僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?

いちみやりょう

文字の大きさ
5 / 43

しおりを挟む
僕が部屋に戻っても起きている間はずっと父と母の口論の声が聞こえていた。

これが好かれる行動なのかは分からなけれど、間違いなく今までの自分とは違う行動であることは確かだった。
サイレンの音で目が覚めて、1階に降りると部屋の中はめちゃくちゃだった。
警察や救急隊員が入り込んできて怪我だらけの父と母を連れて行った。

僕は警察から事情を聞かれたけど、寝ていたから分からないと正直に話した。

翌朝学校に行くと、近所に住んでいる生徒が噂を流したのか、すでに僕の家で事件があったことは周知されていた。

「いじめなんかするからバチが当たったんじゃないのか?」

昨日僕に暴力を振るったうちの一人がそう声をかけてきた。

「僕は虐めなんてしていないけど」
「ああ。俺がその虐めの現場をカメラで押さえておけばよかったな~」

まるで現場を見たことがあるように言った目の前の男は、和樹とグルなのだろうと今になって気がついた。

「ああ。君は、隠し撮りが得意だもんね」
「なに……?」
「いくら隠し撮りが得意だからって、トイレに仕掛けるのはどうかと思うよ?」
「っ、そんなことっ、するわけねぇだろ!?」
「僕の勘違いかな。じゃあスマホ見せてよ」
「なっ、お前なんかに見せねぇよ!」
「そう」

こいつが大声で話すおかげで、話の内容は周りに筒抜けだ。
昨日と同じ状況で、「最低」、「キモすぎ」と周りからの援護が入った。
昨日と違うのはその援護が僕側だと言うことだ。
やっぱり今までと逆の行動をとるのは正解だったんだ。

「お、お前! 名誉毀損で訴えるぞ!!」
「いいよ。じゃあ、僕は盗撮行為で訴えるよ」
「俺はやってねぇ!!」
「じゃあ、スマホを今すぐ見せてよ」

周りからは「見せろ!」「この状況で見せられないとかガチじゃん」とか色々叫ばれて、しまいには昨日の僕のようにリンチに合っていた。

僕はリンチされている彼の横で、チキン南蛮定食を食べた。
昨日からやけに清々しい気分が続いている。
昨日の夜、母と話した時から、僕はスムーズに話ができるようになっていた。
僕の中で何かが崩れ去って、新しい何かが立ち上がったみたいな気分だった。

大衆とは単純なものだったらしい。
あれほど僕が欲していたものは、簡単に手に入った。
僕に話しかけてくる人が数人現れ始めた。

今まで青砥だけだった世界は広がった。
昼間は学校で楽しく過ごし放課後は病院に通う日々が半年は過ぎた。
青砥と和樹は相変わらず仲睦まじく生活している様子を見せつけてきた。
特に和樹は、僕が青砥の元彼だと言うことが相当気になるらしく、僕を貶めようと躍起になっているようだった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/01/23 19:00 アルファポリス版限定SS公開予定  累計で6300♡いいねと累計ポイント285000突破の御礼SSになります

処理中です...