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7 雷帝家のサネユキ
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「あのおじいさん感じ悪いね」
話を聞き終わり家を出てからケイがうげぇと言う顔で言った。
「お前もそう思うか?」
「思うよそりゃあ。だって、別に僕はキオウに使役されているわけじゃないし」
「はは。そうだな」
「それで、その本には何が書いてあったの?」
シオの家から借りてきた、ダンダーの読んでいた本を指してケイは首を傾げた。
「ああ。こいつは妖怪を使役するときに使う召喚の方法とか、そう言ったものが書かれているな」
「えー。じゃあやっぱり、あのダンダーってやつも嫌なやつなんだ」
肩を落としたケイの頭をポンポンと叩いたキオウは口の端を上げた。
「まぁそんなガッカリすんな。話を聞いてみねぇと分かんねぇだろ?」
「でも僕を使役しようとするかも」
「そんなこと俺が許すわけないだろう? 安心しろよ」
「うん」
街の喧騒の中では、キオウがケイと話していても誰もキオウに気を止めない。
(瘴気にあふれたこの街じゃなければ、のんびり歩いて楽しめたかも知れないな)
「あれー? キオウじゃないかぁ。久しぶりだなぁ」
キオウの前には、どこかキオウに面影に似た男が立ち塞がり、キオウをニヤニヤと見下すように見ていた。有名な陰陽師の家系である雷帝家の家紋の入った服を身につけている。
「ああ……。サネユキか。久しぶりだな」
キオウは目を細めそれだけを答えると、サネユキを避けるように1歩ずれて先を行こうとした。
「まぁ待てよ。本当に久しぶりなんだ。話でもどうだ?」
「生憎、俺たちは依頼でこの街にいるんでね」
「へぇ。俺“たち”ね。その連れているのは妖怪だろう?」
「そうだが、見て分からなかったか?」
「お前は相変わらず生意気だな。人間とは仲良くできないから、妖怪と仲良しごっこか? 半妖野郎」
「ああ、確かに俺の血は半分は妖怪だが、お前よりは雷帝家本家の血が流れてる」
「っ! ……ふんっ、破門されてりゃ、本家の血がどれだけ入っていようが関係ないね!」
「雷帝家を破門になっても、半妖だとしても、普通に生きていく分の金ならちゃんと依頼者からもらってるさ」
「っ生意気なことばかり。まともな依頼料も貰えないくせに!」
サネユキの言葉にキオウが何一つ意に介した様子がないのを見て、サネユキはギリギリと奥歯を慣らした。
「そうか。話が終わったのならもう俺たちは行っていいか?」
「ああ、そうやって平和そうな顔をして生きていけるのも今のうちだ。妖怪に肩入れなどしなければよかったと死ぬほど後悔することになるぞ。まぁ、お前は妖怪だから肩入れも何もないかもしれないがな!!」
サネユキはキオウを指差し捨て台詞を吐きながら、キオウたちが歩いてきた道に消えていった。
流石に今の騒ぎで周りからは遠巻きに見られ、キオウは嫌な注目を浴びていることに気がついた。
(まいったな)
「こっちに来て」
「あ、おい」
急に手を引いてきたのはダンダーだ。
ケイも慌ててついてきた。
キオウが手を引かれるままについていくと、人気のない場所まで着いた。
「えっとー、助けてくれた?」
「別に助けたわけじゃないですけど」
キオウは何と言ったら良いのか分からず頬をかきながら一度天を仰いだ。
「いや、まぁ、助けたつもりはなくても助かった。ありがとうな」
「別に」
ダンダーがキオウから顔を逸らし呟いたのを見てキオウは思わずぷぷと吹き出した。
話を聞き終わり家を出てからケイがうげぇと言う顔で言った。
「お前もそう思うか?」
「思うよそりゃあ。だって、別に僕はキオウに使役されているわけじゃないし」
「はは。そうだな」
「それで、その本には何が書いてあったの?」
シオの家から借りてきた、ダンダーの読んでいた本を指してケイは首を傾げた。
「ああ。こいつは妖怪を使役するときに使う召喚の方法とか、そう言ったものが書かれているな」
「えー。じゃあやっぱり、あのダンダーってやつも嫌なやつなんだ」
肩を落としたケイの頭をポンポンと叩いたキオウは口の端を上げた。
「まぁそんなガッカリすんな。話を聞いてみねぇと分かんねぇだろ?」
「でも僕を使役しようとするかも」
「そんなこと俺が許すわけないだろう? 安心しろよ」
「うん」
街の喧騒の中では、キオウがケイと話していても誰もキオウに気を止めない。
(瘴気にあふれたこの街じゃなければ、のんびり歩いて楽しめたかも知れないな)
「あれー? キオウじゃないかぁ。久しぶりだなぁ」
キオウの前には、どこかキオウに面影に似た男が立ち塞がり、キオウをニヤニヤと見下すように見ていた。有名な陰陽師の家系である雷帝家の家紋の入った服を身につけている。
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「まぁ待てよ。本当に久しぶりなんだ。話でもどうだ?」
「生憎、俺たちは依頼でこの街にいるんでね」
「へぇ。俺“たち”ね。その連れているのは妖怪だろう?」
「そうだが、見て分からなかったか?」
「お前は相変わらず生意気だな。人間とは仲良くできないから、妖怪と仲良しごっこか? 半妖野郎」
「ああ、確かに俺の血は半分は妖怪だが、お前よりは雷帝家本家の血が流れてる」
「っ! ……ふんっ、破門されてりゃ、本家の血がどれだけ入っていようが関係ないね!」
「雷帝家を破門になっても、半妖だとしても、普通に生きていく分の金ならちゃんと依頼者からもらってるさ」
「っ生意気なことばかり。まともな依頼料も貰えないくせに!」
サネユキの言葉にキオウが何一つ意に介した様子がないのを見て、サネユキはギリギリと奥歯を慣らした。
「そうか。話が終わったのならもう俺たちは行っていいか?」
「ああ、そうやって平和そうな顔をして生きていけるのも今のうちだ。妖怪に肩入れなどしなければよかったと死ぬほど後悔することになるぞ。まぁ、お前は妖怪だから肩入れも何もないかもしれないがな!!」
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「こっちに来て」
「あ、おい」
急に手を引いてきたのはダンダーだ。
ケイも慌ててついてきた。
キオウが手を引かれるままについていくと、人気のない場所まで着いた。
「えっとー、助けてくれた?」
「別に助けたわけじゃないですけど」
キオウは何と言ったら良いのか分からず頬をかきながら一度天を仰いだ。
「いや、まぁ、助けたつもりはなくても助かった。ありがとうな」
「別に」
ダンダーがキオウから顔を逸らし呟いたのを見てキオウは思わずぷぷと吹き出した。
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