8 / 43
7
しおりを挟む
朝日の光で目が覚めると、体はだるかったものの、服は乱れておらず昨日のことは全て夢だったんじゃ無いかと思った。けれど部屋にはフェルレントの匂いがしっかりと残っている。
「愛しい子」
「ふぇ!?」
「……君の前に姿を現せる日を私は楽しみにしている。だが、千景のヒートが終わりまたしばらくは声も聞こえなくなるかもしれない。けれど忘れないで、私はいつでも千景と共にいることを」
そうしてフェルレントの匂いがスーッと消えた。
死神が、自分と共にいることを宣言してきたら、怖いと思うはずなのに、僕はそれがひどく嬉しかった。だって、フェルレントは僕が生まれた時から好きだったと、ずっと見ていたと言っていた。僕はそんな風に愛されたことなんて両親からすらなかったから。
青砥と居た時だってこんなに満たされた気持ちになったことはなかったと、今になって気がついた。僕は青砥と居た時だってどこか不安を抱えていた。
けれどフェルレントの言っていたことは信じられる気がした。
青砥に振られてから4日しか経っていないのに僕はもう青砥のことを忘れて、昨日の夜会ったばかりのフェルレントが気になってしまっている。
だって、僕は子供の頃からずっと死にかけていた。
生きてることが奇跡なくらい、死にかけていた。
それは、フェルレントがずっと長い間僕に会いたいと思ってくれていた証拠だと思った。
つまり、僕がいつも死にかけていたのはフェルレントが僕を死の世界に引き摺り込もうとしていたからかもしれない。
世間一般的に許される行為なのかと聞かれれば、そうではないけれど、僕にとってはそれこそが真実のように感じた。
こんなのは僕の妄想でしか無い。
だから、フェルレントの声がまた聞こえた時は聞いてみようと思った。
その日は1日家で休んで、次の日からまた登校した。
「千景!!」
「青砥……? どうしたの? こんな朝早くから」
「千景の方こそどうしたんだよ、最近。話す相手が出来たみたいだけど」
「ああ。うん。実はそうなんだ。今まで僕に友達がいなかったから心配してくれていたの? ありがとう」
「ちがう! 俺は、今の状況を心配しているんだ! 千景みたいに不器用な子が友達なんか作ったってすぐ裏切られるよ?」
「そうかな。まぁ、そうだとしても良いんだ。どの道、1年もしたら青砥とも皆んなとも関わることはなくなるんだから」
「俺とはまた付き合うだろ? 勝手に離れていこうとするなよ」
青砥は、学校を卒業してみんなと離れる話をしているのだと思っているようだ。
「何言ってるの? 僕から先に離れて行ったのは青砥だよ」
「だから言ってるだろ!? 和樹は病気で長く無いから、その間だけだって! 俺には千景だけだよ」
今までだったら喜んでいたかもしれない言葉が、やけに癇に障った。
「ごめんね、青砥。僕はもう君とよりを戻す気はない。好きな人ができたんだ」
「は!? こんな短期間で!? そんなの俺、知らないし許してないけど」
「ふふ。なんで青砥の許可がいるんだよ」
「なあ。いい加減拗ねるのはよしてよ。優しい千景なら俺の気持ち分かるだろ?」
「いや、分からないや。ごめん」
「千景っ!」
学校だから人の目もあるしと、油断していたら青砥が怖い顔をして僕に手を伸ばしてきた。
「愛しい子」
「ふぇ!?」
「……君の前に姿を現せる日を私は楽しみにしている。だが、千景のヒートが終わりまたしばらくは声も聞こえなくなるかもしれない。けれど忘れないで、私はいつでも千景と共にいることを」
そうしてフェルレントの匂いがスーッと消えた。
死神が、自分と共にいることを宣言してきたら、怖いと思うはずなのに、僕はそれがひどく嬉しかった。だって、フェルレントは僕が生まれた時から好きだったと、ずっと見ていたと言っていた。僕はそんな風に愛されたことなんて両親からすらなかったから。
青砥と居た時だってこんなに満たされた気持ちになったことはなかったと、今になって気がついた。僕は青砥と居た時だってどこか不安を抱えていた。
けれどフェルレントの言っていたことは信じられる気がした。
青砥に振られてから4日しか経っていないのに僕はもう青砥のことを忘れて、昨日の夜会ったばかりのフェルレントが気になってしまっている。
だって、僕は子供の頃からずっと死にかけていた。
生きてることが奇跡なくらい、死にかけていた。
それは、フェルレントがずっと長い間僕に会いたいと思ってくれていた証拠だと思った。
つまり、僕がいつも死にかけていたのはフェルレントが僕を死の世界に引き摺り込もうとしていたからかもしれない。
世間一般的に許される行為なのかと聞かれれば、そうではないけれど、僕にとってはそれこそが真実のように感じた。
こんなのは僕の妄想でしか無い。
だから、フェルレントの声がまた聞こえた時は聞いてみようと思った。
その日は1日家で休んで、次の日からまた登校した。
「千景!!」
「青砥……? どうしたの? こんな朝早くから」
「千景の方こそどうしたんだよ、最近。話す相手が出来たみたいだけど」
「ああ。うん。実はそうなんだ。今まで僕に友達がいなかったから心配してくれていたの? ありがとう」
「ちがう! 俺は、今の状況を心配しているんだ! 千景みたいに不器用な子が友達なんか作ったってすぐ裏切られるよ?」
「そうかな。まぁ、そうだとしても良いんだ。どの道、1年もしたら青砥とも皆んなとも関わることはなくなるんだから」
「俺とはまた付き合うだろ? 勝手に離れていこうとするなよ」
青砥は、学校を卒業してみんなと離れる話をしているのだと思っているようだ。
「何言ってるの? 僕から先に離れて行ったのは青砥だよ」
「だから言ってるだろ!? 和樹は病気で長く無いから、その間だけだって! 俺には千景だけだよ」
今までだったら喜んでいたかもしれない言葉が、やけに癇に障った。
「ごめんね、青砥。僕はもう君とよりを戻す気はない。好きな人ができたんだ」
「は!? こんな短期間で!? そんなの俺、知らないし許してないけど」
「ふふ。なんで青砥の許可がいるんだよ」
「なあ。いい加減拗ねるのはよしてよ。優しい千景なら俺の気持ち分かるだろ?」
「いや、分からないや。ごめん」
「千景っ!」
学校だから人の目もあるしと、油断していたら青砥が怖い顔をして僕に手を伸ばしてきた。
108
あなたにおすすめの小説
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/01/23 19:00 アルファポリス版限定SS公開予定
累計で6300♡いいねと累計ポイント285000突破の御礼SSになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる