傷つけるな。もし、何かしたらこの程度じゃ済まさないぞ。お友達にも伝えておけ」
華頂さんの友人がどんな人か確かめるために、ここまでやってきて待ち構えるほどの行動力がある奴だ。今回のことで、何か報復をしてくる可能性も否めない。だから、ここで釘を刺しておかないと。
「そこまで」
聞き覚えのある声が背後から聞こえたので振り返ると、そこには福王寺先生の姿が。さすがに、この場ではとても真剣な様子になっている。
「教室から外の様子を見たら、校門に生徒達が集まっていたのが見えたから。その中心に金髪のあなたや、ピンク髪の伊集院さんが見えたからここに来たの」
確かに、うちの教室からここら辺の様子が見えるけれど。やっぱり、俺や伊集院さんの髪の色って目立つのかな。
「近くで一部始終を見させてもらったわ。低田君や華頂さんの気持ちは理解できる。でも、どんな事情があるとはいえ、手を出すのはいけないわ。反省しなさい。そして、これからは気を付けるように」
「……分かりました、福王寺先生」
「俺も以後、気を付けます」
「……よろしい」
華頂さんと俺に向かって一度頷くと、福王寺先生は将野さん達の目の前まで向かう。
「私、この金井高校に勤めている教師で、低田悠真君の担任です。その制服……都立四鷹東高校のものね。今すぐに帰りなさい。うちに通う多くの生徒にはもちろんのこと、近隣住民の方々にも迷惑です。そして、低田君や華頂さん達に今後も迷惑をかけたり、傷つけたりするようであれば、金井高校から四鷹東高校へ抗議の連絡をします。場合によっては警察にも通報しますので覚悟しておきなさい」
さすがに、大人である福王寺先生が相手だからか、将野さん達は全く怒った様子を見せない。むしろ、とても鋭い目つきになる福王寺先生を前にしているからか、顔色が悪くなっている。
「……わ、分かりました。もう帰ります。もう、彼女達とは一切関わりません」
「さっき、俺が言ったことも忘れるんじゃないぞ」
「分かってるわよ!」
将野さんは取り巻きの女子達を連れて走り去っていった。これで、本当に二度と将野さんと関わらなくなると祈ろう。
「立ち去ったわね。……さあ、みんな。いつまでもここで立ち止まっていないで下校しなさい。気を付けて帰るのよ」
『はーい』
福王寺先生の一言で、周りの生徒は各々の帰路に就く。俺や華頂さんのことを理解してくれたのか、こちらに鋭い視線を向けたり、侮蔑した様子で見たりする生徒はいなかった。
「さすがは杏樹先生! とてもかっこよかったです!」
「杏樹先生が担任で本当に良かったのです」
「さすがはクールビューティーって言われるだけありますね」
「……ほ、褒めてくれるのは嬉しいけど、私は教師として当然のことをしたまでよ」
福王寺先生は笑顔を見せないけど、高嶺さん、伊集院さん、中野先輩に褒められたことをとても嬉しく思っているんじゃないだろうか。さっきの先生は今までの中で一番、教師としての風格があったと思う。
華頂さんの方を見ると、華頂さんと目が合って。すると、華頂さんは爽やかな笑顔になる。
「ゆう君。ありがとう。心強かったし、かっこよかったよ。あと、あたしへ謝れって言ってくれて嬉しかった。美玲ちゃんは謝らなかったけど」
「いい機会だから、将野さんに本音をぶつけたかったんだ。あと、頬を叩いて正直スッキリしてる」
「……あたしも」
華頂さんは俺にだけ聞こえるような声でそう言った。
「俺も華頂さんがいて心強かった。ありがとう」
「うん! あと、改めてこれからもよろしくね」
可愛らしい笑みを浮かべると、華頂さんは俺に右手を差し出してきた。なので、俺は華頂さんと握手を交わす。華頂さんの手から伝わる優しい温もりが、未だに残る将野さんの頬を叩いたときの痛みを和らげてくれた。
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天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
友達の妹が、入浴してる。
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いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
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