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特別編
第10話『海水浴に行こう』
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7月28日、日曜日。
みんなで海水浴に行く日がやってきた。
夏休みが始まってから、千弦とお家デートしたり、バイトしたり、千弦と星野さんのバイトの様子を見に行ったりするなどしたから、今日になるまであっという間だったな。
俺達が行く海水浴場がある神奈川県の湘南地域の天気は一日中快晴で、最高気温は34度まで上がる予報になっている。絶好の海水浴日和だ。熱中症には気をつけながらみんなと一緒に海水浴を楽しみたい。
「晴れて良かったね、お兄ちゃん!」
「ああ、良かった。絶好の海水浴日和だ」
午前8時15分。
俺は今、結菜と一緒に待ち合わせ場所である山本先生の自宅があるマンションの前に向かって歩いている。午前8時半に待ち合わせをして、先生が運転するレンタカーで海水浴場に向かう予定だ。
「みんなと一緒に海水浴に行くの楽しみ! お兄ちゃん以外とは初めてだし」
結菜はワクワクとした笑顔でそう言う。可愛いなぁ。スカートに半袖のパーカー姿がよく似合っているのもあって本当に可愛い。
「そうか。俺も楽しみだよ。結菜と琢磨以外とは初めてだし。それに、千弦とのプールデートが楽しかったからなのもある」
「そっか」
ふふっ、と結菜は声に出して笑った。
それからも結菜と談笑しながら、山本先生の自宅があるマンションに向かって歩いていく。
そして、家を出発してから5、6分ほどで、待ち合わせ場所のマンションが見えてきた。そのとき、
「あっ、千弦さんと彩葉さんと飛鳥さんがいた!」
元気良くそう言い、結菜は正面に向かって指さした。
結菜の指さす方に視線を向けると……マンションの入口近くでスラックスにノースリーブの縦ニット姿の千弦と、ロングスカートに半袖のブラウス姿の星野さん、スラックスにノースリーブの襟付きブラウス姿の山本先生の姿が。あと、千弦の首元には朝日でキラリと光るペアネックレスが。
また、3人の側には1台の白いミニバンが停車している。あれが山本先生がレンタルした車かな。
「おっ、いたな」
「いたね! 千弦さーん! 彩葉さーん! 飛鳥さーん!」
結菜が大きめの声で千弦達の名前を呼んだ。
結菜の呼びかけに気付いたようで、千弦達はすぐにこちらに振り向き、大きく手を振ってくれた。
「みなさん、おはようございます!」
「おはようございます」
「洋平君、結菜ちゃん、おはよう!」
「おはよう、白石君、結菜ちゃん」
「2人ともおはよう。荷物を車のトランクに入れようか」
そう言い、山本先生は白いミニバンのトランクの扉を開ける。やはり、このミニバンは先生がレンタルした車だったか。
俺と結菜は水着やタオルなどが入ったバッグやお昼ご飯を入れたバッグ、ビーチパラソルやレジャーシートをトランクに入れた。荷物が結構あるので、こうして車のトランクに置けるのは楽だ。まだ出発していないけど、車で行くことの恩恵をさっそく実感した。
「洋平君、ワイシャツ姿かっこいいね。よく似合ってる。ペアネックレスも」
「千弦も縦ニットがよく似合ってるよ。ペアネックレスも似合ってる」
「ありがとう! ……待ち合わせして会えたから、おはようのキスしていい?」
「もちろん」
「ありがとう」
千弦は嬉しそうにお礼を言うと、俺におはようのキスをしてきた。その瞬間に星野さん達3人が「ふふっ」という笑い声が聞こえてきて。
こうして、朝に千弦とおはようのキスができるのはいいな。幸せな気持ちになれる。夏の日差しが熱いけど、千弦の唇から柔らかさと共に伝わってくる温もりはとても心地良い。
数秒ほどして、千弦の方から唇を離した。すると、目の前にはニッコリとした笑顔で俺を見つめる千弦がいて。
「おはようのキスいいね」
「ああ。夏休みに入って、最近はこの時間帯にキスすることがなかったから……改めておはようのキスの良さを実感するよ」
「ふふっ、そうだね。……今日は海水浴を楽しもうね」
「ああ、楽しもうな」
そう言い、千弦の頭を優しく撫でる。すると、千弦の笑顔は柔らかいものに変わった。
「千弦ちゃんと白石君は朝からラブラブだね」
「そうね、星野さん。今日もラブラブで何よりだわ」
「ですねっ」
俺達のキスを見ていた星野さん達からはそんなコメントをされる。ただ、3人とも明るい笑顔なのもあって嫌な感じは全くしなかった。千弦も同じなのか、笑顔を絶やすことはなかった。
5人で雑談したり、結菜がミニバンの写真を撮ったりしていると、
「千弦達いたわ!」
「いたねっ!」
スラックスにノースリーブのパーカー姿の神崎さんと、ジーンズパンツに半袖Vネックシャツ姿の吉岡さんがやってきた。俺達と会えたからか、2人は笑顔だ。
神崎さんと吉岡さんが来て、7人で「おはよう」と挨拶を交わした。
神崎さんと吉岡さんは2人とも家の最寄り駅が洲中駅よりも上り方面にある駅だ。なので、2人で電車内で待ち合わせをして一緒にここまで来たとのこと。
山本先生が車のトランクの扉を開け、神崎さんと吉岡さんは荷物をトランクに入れた。
「さてと、あとは坂井君だけね」
「たぶん、もうすぐ来ると思います。待ち合わせに遅れることはそうそうないですし」
「それに、遅れそうなときはちゃんと連絡するもんな、琢磨は。今のところそういった旨の連絡はないのでもうすぐ来るかと」
「そっか。さすがは坂井君の恋人と親友ね。よく分かっているのね」
山本先生が感心した様子でそう言う。今の先生の言葉に同意しているのか、千弦と星野さんと神崎さんはうんうんと頷いている。その反応に吉岡さんは結構嬉しそうにしていた。すると、
「おっ、みんないたぜ!」
話題の人物である琢磨がやってきた。Tシャツにハーフパンツ姿という暑い時期のお決まりの服装で。ちなみに、今の時刻は8時27分。吉岡さんと俺の言う通り、琢磨は遅れることなく来たな。
琢磨がやってきて、俺達8人は「おはよう」と朝の挨拶を交わした。また、琢磨と吉岡さんもおはようのキスをしていた。
山本先生が車のトランクを開けて、琢磨は荷物を入れた。
「無事に全員揃ったわね。じゃあ、海水浴場に行きましょうか」
山本先生が落ち着いた笑顔でそう言った。
「8人で行くから、8人まで乗れるこのミニバンを借りてきたわ。運転できるのは私しかいないから、運転席にはもちろん私が座るわ。あとは助手席と、後部座席2列ね。後部座席は1列に3人ずつ座れるわ。どこに座るかは7人で自由に決めて」
山本先生がそう言い、学生7人は「はい」と返事した。
車のどの座席に座るか。洲中市から海水浴場までは1時間以上はかかるから、座席選びも重要かもしれない。
「あたし、琢磨君と隣同士に座りたいな」
「そうだな、早希」
「私も洋平君と隣同士に座りたいな」
「俺も千弦と隣同士がいいな」
「カップル2組はそう言うと思っていたわ。あたしは賛成だけど、彩葉と結菜ちゃんはどう?」
「私は賛成だよ」
「あたしもです!」
神崎さんと星野さんと結菜が賛成したので、吉岡さん&琢磨、千弦&俺はそれぞれ隣同士の席に座ることが決まった。
「どこの席に座っても楽しめそうなので、あたしはどこでもOKです。彩葉さんと玲央さんは希望はありますか?」
「いいの? じゃあ……千弦の隣に座れたら嬉しいな」
神崎さんは千弦を見ながらそう言ってきた。まあ、神崎さんは千弦のことが好きだから、千弦の隣に座りたいって言うんじゃないかと思っていたよ。
「私は玲央ちゃんが隣に来るのはかまわないよ。あとは彩葉さえよければ」
「私もいいよ」
「ありがとう! 千弦、お隣よろしく!」
神崎さん、とっても嬉しそうだ。
「私は助手席がいいな。遊園地とか七夕祭りとかで列に並んだときは飛鳥先生の隣にいることが多かったから、助手席が楽しそうで」
「嬉しいことを言ってくれるね、星野さん」
ふふっ、と山本先生は結構嬉しそうに笑う。
思い返すと、確かに、星野さんと山本先生は遊園地や七夕祭りで2列で並ぶときは隣同士で並んでいたな。遊園地のアトラクションでも一緒にいたり、七夕祭りでも一緒に行動したりしていた。だから、星野さんが助手席がいいと言うのも納得だ。
みんながどういった席がいいか決まり、実際に座る場所は、
運転席:山本先生
助手席:星野さん
後部座席1列目:結菜、吉岡さん、琢磨
後部座席2列目:神崎さん、千弦、俺
という形になった。
座る場所が決まったので、俺は後部座席2列目のシートの右側に座る。
俺の左隣には千弦が座り、そのさらに左隣に神崎さんが座る。3人で座っているので、千弦の体がしっかりと触れている。ただ、特にキツさは感じない。これなら快適に過ごせそうだ。
「千弦、神崎さん、キツくはないか? キツかったら窓側に動くけど」
「大丈夫だよ、洋平君」
「あたしも大丈夫よっ」
千弦は明るい笑顔で、神崎さんはちょっと幸せそうな笑顔でそう言った。神崎さん、千弦と体が触れているから幸せとか思っていそうな気がする。
「そうか。キツくないなら良かった」
俺がそう言うと、千弦と神崎さんは「うんっ」と頷いた。
「みんな座ったね。じゃあ、湘南の海水浴場に行きましょうか」
「運転お願いします、飛鳥先生。……せっかくですし、みんなで出発進行って言いませんか?」
吉岡さんがそんな提案をする。
「おお、いいじゃねえか! 『これから海へ行くぞ!』って感じがして」
と、琢磨はすぐに賛成する。そのことに吉岡さんはとても嬉しそうだ。
確かに、『出発進行』って言うと、海水浴場へ遊びに行くスイッチが入っていいかもしれない。
「俺もいいと思うぞ」
と賛成した。
その後、千弦や結菜達もみんな賛成したので、みんなで「出発進行」と言うことに。
「じゃあ、海水浴場に向かって!」
『出発進行!』
吉岡さんの合図でみんなで元気良くそう言った。そのことで、これから海水浴場に行くんだって気持ちになれる。
山本先生の運転により、俺達8人が乗る車は神奈川県の湘南にある海水浴場に向けてゆっくりと走り始めた。
みんなで海水浴に行く日がやってきた。
夏休みが始まってから、千弦とお家デートしたり、バイトしたり、千弦と星野さんのバイトの様子を見に行ったりするなどしたから、今日になるまであっという間だったな。
俺達が行く海水浴場がある神奈川県の湘南地域の天気は一日中快晴で、最高気温は34度まで上がる予報になっている。絶好の海水浴日和だ。熱中症には気をつけながらみんなと一緒に海水浴を楽しみたい。
「晴れて良かったね、お兄ちゃん!」
「ああ、良かった。絶好の海水浴日和だ」
午前8時15分。
俺は今、結菜と一緒に待ち合わせ場所である山本先生の自宅があるマンションの前に向かって歩いている。午前8時半に待ち合わせをして、先生が運転するレンタカーで海水浴場に向かう予定だ。
「みんなと一緒に海水浴に行くの楽しみ! お兄ちゃん以外とは初めてだし」
結菜はワクワクとした笑顔でそう言う。可愛いなぁ。スカートに半袖のパーカー姿がよく似合っているのもあって本当に可愛い。
「そうか。俺も楽しみだよ。結菜と琢磨以外とは初めてだし。それに、千弦とのプールデートが楽しかったからなのもある」
「そっか」
ふふっ、と結菜は声に出して笑った。
それからも結菜と談笑しながら、山本先生の自宅があるマンションに向かって歩いていく。
そして、家を出発してから5、6分ほどで、待ち合わせ場所のマンションが見えてきた。そのとき、
「あっ、千弦さんと彩葉さんと飛鳥さんがいた!」
元気良くそう言い、結菜は正面に向かって指さした。
結菜の指さす方に視線を向けると……マンションの入口近くでスラックスにノースリーブの縦ニット姿の千弦と、ロングスカートに半袖のブラウス姿の星野さん、スラックスにノースリーブの襟付きブラウス姿の山本先生の姿が。あと、千弦の首元には朝日でキラリと光るペアネックレスが。
また、3人の側には1台の白いミニバンが停車している。あれが山本先生がレンタルした車かな。
「おっ、いたな」
「いたね! 千弦さーん! 彩葉さーん! 飛鳥さーん!」
結菜が大きめの声で千弦達の名前を呼んだ。
結菜の呼びかけに気付いたようで、千弦達はすぐにこちらに振り向き、大きく手を振ってくれた。
「みなさん、おはようございます!」
「おはようございます」
「洋平君、結菜ちゃん、おはよう!」
「おはよう、白石君、結菜ちゃん」
「2人ともおはよう。荷物を車のトランクに入れようか」
そう言い、山本先生は白いミニバンのトランクの扉を開ける。やはり、このミニバンは先生がレンタルした車だったか。
俺と結菜は水着やタオルなどが入ったバッグやお昼ご飯を入れたバッグ、ビーチパラソルやレジャーシートをトランクに入れた。荷物が結構あるので、こうして車のトランクに置けるのは楽だ。まだ出発していないけど、車で行くことの恩恵をさっそく実感した。
「洋平君、ワイシャツ姿かっこいいね。よく似合ってる。ペアネックレスも」
「千弦も縦ニットがよく似合ってるよ。ペアネックレスも似合ってる」
「ありがとう! ……待ち合わせして会えたから、おはようのキスしていい?」
「もちろん」
「ありがとう」
千弦は嬉しそうにお礼を言うと、俺におはようのキスをしてきた。その瞬間に星野さん達3人が「ふふっ」という笑い声が聞こえてきて。
こうして、朝に千弦とおはようのキスができるのはいいな。幸せな気持ちになれる。夏の日差しが熱いけど、千弦の唇から柔らかさと共に伝わってくる温もりはとても心地良い。
数秒ほどして、千弦の方から唇を離した。すると、目の前にはニッコリとした笑顔で俺を見つめる千弦がいて。
「おはようのキスいいね」
「ああ。夏休みに入って、最近はこの時間帯にキスすることがなかったから……改めておはようのキスの良さを実感するよ」
「ふふっ、そうだね。……今日は海水浴を楽しもうね」
「ああ、楽しもうな」
そう言い、千弦の頭を優しく撫でる。すると、千弦の笑顔は柔らかいものに変わった。
「千弦ちゃんと白石君は朝からラブラブだね」
「そうね、星野さん。今日もラブラブで何よりだわ」
「ですねっ」
俺達のキスを見ていた星野さん達からはそんなコメントをされる。ただ、3人とも明るい笑顔なのもあって嫌な感じは全くしなかった。千弦も同じなのか、笑顔を絶やすことはなかった。
5人で雑談したり、結菜がミニバンの写真を撮ったりしていると、
「千弦達いたわ!」
「いたねっ!」
スラックスにノースリーブのパーカー姿の神崎さんと、ジーンズパンツに半袖Vネックシャツ姿の吉岡さんがやってきた。俺達と会えたからか、2人は笑顔だ。
神崎さんと吉岡さんが来て、7人で「おはよう」と挨拶を交わした。
神崎さんと吉岡さんは2人とも家の最寄り駅が洲中駅よりも上り方面にある駅だ。なので、2人で電車内で待ち合わせをして一緒にここまで来たとのこと。
山本先生が車のトランクの扉を開け、神崎さんと吉岡さんは荷物をトランクに入れた。
「さてと、あとは坂井君だけね」
「たぶん、もうすぐ来ると思います。待ち合わせに遅れることはそうそうないですし」
「それに、遅れそうなときはちゃんと連絡するもんな、琢磨は。今のところそういった旨の連絡はないのでもうすぐ来るかと」
「そっか。さすがは坂井君の恋人と親友ね。よく分かっているのね」
山本先生が感心した様子でそう言う。今の先生の言葉に同意しているのか、千弦と星野さんと神崎さんはうんうんと頷いている。その反応に吉岡さんは結構嬉しそうにしていた。すると、
「おっ、みんないたぜ!」
話題の人物である琢磨がやってきた。Tシャツにハーフパンツ姿という暑い時期のお決まりの服装で。ちなみに、今の時刻は8時27分。吉岡さんと俺の言う通り、琢磨は遅れることなく来たな。
琢磨がやってきて、俺達8人は「おはよう」と朝の挨拶を交わした。また、琢磨と吉岡さんもおはようのキスをしていた。
山本先生が車のトランクを開けて、琢磨は荷物を入れた。
「無事に全員揃ったわね。じゃあ、海水浴場に行きましょうか」
山本先生が落ち着いた笑顔でそう言った。
「8人で行くから、8人まで乗れるこのミニバンを借りてきたわ。運転できるのは私しかいないから、運転席にはもちろん私が座るわ。あとは助手席と、後部座席2列ね。後部座席は1列に3人ずつ座れるわ。どこに座るかは7人で自由に決めて」
山本先生がそう言い、学生7人は「はい」と返事した。
車のどの座席に座るか。洲中市から海水浴場までは1時間以上はかかるから、座席選びも重要かもしれない。
「あたし、琢磨君と隣同士に座りたいな」
「そうだな、早希」
「私も洋平君と隣同士に座りたいな」
「俺も千弦と隣同士がいいな」
「カップル2組はそう言うと思っていたわ。あたしは賛成だけど、彩葉と結菜ちゃんはどう?」
「私は賛成だよ」
「あたしもです!」
神崎さんと星野さんと結菜が賛成したので、吉岡さん&琢磨、千弦&俺はそれぞれ隣同士の席に座ることが決まった。
「どこの席に座っても楽しめそうなので、あたしはどこでもOKです。彩葉さんと玲央さんは希望はありますか?」
「いいの? じゃあ……千弦の隣に座れたら嬉しいな」
神崎さんは千弦を見ながらそう言ってきた。まあ、神崎さんは千弦のことが好きだから、千弦の隣に座りたいって言うんじゃないかと思っていたよ。
「私は玲央ちゃんが隣に来るのはかまわないよ。あとは彩葉さえよければ」
「私もいいよ」
「ありがとう! 千弦、お隣よろしく!」
神崎さん、とっても嬉しそうだ。
「私は助手席がいいな。遊園地とか七夕祭りとかで列に並んだときは飛鳥先生の隣にいることが多かったから、助手席が楽しそうで」
「嬉しいことを言ってくれるね、星野さん」
ふふっ、と山本先生は結構嬉しそうに笑う。
思い返すと、確かに、星野さんと山本先生は遊園地や七夕祭りで2列で並ぶときは隣同士で並んでいたな。遊園地のアトラクションでも一緒にいたり、七夕祭りでも一緒に行動したりしていた。だから、星野さんが助手席がいいと言うのも納得だ。
みんながどういった席がいいか決まり、実際に座る場所は、
運転席:山本先生
助手席:星野さん
後部座席1列目:結菜、吉岡さん、琢磨
後部座席2列目:神崎さん、千弦、俺
という形になった。
座る場所が決まったので、俺は後部座席2列目のシートの右側に座る。
俺の左隣には千弦が座り、そのさらに左隣に神崎さんが座る。3人で座っているので、千弦の体がしっかりと触れている。ただ、特にキツさは感じない。これなら快適に過ごせそうだ。
「千弦、神崎さん、キツくはないか? キツかったら窓側に動くけど」
「大丈夫だよ、洋平君」
「あたしも大丈夫よっ」
千弦は明るい笑顔で、神崎さんはちょっと幸せそうな笑顔でそう言った。神崎さん、千弦と体が触れているから幸せとか思っていそうな気がする。
「そうか。キツくないなら良かった」
俺がそう言うと、千弦と神崎さんは「うんっ」と頷いた。
「みんな座ったね。じゃあ、湘南の海水浴場に行きましょうか」
「運転お願いします、飛鳥先生。……せっかくですし、みんなで出発進行って言いませんか?」
吉岡さんがそんな提案をする。
「おお、いいじゃねえか! 『これから海へ行くぞ!』って感じがして」
と、琢磨はすぐに賛成する。そのことに吉岡さんはとても嬉しそうだ。
確かに、『出発進行』って言うと、海水浴場へ遊びに行くスイッチが入っていいかもしれない。
「俺もいいと思うぞ」
と賛成した。
その後、千弦や結菜達もみんな賛成したので、みんなで「出発進行」と言うことに。
「じゃあ、海水浴場に向かって!」
『出発進行!』
吉岡さんの合図でみんなで元気良くそう言った。そのことで、これから海水浴場に行くんだって気持ちになれる。
山本先生の運転により、俺達8人が乗る車は神奈川県の湘南にある海水浴場に向けてゆっくりと走り始めた。
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