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17 その終わり
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「父さん、母さん。久しぶり」
冷たい風が吹き、秋を散らしていく。
王になってから五年目の秋。
ルベルは久方ぶりに一人、父と母の墓の前に立っていた。
少し肌寒いが、まだ外套がなくとも問題ない。こと最近心配性になったスクルムに持たされた外套は護衛に預けている。
スクルムはルベルが城から出ることをやたらと心配するが、ここでルベルが死んだとしても、もうそれは誤差の範囲だ。今年の冬はもうすぐだが、もう一巡りする頃には、きっと成人したニヴィアスが城にやって来る。雪が自然の要塞となるこの白の国を、他国は冬の間攻める事が出来ない。革命を起こすなら冬前に起こし、春までに体制を整えるのが最善であるからだ。
「別に死にたいわけではないんだけどさ……死ぬ理由があるから、ごめん」
ルベルが生きる為に教えてくれたであろう術を、そのために使わない事を父に詫び、花と祈りを捧げる。
このままいけば当初の予定通り、ルベルは弟であるニヴィアスに――正当な王位継承者に討たれる事となる。それは分かっている事なのでルベル的には問題ないが、けして父の願いではないだろう。
「でも、護りたいものためなんだ。弟と――」
スクルム。
この国と共に歩んできた護国の精霊。ずっと国を護ってきた精霊なのに、スクルムはルベルのせいで、その名をかなり落としている。ニヴィアスが王になれば受肉して人になると言っていたが、この状態ではいくら精霊の力を持ったままとはいえ、人になるのは危ないのではないかと、ルベルは危惧していた。ただ、それもニヴィアスがスクルムを取り立てれば解決する話だ。そこはきっと問題ないと思っている。
スクルムはニヴィアスをとても可愛がっていたし、ニヴィアスもスクルムが大好きだった。そもそもがルベルは弟であるニヴィアスが傀儡にならないようにするための繋ぎだ。
先代の王は人としては狂っていたが、王としてはそこそこ優秀だった。だからニヴィアスが跡を継ぐまで問題なく在位するはずだったのに、理由はどうあれ台無しにしたのはルベルである。だから共倒れする必要はない。悪名は、自分だけが持って逝けばいい。
見届けてくれると言った。一人では死なせないと言った。
この人生の延長戦、その言葉だけで充分だと思った。ただ少し贅沢を言えば、自分のような人間がいた事を時々、ほんの少し思い出してくれたらいい。常には覚えていなくていい。ルベルの末を見届けたあと、本来そうあるべきだったように、ニヴィアスを支えるなり、人としての新たな生を自由に生きるなりして欲しいと、本気で思っている。
「何でこうなったかな」
目を伏せ見るともなしに捧げた花を見つめると、長い睫毛が紅玉に、頬に、影を落とす。
元々スクルムは無性の精霊ではなく「姫ならともかく」というような言葉が出る程度の感覚はある、雌雄の精霊だ。だから今はきっと、誓約や何やらと人に近づいていることによって色んな惑いを覚えている。
勘違いだとは言わない。けれど、分かっていなくて本人も戸惑っている。
ルベルにもその経験はない。しかし、スクルムとは違ってその気持ちの名前を恐らく、知っている。
「……今、お前がそれを知る必要はないんだよ」
小さく呟いた言葉は風が拐って消していく。そしてそれに上乗せするように、護衛がルベルを呼ぶ声が聴こえた。
「陛下。差し出がましいとは思いますが、そろそろ戻りましょう。スクルム様が心配します」
「――ああ、分かった。……じゃあ、さよなら。父さん母さん」
自分は恐らく母と同じところには行けない。だが父は案外、生業的にルベルが向かう場所にいるかもしれないなどと考えながら礼をして、ルベルは墓に背を向ける。
紅玉にもう、翳りはなかった。
――そして六年目の晩秋のこと。
その日はとうとうやって来た。
スクルムと宰相の手配で城は無血で開城される事となっている。だからニヴィアスは直にやってくる。外の騒がしさとは反対にルベルの心はとても静かだった。豪奢な鏡の前に立ち、すっかり着慣れた黒衣を纏う。
「――”鏡よ、鏡”……」
そうっと鏡に触れたルベルは呟くともなしに呟き、何でもないと首を振った。
やっとこの延長戦も終わりで未練はない。あとは粛々と賤しい簒奪者として正当な叛逆者を待つのみだ。
「――兄上」
「久しいな」
扉の向こうから男が現れる。
濡れ羽色の髪、黒檀のような瞳、抜けるような白い肌、林檎のような赤い唇をした男。
容姿は変わらずルベルと似ているが、声も変わりすっかり男らしくなった。
そんな弟の姿を見てルベルは喜び、少しだけ羨ましくも思った。城に残るよりは健やかに育った事が見える姿形を嬉しく思う。さあ、引導を引き渡してくれとルベルはニヴィアスを見つめるが――
「兄上、どうか降伏を。出来るだけ悪いようには致しません」
……甘い。
健やかに育ち過ぎたのか。ルベルは少しだけ眉を寄せた。
処刑のための降伏をと言うならば素直に頷いたが、その言葉に頷く事は出来ない。
賎しき簒奪者は討たれなければならない。
ルベルは煽る言葉を吐こうとして、ふと思った。
わざわざニヴィアスの手を汚してやる必要はないのではないか、と。
そう思い至った瞬間、ルベルは無意識のうちに剣を握っていた。それを見たスクルムやニヴィアスも、悲しそうに自らの剣を握る。そこで初めて自分が剣を握った事に気付き、二人の惜しむ様子を嬉しく思った。それだけで充分だとルベルは笑った。
笑って、自らの心の臓を刺し貫いた。
躊躇したら苦しみが長引くだけ。助かる芽があれば、ニヴィアスもスクルムも、きっとどうにかしてルベルを生かそうとする。半端に生き長らえていけないと、狩りの時と同じく、躊躇はしなかったつもりだった。だが、流石に自分に剣を向けたのは初めてだったからか、すぐの絶命とはならなさそうだった。
じわりじわりと趣味の悪い絨毯を赤い水が染め、吸い切れないそれが、水溜まりのように広がっていく。ただ、助からない程度には上手く出来ている。血に沈みゆくルベルの目には、驚き叫ぶニヴィアスと、目を見開いたまま動かないスクルムが見える。
血の赤に溺れて死ぬなんて、赤の名に相応しい最後かもしれないなあとぼんやりと思う。痛みは息をする毎になくなっていく。痛みは生きているという証だから、それをなくすということは、死を意味している。
それともうひとつ。今までは分からなかった感覚だが、王としもべ――ルベルとスクルムのその関係も、ルベルの生が失われていくのに比例して消えていくのが分かる。喪失と呼ぶのにふさわしい、不思議な感覚だった。
(よかった)
上手く出来た。慣れないなりに致命傷にはなっていたようで、ルベルは満足していた。
「兄上、どうして」
それをお前が知る必要はないんだ。
このまま黙っていれば直に死ぬ。哀しげに問うニヴィアスを無視して終わりを待つルベルだったが。
ねえ、まだ聞こえているでしょう。
寝たふりは止めなさい。
怒りの滲んだ声に、ルベルの意識は少しだけ引き戻された。無表情ではないものの、喜怒哀楽がはっきりしないスクルムが、今は憤怒の形相でルベルを見ている。
しかし、ルベルには何だか泣いているように見えた。
「どうして貴方がこうなったか、ここに至ったか、貴方の生きた道を。私は貴方を見てきました。だから、一人くらい……私くらいは、貴方にお供させていただきます。勝手に一人でなど、許しません」
スクルムは血の海に沈むルベルを詰り、ルベルの剣で自らを刺し貫く。
今度はルベルが目を見開く番だった。人外のはずの身体から、鮮血がほとばしる。
「馬鹿だ……」
雪が地を隠していくかのように、白くなっていく肌。それに煌々冴える紅玉の瞳がぐにゃりと滲む。
馬鹿だとルベルは小さく笑った。それが聞こえたらしいスクルムの顔が、不機嫌なものになる。馬鹿はどちらだと言わんばかりだが、馬鹿はお前だとルベルは泣きそうになる。
スクルムの想いや願いは何となく分かっていた。だが、人ではないものが人に近づいていたという状況が故に、スクルム自身、心の機微や、ルベルに抱く感情の正体は分かっていなかった。それでも少しずつ学んでいた。だからルベルはそれにスクルムが気づいてしまう前に、自棄のように血を浴び淫蕩に耽った。そして悪名は自分のせいだという風にして、いなくなるつもりだったのに。
でも。もう、こうなってしまえば。
もうこうなってしまえば、いっしょにつれていってもかまわないだろうか。それを言ってしまっても、かまわないだろうか。
ルベルはニヴィアスに申し訳なく思いながらも、慶んでいた。
「……なら、ついて来てくれ……」
「はい……我が君……すぐ、参ります」
ルベルのその言葉に悦んだスクルムは這いずるようにしてルベルの傍にきて、雪のように白く色の抜け落ちたルベルの手を握る。ルベルは精一杯の力を振り絞って握り返したが、スクルムに触れる度に感じていた、雪のような冷たさはもう感じる事が出来なかった。
命のぬくもりはもうルベルにはない。もしかしたら自分の手を握っているスクルムは、今までのルベルと同じ感想を抱いているかもしれないなと、想像するうちにきっと、同じ温度になっていく。まるでひとつになるかのように。
溺れる程に流れた血も、もうどちらのものか分からない。みるみるうちに何も見えなくなって、意識も、握った手の感覚も無くなっていく。
だが、繋いでいるという確信はあった。
ひとりで死ぬつもりだったのに。
道連れになどしたくはなかったのに。
それでもルベルは嬉しかった。
――”鏡よ鏡”
もう、なにも、いらない。
冷たい風が吹き、秋を散らしていく。
王になってから五年目の秋。
ルベルは久方ぶりに一人、父と母の墓の前に立っていた。
少し肌寒いが、まだ外套がなくとも問題ない。こと最近心配性になったスクルムに持たされた外套は護衛に預けている。
スクルムはルベルが城から出ることをやたらと心配するが、ここでルベルが死んだとしても、もうそれは誤差の範囲だ。今年の冬はもうすぐだが、もう一巡りする頃には、きっと成人したニヴィアスが城にやって来る。雪が自然の要塞となるこの白の国を、他国は冬の間攻める事が出来ない。革命を起こすなら冬前に起こし、春までに体制を整えるのが最善であるからだ。
「別に死にたいわけではないんだけどさ……死ぬ理由があるから、ごめん」
ルベルが生きる為に教えてくれたであろう術を、そのために使わない事を父に詫び、花と祈りを捧げる。
このままいけば当初の予定通り、ルベルは弟であるニヴィアスに――正当な王位継承者に討たれる事となる。それは分かっている事なのでルベル的には問題ないが、けして父の願いではないだろう。
「でも、護りたいものためなんだ。弟と――」
スクルム。
この国と共に歩んできた護国の精霊。ずっと国を護ってきた精霊なのに、スクルムはルベルのせいで、その名をかなり落としている。ニヴィアスが王になれば受肉して人になると言っていたが、この状態ではいくら精霊の力を持ったままとはいえ、人になるのは危ないのではないかと、ルベルは危惧していた。ただ、それもニヴィアスがスクルムを取り立てれば解決する話だ。そこはきっと問題ないと思っている。
スクルムはニヴィアスをとても可愛がっていたし、ニヴィアスもスクルムが大好きだった。そもそもがルベルは弟であるニヴィアスが傀儡にならないようにするための繋ぎだ。
先代の王は人としては狂っていたが、王としてはそこそこ優秀だった。だからニヴィアスが跡を継ぐまで問題なく在位するはずだったのに、理由はどうあれ台無しにしたのはルベルである。だから共倒れする必要はない。悪名は、自分だけが持って逝けばいい。
見届けてくれると言った。一人では死なせないと言った。
この人生の延長戦、その言葉だけで充分だと思った。ただ少し贅沢を言えば、自分のような人間がいた事を時々、ほんの少し思い出してくれたらいい。常には覚えていなくていい。ルベルの末を見届けたあと、本来そうあるべきだったように、ニヴィアスを支えるなり、人としての新たな生を自由に生きるなりして欲しいと、本気で思っている。
「何でこうなったかな」
目を伏せ見るともなしに捧げた花を見つめると、長い睫毛が紅玉に、頬に、影を落とす。
元々スクルムは無性の精霊ではなく「姫ならともかく」というような言葉が出る程度の感覚はある、雌雄の精霊だ。だから今はきっと、誓約や何やらと人に近づいていることによって色んな惑いを覚えている。
勘違いだとは言わない。けれど、分かっていなくて本人も戸惑っている。
ルベルにもその経験はない。しかし、スクルムとは違ってその気持ちの名前を恐らく、知っている。
「……今、お前がそれを知る必要はないんだよ」
小さく呟いた言葉は風が拐って消していく。そしてそれに上乗せするように、護衛がルベルを呼ぶ声が聴こえた。
「陛下。差し出がましいとは思いますが、そろそろ戻りましょう。スクルム様が心配します」
「――ああ、分かった。……じゃあ、さよなら。父さん母さん」
自分は恐らく母と同じところには行けない。だが父は案外、生業的にルベルが向かう場所にいるかもしれないなどと考えながら礼をして、ルベルは墓に背を向ける。
紅玉にもう、翳りはなかった。
――そして六年目の晩秋のこと。
その日はとうとうやって来た。
スクルムと宰相の手配で城は無血で開城される事となっている。だからニヴィアスは直にやってくる。外の騒がしさとは反対にルベルの心はとても静かだった。豪奢な鏡の前に立ち、すっかり着慣れた黒衣を纏う。
「――”鏡よ、鏡”……」
そうっと鏡に触れたルベルは呟くともなしに呟き、何でもないと首を振った。
やっとこの延長戦も終わりで未練はない。あとは粛々と賤しい簒奪者として正当な叛逆者を待つのみだ。
「――兄上」
「久しいな」
扉の向こうから男が現れる。
濡れ羽色の髪、黒檀のような瞳、抜けるような白い肌、林檎のような赤い唇をした男。
容姿は変わらずルベルと似ているが、声も変わりすっかり男らしくなった。
そんな弟の姿を見てルベルは喜び、少しだけ羨ましくも思った。城に残るよりは健やかに育った事が見える姿形を嬉しく思う。さあ、引導を引き渡してくれとルベルはニヴィアスを見つめるが――
「兄上、どうか降伏を。出来るだけ悪いようには致しません」
……甘い。
健やかに育ち過ぎたのか。ルベルは少しだけ眉を寄せた。
処刑のための降伏をと言うならば素直に頷いたが、その言葉に頷く事は出来ない。
賎しき簒奪者は討たれなければならない。
ルベルは煽る言葉を吐こうとして、ふと思った。
わざわざニヴィアスの手を汚してやる必要はないのではないか、と。
そう思い至った瞬間、ルベルは無意識のうちに剣を握っていた。それを見たスクルムやニヴィアスも、悲しそうに自らの剣を握る。そこで初めて自分が剣を握った事に気付き、二人の惜しむ様子を嬉しく思った。それだけで充分だとルベルは笑った。
笑って、自らの心の臓を刺し貫いた。
躊躇したら苦しみが長引くだけ。助かる芽があれば、ニヴィアスもスクルムも、きっとどうにかしてルベルを生かそうとする。半端に生き長らえていけないと、狩りの時と同じく、躊躇はしなかったつもりだった。だが、流石に自分に剣を向けたのは初めてだったからか、すぐの絶命とはならなさそうだった。
じわりじわりと趣味の悪い絨毯を赤い水が染め、吸い切れないそれが、水溜まりのように広がっていく。ただ、助からない程度には上手く出来ている。血に沈みゆくルベルの目には、驚き叫ぶニヴィアスと、目を見開いたまま動かないスクルムが見える。
血の赤に溺れて死ぬなんて、赤の名に相応しい最後かもしれないなあとぼんやりと思う。痛みは息をする毎になくなっていく。痛みは生きているという証だから、それをなくすということは、死を意味している。
それともうひとつ。今までは分からなかった感覚だが、王としもべ――ルベルとスクルムのその関係も、ルベルの生が失われていくのに比例して消えていくのが分かる。喪失と呼ぶのにふさわしい、不思議な感覚だった。
(よかった)
上手く出来た。慣れないなりに致命傷にはなっていたようで、ルベルは満足していた。
「兄上、どうして」
それをお前が知る必要はないんだ。
このまま黙っていれば直に死ぬ。哀しげに問うニヴィアスを無視して終わりを待つルベルだったが。
ねえ、まだ聞こえているでしょう。
寝たふりは止めなさい。
怒りの滲んだ声に、ルベルの意識は少しだけ引き戻された。無表情ではないものの、喜怒哀楽がはっきりしないスクルムが、今は憤怒の形相でルベルを見ている。
しかし、ルベルには何だか泣いているように見えた。
「どうして貴方がこうなったか、ここに至ったか、貴方の生きた道を。私は貴方を見てきました。だから、一人くらい……私くらいは、貴方にお供させていただきます。勝手に一人でなど、許しません」
スクルムは血の海に沈むルベルを詰り、ルベルの剣で自らを刺し貫く。
今度はルベルが目を見開く番だった。人外のはずの身体から、鮮血がほとばしる。
「馬鹿だ……」
雪が地を隠していくかのように、白くなっていく肌。それに煌々冴える紅玉の瞳がぐにゃりと滲む。
馬鹿だとルベルは小さく笑った。それが聞こえたらしいスクルムの顔が、不機嫌なものになる。馬鹿はどちらだと言わんばかりだが、馬鹿はお前だとルベルは泣きそうになる。
スクルムの想いや願いは何となく分かっていた。だが、人ではないものが人に近づいていたという状況が故に、スクルム自身、心の機微や、ルベルに抱く感情の正体は分かっていなかった。それでも少しずつ学んでいた。だからルベルはそれにスクルムが気づいてしまう前に、自棄のように血を浴び淫蕩に耽った。そして悪名は自分のせいだという風にして、いなくなるつもりだったのに。
でも。もう、こうなってしまえば。
もうこうなってしまえば、いっしょにつれていってもかまわないだろうか。それを言ってしまっても、かまわないだろうか。
ルベルはニヴィアスに申し訳なく思いながらも、慶んでいた。
「……なら、ついて来てくれ……」
「はい……我が君……すぐ、参ります」
ルベルのその言葉に悦んだスクルムは這いずるようにしてルベルの傍にきて、雪のように白く色の抜け落ちたルベルの手を握る。ルベルは精一杯の力を振り絞って握り返したが、スクルムに触れる度に感じていた、雪のような冷たさはもう感じる事が出来なかった。
命のぬくもりはもうルベルにはない。もしかしたら自分の手を握っているスクルムは、今までのルベルと同じ感想を抱いているかもしれないなと、想像するうちにきっと、同じ温度になっていく。まるでひとつになるかのように。
溺れる程に流れた血も、もうどちらのものか分からない。みるみるうちに何も見えなくなって、意識も、握った手の感覚も無くなっていく。
だが、繋いでいるという確信はあった。
ひとりで死ぬつもりだったのに。
道連れになどしたくはなかったのに。
それでもルベルは嬉しかった。
――”鏡よ鏡”
もう、なにも、いらない。
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