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委員長の父親は
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何枚かの扉を抜けてちょくちょく現れる敵を倒しながら進むと偉そうに椅子に座ったおっさんと眠らされているのか縛られた状態で横たわっている会長がいた。
「会長を返してもらおうか」
「ふん。まぁこんなやつ返してやってもいいが、まずは息子が先だ。こちらへ寄越せ」
おっさんはどこからその強気が出てくるのか分からないがドヤ顔でそう言い放った。
息子と言っているのでこいつが電話口で話した委員長の父親なのだろう。
「アホか。会長が先だ」
そう言うとおっさんはクスクスと笑い出し、しまいには大声でがはははと笑い出した。
「何笑ってんだよ」
「いや? ガキが粋がってるなと思ってな。確かにお前たちは喧嘩が強いかもしれない。だが、大人は喧嘩が強いだけじゃやっていけない」
「何が言いてぇ」
「君たちの親御さんはどう思うかな。私が圧をかければ君たちの親御さんは職を失うかもしれないね。君たちが愚かだったばっかりに」
おっさんがニヤニヤと意地の悪い笑い方でそう言ってきた。
だが、こいつの影響範囲が分からねぇし。
確かに叔父さんに迷惑がかかったりするのだろうか。
言葉に詰まると、横で忠次が息を吐いた。
「やりたければやってみてください」
「いいのかな? そんな事を言って。困るのは君のご両親だけではないんだよ」
「ええ。困るのはうちの親ではなくあなた方だけでしょうね」
「生意気な。そんなに強気なら君の名前を教えてもらおうか。調べる手間も省けるしな」
「私は結城 忠次。結城は母の旧姓です。本名だといろいろと不便で。本当の苗字は一条と言います」
「い……一条……? まさかとは思うが、君の……君の父親は一条」
「はい。一条 正次ですよ。市原 淳史さん」
忠次がそう言った瞬間、おっさんの顔はみるみるうちに青くなっていった。
「そ、そんな。君が……いや。あ、あなたが。息子の学校にいると知っていたならこんなことは」
「私が居るか居ないかではなく、このようなことを起こされると困りますね。おそらく今回の事態の責任はあなたも、そして、息子さんにも取っていただくことになるかと思います」
「そんなっ。お願いします。私には妻も! この子以外の子供もいるんです!! お願いです! 見逃してください!!」
おっさんは忠次の足に必死にしがみ付きながら懇願した。
そんなおっさんに忠次は微笑みを返し、おっさんは一瞬ホッとした顔をした。
「見逃すなどできませんよ。あなた方のような人間が傘下にいると、私たちが迷惑を被ることになるんです。堅気には絶対手を出さない。このような簡単なルールも守れないようなものはうちには必要ありません」
「そんな……」
「明日にでも父から沙汰が来るでしょう。逃げようなどとしても無駄であることは説明しなくても分かると思いますが。まぁ、逃げたければ是非逃げてみてください」
「ひっ」
忠次の笑った顔におっさんは怯えたように声を出してそれっきりうなだれ、触ったら砂になってしまいそうだった。
忠次の家って相当やばいヤクザなのか?
だが俺の方をチラリと確認した忠次の顔はいつも通り優しげで、だから俺も笑顔で返した。
忠次は少しホッとした顔をした気がした。
「会長を返してもらおうか」
「ふん。まぁこんなやつ返してやってもいいが、まずは息子が先だ。こちらへ寄越せ」
おっさんはどこからその強気が出てくるのか分からないがドヤ顔でそう言い放った。
息子と言っているのでこいつが電話口で話した委員長の父親なのだろう。
「アホか。会長が先だ」
そう言うとおっさんはクスクスと笑い出し、しまいには大声でがはははと笑い出した。
「何笑ってんだよ」
「いや? ガキが粋がってるなと思ってな。確かにお前たちは喧嘩が強いかもしれない。だが、大人は喧嘩が強いだけじゃやっていけない」
「何が言いてぇ」
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おっさんがニヤニヤと意地の悪い笑い方でそう言ってきた。
だが、こいつの影響範囲が分からねぇし。
確かに叔父さんに迷惑がかかったりするのだろうか。
言葉に詰まると、横で忠次が息を吐いた。
「やりたければやってみてください」
「いいのかな? そんな事を言って。困るのは君のご両親だけではないんだよ」
「ええ。困るのはうちの親ではなくあなた方だけでしょうね」
「生意気な。そんなに強気なら君の名前を教えてもらおうか。調べる手間も省けるしな」
「私は結城 忠次。結城は母の旧姓です。本名だといろいろと不便で。本当の苗字は一条と言います」
「い……一条……? まさかとは思うが、君の……君の父親は一条」
「はい。一条 正次ですよ。市原 淳史さん」
忠次がそう言った瞬間、おっさんの顔はみるみるうちに青くなっていった。
「そ、そんな。君が……いや。あ、あなたが。息子の学校にいると知っていたならこんなことは」
「私が居るか居ないかではなく、このようなことを起こされると困りますね。おそらく今回の事態の責任はあなたも、そして、息子さんにも取っていただくことになるかと思います」
「そんなっ。お願いします。私には妻も! この子以外の子供もいるんです!! お願いです! 見逃してください!!」
おっさんは忠次の足に必死にしがみ付きながら懇願した。
そんなおっさんに忠次は微笑みを返し、おっさんは一瞬ホッとした顔をした。
「見逃すなどできませんよ。あなた方のような人間が傘下にいると、私たちが迷惑を被ることになるんです。堅気には絶対手を出さない。このような簡単なルールも守れないようなものはうちには必要ありません」
「そんな……」
「明日にでも父から沙汰が来るでしょう。逃げようなどとしても無駄であることは説明しなくても分かると思いますが。まぁ、逃げたければ是非逃げてみてください」
「ひっ」
忠次の笑った顔におっさんは怯えたように声を出してそれっきりうなだれ、触ったら砂になってしまいそうだった。
忠次の家って相当やばいヤクザなのか?
だが俺の方をチラリと確認した忠次の顔はいつも通り優しげで、だから俺も笑顔で返した。
忠次は少しホッとした顔をした気がした。
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