肉便器エンド!? それって最高じゃん

いちみやりょう

文字の大きさ
66 / 99

元バトラル視点6

しおりを挟む
「新しく見つけた仕事を全力で頑張る圭吾が好きだが、圭吾さえ良ければ、仕事を辞めて俺と一緒に暮らしてくれないか」

黒川さんは真剣な目をして僕にそう言った。

「え? で、でも」

仕事を辞めたら生活ができない。領民がいるわけでもないし、自分が動いて働かないと、食べることだってできない。黒川さんと一緒に住めるというのは魅力的だけど、仕事は辞めない方がよいと思った。

「俺は、自由に休みを取れる仕事じゃないし、急な呼び出しもある。だが、少しの間でも圭吾と一緒に居たいと思っている。俺の我がままだと分かってはいるが、頼む。もちろん、衣食住に不便な思いはさせないつもりだし、圭吾が好きな物をある程度買えるほどの甲斐性は持っているつもりだ」
「で、でも、その気持ちはとても嬉しいけど、黒川さんにばっかり負担かけられないよ。俺も、黒川さんと一緒に住みたい。だからもちろん一緒に住むのは賛成だけど、仕事は」
「癒しが欲しいんだ……」

ボソリと呟いた黒川さんの声は聞き取りづらかった。

「え?」
「もしも仕事が終わったのが昼だったら、圭吾が仕事してたら会えない。次またいつ呼び出されるかも分からないのに、そんなのは耐えられない。ここ最近もくそ忙し過ぎて圭吾不足だってのに。なぁ、頼む」
「お、お、俺不足って」

黒川さんの懇願というのがぴったりな哀れっぽい声は、忙し過ぎたという言葉を裏付けるようだ。黒川さんの必死な態度に僕は胸がドキドキしてきた。いまだかつてそんなに求められたことなんてない。
それも、それほどまでに求めてくれている相手は、僕の大好きな大好きな黒川さんだ。

「わかった」

気がついたらそう言って頷いてしまっていた。

「本当かっ、良かった。なら明日にでも……いや、もう今日か。すぐに圭吾の家に行って荷物をまとめよう」
「そんな、俺、1人でまとめられるし、ボチボチまとめて月末までには引っ越せるようにするよ」
「それじゃもう俺の気持ちが間に合わない。ほら、急ぐぞ」

黒川さんはそう言って、僕を席から立たせて、スマートに会計してあれよあれよといううちに、僕の住むアパートに居たし、着いてドアをしめた瞬間にはしっかりと濃厚なキスをお見舞いされた。けれどそれ以上そこで手を出されることはなく、黒川さんはテキパキと荷物をまとめ始めた。圭吾はもともと荷物をそんなに持っている方ではなかったみたいだし、僕も特に新しく買い足したものもなかったため、2人でやったら梱包はすぐに終わって、黒川さんがネットで明日の引っ越し業者まで手配を終わらせてしまった。

そうして荷物のなくなった部屋に寝かせるわけにはいかないと、黒川さんの部屋まで連れて行かれた。

「ここが、圭吾の部屋だ。家具も揃えておいたから好きに使ってくれ。気に入らないのがあれば買い換える」

なぜかすでに準備されていたらしい僕の部屋という部屋は、全体的に茶色や青色でまとめられており、お洒落だし、なんでも揃っているのですぐにでも快適に過ごせそうなほどだ。

「すごい……とても素敵な部屋をありがとう」
「気に入ったか?」
「うん。とても。とても素敵だよ」
「そうか。気にってくれたなら良かった」
「ありがとう」

黒川さんの住んでいるマンションは、4LDKもあって、2人で住むには十分すぎるほどの大きさだった。デザイナーズマンションというやつらしく、内装はとてもお洒落だ。だが、服は散乱している一角があるし、ゴミ袋に捨てられてはいるが、カップラーメンのゴミが目立つ。
黒川さんは、激務だと言っていたから、なかなか家のことに手が回らないのだろう。
それでも、最低限の清潔さはあって、黒川さんの見かけによらないマメさが垣間見えた。

しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

処理中です...