僕はナイチンゲール

いちみやりょう

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どこを好きに

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その日の夜も約束通り咲夜様は食事を持って現れた。
まだ湯気も出ている暖かそうなハンバーグにはケチャップがかけられていた。

「ほら、食え」

そう言って一口サイズに切り分けたハンバーグを口元まで運ばれたので口を開けた。
口の中に入ったハンバーグはケチャップがかかっているはずなのにやはり味はしなかった。

こんな味のしないものどうやって作っているんだろう。

「うまいか」
「……はい、ありがとうございます」

そう答えると咲夜様は満足そうに笑った。
食べ終わっても咲夜様が小屋を出ていかないので不思議に思っていると、服を捲し上げられて胸を触られた。

「ちょ、っと。やめてくださいっ」
「なぜだ」
「咲夜様には梨乃様がいらっしゃるでしょう?」
「何だ。まだ嫉妬しているのか。言っただろう、俺はお前が大事だと」
「僕は……こんなのは嫌です」
「お前は俺が好きだと言ったろ」
「梨乃様がいらっしゃる前の話です、僕はもう」

僕がそう言うと咲夜様はあからさまに大きなため息をついた。

「言っても聞かないんじゃ仕方ない。なぁ、俺はお前が好きなんだ。お前はどこにも逃しやしない」
「何をっ、やめてください!! 咲夜さまっ」

咲夜様の目は虚で、もはや僕のことなど見えていなそうだった。
乱暴な手つきで僕の服を剥ぎ取って両手をお腹の前で組まされてガムテープでぐるぐる巻きに固定された。
体を弄られて、その手はすぐに後孔に伸びてきた。

「ぁ、ぃゃだ! ぁ……咲夜様っ、いや!」

今日ははなからそのつもりでここに来たのかローションを取り出したのが見えて、すぐにそれを後孔に塗られて中を指で広げられた。
指は増やされ抜き差しされてすぐに熱い大きな塊が入り込んできた。

「っ……ぁあああっ!! やだっ、咲夜様、お願いっ、抜いて……ぁぁあ、んん」
「嫌そうには見えないな」
「やだっ……んぁあっ、嫌なんですっ、ぁあ、お願い、おねがい、です……っん」
「だめだ。お前は俺のものなんだから、言う通りに抱かれてろ」
「ぁ、やだ、ぁああ、ぁ、ゃだぁ」
「ちっ。あんまりヤダヤダ言ってるとガムテープで口、塞ぐぞ」
「ひっ……ぅぁ……、ぁ、ん」

自分でも何でこんなに嫌だと思うのか分からなかった。
だって僕は咲夜様の心が癒せたらそれで良いと思っていたのに。
今だって、こんな行為で咲夜様が癒せるならそれで良いと思わないといけないのに、どうしても心が追いつかなかった。

「くっ……イク。出すぞっ……」

その言葉で僕はハッとした。中に出されたらだめだ。

「まっ、だめです! 中はぁ、んぁ、だめ! ぁぁ、出来ちゃうから! 赤ちゃ、出来ちゃうから」
「ははっ。お前、気持ち良すぎて頭おかしくなったのか? 出来るわけねぇだろ」

咲夜様が僕を見下ろして冷たい顔で笑った。



「……違う! 僕はっ、んっぁ、旦那様に……あぁぁ、妊娠出来る体になる薬を……ぁあ飲まされたんです」
「なに?」

そこでやっと咲夜様の動きが止まった。

「本当です……。でも今は梨乃様がいらっしゃるから、子供ができたらここから追い出されてしまうんです」

咲夜様は僕が嘘を言っていないのかどうかを見極めようとするように僕の目をジッと覗き込んだ。

「はっ……なら……孕め。安心しろ。お前は一生ここで飼ってやるから」
「っ!? んぁぁあ……まって……やだっ」

咲夜様はまた動き始めた。
咲夜様が満足するまで揺さぶられ、僕はいつの間にか気を失ってしまっていたらしい。
目が覚めると朝になっていた。

ジャラ

足に違和感を感じて起き上がろうとすると鎖の音がした。

「なに……これ……」

見てみると僕の足には鎖が付けられてそれが小屋の柱に繋がっていた。

「何でこんな……」

昨日、咲夜様は僕を逃しやしないと言った。
だけど、その方法がこんな方法だなんて……。

そのあと、小さな小屋のどこまで移動可能なのかと動いてみると、小屋の隅っこにかろうじて設置されたトイレまでは行けた。
けれど、小屋の外には出られなかった。

『孕め』

昨日咲夜様から言われた言葉が耳に響く。
僕は全身に鳥肌が立つのがわかった。


……嫌だ。

僕は、咲夜様の子供など産みたくない。

何で。咲夜様の子供なら産みたいと思っていたはずなのに。

今はゾワゾワと嫌悪感だけがこみ上げてくる。

僕は、咲夜様のどこを好きになったんだっけ。
どれだけ考えてもそれが思い出せなかった。
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