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本編
第47話『週末の予定』
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芹花姉さんによって、俺達5人は窓際のテーブル席に案内される。
席順は窓側から高嶺さん、俺、華頂さん。テーブルを挟んで伊集院さん、中野先輩という並びに。高嶺さんと隣同士になるとは思っていたけど、結衣と華頂さんに挟まれる形になるとは思わなかった。キツくないし、これでもいいか。
「は~い、お水ですよ~。注文が決まりましたら、そちらのボタンを押してください。失礼いたします」
ニッコリとしながらそう言うと、母さんは俺達にお辞儀をし、カウンターの方へ歩いて行った。そんな母さんの後ろ姿を、伊集院さんと中野先輩はうっとりとした様子で見ている。これも聖母の力だろうか。
両隣に座っている高嶺さんと華頂さんと一緒にメニュー表を見ていく。
ここには久しぶりに来たけど、提供しているメニューの幅広さに感激する。食べてみたいメニューが多いから迷ってしまう。
華頂さんがメニュー表をめくると、ランチメニューが書かれたページに。通常のメニューよりも安いから、ここから選ぼうかな。
「悠真君と胡桃ちゃんは何にするか決めた? 私はこのカレー風のハンバーグドリアにしようかなって思っているんだけど」
「ドリアも美味しいよね。あたしはミートスパゲティを頼むよ」
「俺は……この後バイトがあるし、ご飯と味噌汁がある定食の中から選ぼうかな」
パンや麺類も好きだけど、ご飯と味噌汁を食べた後が一番調子いいから。
数分ほどして、みんなメニューが決まったので、高嶺さんが呼び出しのボタンを押す。すると、芹花姉さんがテーブルにやってきた。
「ご注文をお伺いしますっ!」
とびきりの笑顔で、芹花姉さんは元気に接客する。これなら、黄金色の天使と言われるのも納得だ。お客さんに絡まれたり、厭らしいことをされたりしないか心配だけど。
俺達はそれぞれ食べたいメニューを言っていき、姉さんと元々注文していた中野先輩の勧めでみんなドリンクバーセットにした。ちなみに、俺は豚の生姜焼き定食を頼んだ。
注文が終わったので、俺達はドリンクバーのコーナーへ向かう。ソフトドリンクはもちろんのこと、紅茶やコーヒーの種類も多い。普段はあまり飲まないジンジャーエールをグラスに注ぐ。
そういえば、小さい頃、芹花姉さんが俺のためにオリジナルドリンクを作ってくれたっけ。そういったときは大抵、家に帰ると気持ち悪くなって吐いたり、お腹を下したりと辛い思いをするけど。そんなことを思い出したら、別のテーブルで注文を取っている姉さんが黄金色の堕天使に見えてきた。
思い出を振り返ったりしていたから、俺が最後にテーブルに戻る。
「みんな、ドリンクを持ってきたね。4人にとっては初めての試験だったね。中間試験お疲れ様! かんぱーい!」
『かんぱーい!』
中野先輩のそんな号令の後、みんなとドリンクバー用のコップを軽く当てて、俺はジンジャーエールを一口飲む。美味しいな。
「毎度のこと、試験が終わった直後の時間っていいなぁ。今回みたいに、試験は金曜で終わるから凄く幸せに感じるよ」
「分かります! お昼前に終わりましたし、3連休のようにも感じますね」
「いいこと言うね、高嶺ちゃん。まさか、2年生最初の定期試験明けに後輩達と打ち上げできるなんて。あたしは幸せ者だ。それも一緒にバイトをすることになった悠真のおかげだよ。ありがとう」
そう言って、中野先輩は感慨深い様子でミルクティーを飲んでいる。その姿はいつになく大人っぽく感じられた。あと、お礼を言われると照れくさいな。
「実は今朝にクラスメイトの友達から打ち上げに誘われたんだけどね。悠真達の方が先に約束したからこっちに来たんだ。それに、クラスの子達とは明日遊ぶことになっているからね」
「そうなのですね。あたしはこの週末、家族で山梨の方へ温泉旅行に行く予定なのです。もちろん、みなさんにお土産を買ってくるのですよ」
「楽しみにしてるよ、伊集院ちゃん。温泉饅頭とか美味しいよね~」
中野先輩は伊集院さんの頭を優しく撫でている。先輩、温泉饅頭を買ってきてほしいのかな。俺と同じようなことを思ったのか、伊集院さんはクスッと笑って「はい」と言った。
「温泉いいね。今の時期でも、夜になると肌寒くなる日もあるし。いつか、悠真君と混浴したいな」
高嶺さんはゆっくりと俺に手を重ね、うっとりとした様子で俺のことを見つめてくる。
高嶺さんと混浴したら、興奮しすぎて俺を襲ってくるか、のぼせるかのどちらかになりそうな気がする。ドキドキして、俺がのぼせてしまうかもしれないが。
「面倒なことになりそうだから遠慮しておく」
「どんなことを想像したのかな? 髪や体を洗ったり、マッサージをしたり……まあ、色々なことをして悠真君がとっても気持ち良くなるように頑張るよ!」
その『色々』がとても恐いな。
高嶺さんとだと不安もあるけれど、華頂さんとならのんびりと混浴できそうだな……って、何を考えているんだ俺は。
華頂さんの方をちらっと見てみると、頬をほんのりと赤くしている華頂さんと目が合う。すると、華頂さんはすぐに目を逸らした。もしかして、高嶺さんが混浴の話をしたから、華頂さんも混浴のことを考えていたりして。
「千佳先輩が明日遊ぶってことは、悠真君も明日ってバイトはないの?」
「ああ。明日はなくて、明後日は朝から夕方までバイトだ」
「そうなんだ。胡桃ちゃんはどう?」
「あたしも明日はなくて、明後日はお昼過ぎから夜までバイトだよ」
「じゃあ、明日は3人で遊ぼうよ! どうかな?」
「ああ、いいぞ」
「あたしもいいよ。……あっ、提案があるんだけど。3人で『ひまわりと綾瀬さん。』を観に行かない?」
華頂さんが言う『ひまわりと綾瀬さん。』という作品は、女子高生同士の青春ガールズラブストーリー漫画だ。のんびりとした性格の緑化委員の前田と、イケメンで人気もある女子テニス部の綾瀬さんの2人が主人公であり、ヒロイン。綾瀬さんシリーズと言うファンもいる。アニメ化され、先週から劇場公開されているのだ。
もしかしたら、華頂さんは俺の家に来たとき、本棚に置いてある単行本を見つけたのかもしれない。
「俺も綾瀬さんシリーズは好きだし、アニメも気になっていたんだ。俺は行くよ」
「綾瀬さんの劇場公開始まったんだ! 私も好きな漫画だから一緒に観に行きたい!」
「じゃあ、決まりだね!」
高嶺さんも綾瀬さんシリーズの漫画を持っていたのか。そういえば、高嶺さんの本棚にも単行本があったような気がする。
あと、桐花さんが前に綾瀬さんシリーズが好きなんだよな。新刊が発売された直後に感想を語り合ったこともあった。桐花さんもきっと劇場へ観に行くだろう。
「ただ、1時間くらいの作品だし、映画館にも行きたいよね」
「そうだね。悠真君は何か希望はある?」
「ゆっくり楽しめるところがいいな。ごめん、具体的な場所が思いつかなくて」
「ううん、いいんだよ。じゃあ、どこに行くのかは私達に任せて。胡桃ちゃん、お昼ご飯を食べ終わったら明日のことを話そう?」
「うん!」
2人ともやる気満々のようだ。高嶺さんが任せてと言っているし、明日のことは2人にお任せするか。
「あらあら。つまり、明日は3人でデートをするのですね。お土産話を楽しみにしてますね」
「明日、友達と遊んでいるときに3人を見かけたら、こっそりと後をつけようかな」
明日は別行動の伊集院さんと中野先輩は楽しそうに話す。お土産話はいいとして、こっそりと後をつけられるのはいい気分じゃないな。
伊集院さんがデートと言ったからか、高嶺さんはニヤニヤし、華頂さんは恥ずかしそうにする。
「お待たせしました~」
芹花姉さんの声が聞こえたので、通路側を見ると、そこには姉さんの姿が。テーブルの近くには頼んだ料理を俺達5人が頼んだ料理を乗せたカートがあった。
芹花姉さんは俺達が頼んだメニューをそれぞれの目の前に置いていく。そんな姉さんを伊集院さん、中野先輩がうっとりとした様子で見ていた。ちなみに、2人はたらこスパゲティに日替わりランチのチキンステーキか。どっちも美味しそうだ。
「それでは、ごゆっくり。でも、悠真と千佳ちゃんはバイトがあるから遅れたらダメだよ」
そう言って姉さんはウィンクをする。小さく手を振って俺達のテーブルを後にした。
「それじゃ、いただこうか! いただきます!」
『いただきます!』
中野先輩の号令で俺達は昼食を食べ始める。
まずは味噌汁を一口。……あぁ、美味しいな。この温かさが試験疲れの体に沁みていき、安心する。
そして、メインの豚の生姜焼きを一口いただく。
「……うん、美味しい」
肉が柔らかくて、脂も程良く乗っていて美味しい。タレの味も俺好みだ。あぁ、ご飯がすすむな。
「良かったね、悠真君。このハンバーグドリアも美味しいよ。一口交換しない?」
「……きっと、そうなると思っていたよ。分かった」
高嶺さんの場合、同じものを頼んでも自分のものを俺に食べさせていたと思う。
「あ、あたしの頼んだミートスパゲティも食べていいよっ!」
いつもより少し大きな声で華頂さんがそう言うので華頂さんの方を見てみると、既に華頂さんが一口分のミートスパゲティをフォークで巻いていた。
「気持ちは嬉しいけど……いいのか? その……俺が口を付けても」
「……ゆう君ならいいに決まってるよ」
「……そうか。それなら、華頂さんとも一口交換するか」
「うんっ!」
華頂さん、とても嬉しそうだ。生姜焼きに興味があったのかな。それとも、高嶺さんのように俺と一口交換をしてみたかったのか。何にせよ、華頂さんから交換しようと言ってくれることが嬉しかった。
その後、高嶺さんと華頂さんと一口交換をした。そのときに伊集院さんと中野先輩にニヤニヤされながら見られたのが恥ずかしかったけど。ハンバーグドリアもミートスパゲティも美味しかった。
席順は窓側から高嶺さん、俺、華頂さん。テーブルを挟んで伊集院さん、中野先輩という並びに。高嶺さんと隣同士になるとは思っていたけど、結衣と華頂さんに挟まれる形になるとは思わなかった。キツくないし、これでもいいか。
「は~い、お水ですよ~。注文が決まりましたら、そちらのボタンを押してください。失礼いたします」
ニッコリとしながらそう言うと、母さんは俺達にお辞儀をし、カウンターの方へ歩いて行った。そんな母さんの後ろ姿を、伊集院さんと中野先輩はうっとりとした様子で見ている。これも聖母の力だろうか。
両隣に座っている高嶺さんと華頂さんと一緒にメニュー表を見ていく。
ここには久しぶりに来たけど、提供しているメニューの幅広さに感激する。食べてみたいメニューが多いから迷ってしまう。
華頂さんがメニュー表をめくると、ランチメニューが書かれたページに。通常のメニューよりも安いから、ここから選ぼうかな。
「悠真君と胡桃ちゃんは何にするか決めた? 私はこのカレー風のハンバーグドリアにしようかなって思っているんだけど」
「ドリアも美味しいよね。あたしはミートスパゲティを頼むよ」
「俺は……この後バイトがあるし、ご飯と味噌汁がある定食の中から選ぼうかな」
パンや麺類も好きだけど、ご飯と味噌汁を食べた後が一番調子いいから。
数分ほどして、みんなメニューが決まったので、高嶺さんが呼び出しのボタンを押す。すると、芹花姉さんがテーブルにやってきた。
「ご注文をお伺いしますっ!」
とびきりの笑顔で、芹花姉さんは元気に接客する。これなら、黄金色の天使と言われるのも納得だ。お客さんに絡まれたり、厭らしいことをされたりしないか心配だけど。
俺達はそれぞれ食べたいメニューを言っていき、姉さんと元々注文していた中野先輩の勧めでみんなドリンクバーセットにした。ちなみに、俺は豚の生姜焼き定食を頼んだ。
注文が終わったので、俺達はドリンクバーのコーナーへ向かう。ソフトドリンクはもちろんのこと、紅茶やコーヒーの種類も多い。普段はあまり飲まないジンジャーエールをグラスに注ぐ。
そういえば、小さい頃、芹花姉さんが俺のためにオリジナルドリンクを作ってくれたっけ。そういったときは大抵、家に帰ると気持ち悪くなって吐いたり、お腹を下したりと辛い思いをするけど。そんなことを思い出したら、別のテーブルで注文を取っている姉さんが黄金色の堕天使に見えてきた。
思い出を振り返ったりしていたから、俺が最後にテーブルに戻る。
「みんな、ドリンクを持ってきたね。4人にとっては初めての試験だったね。中間試験お疲れ様! かんぱーい!」
『かんぱーい!』
中野先輩のそんな号令の後、みんなとドリンクバー用のコップを軽く当てて、俺はジンジャーエールを一口飲む。美味しいな。
「毎度のこと、試験が終わった直後の時間っていいなぁ。今回みたいに、試験は金曜で終わるから凄く幸せに感じるよ」
「分かります! お昼前に終わりましたし、3連休のようにも感じますね」
「いいこと言うね、高嶺ちゃん。まさか、2年生最初の定期試験明けに後輩達と打ち上げできるなんて。あたしは幸せ者だ。それも一緒にバイトをすることになった悠真のおかげだよ。ありがとう」
そう言って、中野先輩は感慨深い様子でミルクティーを飲んでいる。その姿はいつになく大人っぽく感じられた。あと、お礼を言われると照れくさいな。
「実は今朝にクラスメイトの友達から打ち上げに誘われたんだけどね。悠真達の方が先に約束したからこっちに来たんだ。それに、クラスの子達とは明日遊ぶことになっているからね」
「そうなのですね。あたしはこの週末、家族で山梨の方へ温泉旅行に行く予定なのです。もちろん、みなさんにお土産を買ってくるのですよ」
「楽しみにしてるよ、伊集院ちゃん。温泉饅頭とか美味しいよね~」
中野先輩は伊集院さんの頭を優しく撫でている。先輩、温泉饅頭を買ってきてほしいのかな。俺と同じようなことを思ったのか、伊集院さんはクスッと笑って「はい」と言った。
「温泉いいね。今の時期でも、夜になると肌寒くなる日もあるし。いつか、悠真君と混浴したいな」
高嶺さんはゆっくりと俺に手を重ね、うっとりとした様子で俺のことを見つめてくる。
高嶺さんと混浴したら、興奮しすぎて俺を襲ってくるか、のぼせるかのどちらかになりそうな気がする。ドキドキして、俺がのぼせてしまうかもしれないが。
「面倒なことになりそうだから遠慮しておく」
「どんなことを想像したのかな? 髪や体を洗ったり、マッサージをしたり……まあ、色々なことをして悠真君がとっても気持ち良くなるように頑張るよ!」
その『色々』がとても恐いな。
高嶺さんとだと不安もあるけれど、華頂さんとならのんびりと混浴できそうだな……って、何を考えているんだ俺は。
華頂さんの方をちらっと見てみると、頬をほんのりと赤くしている華頂さんと目が合う。すると、華頂さんはすぐに目を逸らした。もしかして、高嶺さんが混浴の話をしたから、華頂さんも混浴のことを考えていたりして。
「千佳先輩が明日遊ぶってことは、悠真君も明日ってバイトはないの?」
「ああ。明日はなくて、明後日は朝から夕方までバイトだ」
「そうなんだ。胡桃ちゃんはどう?」
「あたしも明日はなくて、明後日はお昼過ぎから夜までバイトだよ」
「じゃあ、明日は3人で遊ぼうよ! どうかな?」
「ああ、いいぞ」
「あたしもいいよ。……あっ、提案があるんだけど。3人で『ひまわりと綾瀬さん。』を観に行かない?」
華頂さんが言う『ひまわりと綾瀬さん。』という作品は、女子高生同士の青春ガールズラブストーリー漫画だ。のんびりとした性格の緑化委員の前田と、イケメンで人気もある女子テニス部の綾瀬さんの2人が主人公であり、ヒロイン。綾瀬さんシリーズと言うファンもいる。アニメ化され、先週から劇場公開されているのだ。
もしかしたら、華頂さんは俺の家に来たとき、本棚に置いてある単行本を見つけたのかもしれない。
「俺も綾瀬さんシリーズは好きだし、アニメも気になっていたんだ。俺は行くよ」
「綾瀬さんの劇場公開始まったんだ! 私も好きな漫画だから一緒に観に行きたい!」
「じゃあ、決まりだね!」
高嶺さんも綾瀬さんシリーズの漫画を持っていたのか。そういえば、高嶺さんの本棚にも単行本があったような気がする。
あと、桐花さんが前に綾瀬さんシリーズが好きなんだよな。新刊が発売された直後に感想を語り合ったこともあった。桐花さんもきっと劇場へ観に行くだろう。
「ただ、1時間くらいの作品だし、映画館にも行きたいよね」
「そうだね。悠真君は何か希望はある?」
「ゆっくり楽しめるところがいいな。ごめん、具体的な場所が思いつかなくて」
「ううん、いいんだよ。じゃあ、どこに行くのかは私達に任せて。胡桃ちゃん、お昼ご飯を食べ終わったら明日のことを話そう?」
「うん!」
2人ともやる気満々のようだ。高嶺さんが任せてと言っているし、明日のことは2人にお任せするか。
「あらあら。つまり、明日は3人でデートをするのですね。お土産話を楽しみにしてますね」
「明日、友達と遊んでいるときに3人を見かけたら、こっそりと後をつけようかな」
明日は別行動の伊集院さんと中野先輩は楽しそうに話す。お土産話はいいとして、こっそりと後をつけられるのはいい気分じゃないな。
伊集院さんがデートと言ったからか、高嶺さんはニヤニヤし、華頂さんは恥ずかしそうにする。
「お待たせしました~」
芹花姉さんの声が聞こえたので、通路側を見ると、そこには姉さんの姿が。テーブルの近くには頼んだ料理を俺達5人が頼んだ料理を乗せたカートがあった。
芹花姉さんは俺達が頼んだメニューをそれぞれの目の前に置いていく。そんな姉さんを伊集院さん、中野先輩がうっとりとした様子で見ていた。ちなみに、2人はたらこスパゲティに日替わりランチのチキンステーキか。どっちも美味しそうだ。
「それでは、ごゆっくり。でも、悠真と千佳ちゃんはバイトがあるから遅れたらダメだよ」
そう言って姉さんはウィンクをする。小さく手を振って俺達のテーブルを後にした。
「それじゃ、いただこうか! いただきます!」
『いただきます!』
中野先輩の号令で俺達は昼食を食べ始める。
まずは味噌汁を一口。……あぁ、美味しいな。この温かさが試験疲れの体に沁みていき、安心する。
そして、メインの豚の生姜焼きを一口いただく。
「……うん、美味しい」
肉が柔らかくて、脂も程良く乗っていて美味しい。タレの味も俺好みだ。あぁ、ご飯がすすむな。
「良かったね、悠真君。このハンバーグドリアも美味しいよ。一口交換しない?」
「……きっと、そうなると思っていたよ。分かった」
高嶺さんの場合、同じものを頼んでも自分のものを俺に食べさせていたと思う。
「あ、あたしの頼んだミートスパゲティも食べていいよっ!」
いつもより少し大きな声で華頂さんがそう言うので華頂さんの方を見てみると、既に華頂さんが一口分のミートスパゲティをフォークで巻いていた。
「気持ちは嬉しいけど……いいのか? その……俺が口を付けても」
「……ゆう君ならいいに決まってるよ」
「……そうか。それなら、華頂さんとも一口交換するか」
「うんっ!」
華頂さん、とても嬉しそうだ。生姜焼きに興味があったのかな。それとも、高嶺さんのように俺と一口交換をしてみたかったのか。何にせよ、華頂さんから交換しようと言ってくれることが嬉しかった。
その後、高嶺さんと華頂さんと一口交換をした。そのときに伊集院さんと中野先輩にニヤニヤされながら見られたのが恥ずかしかったけど。ハンバーグドリアもミートスパゲティも美味しかった。
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