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13 嫌い……?
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アパートの前の一応、桜介の部屋に割り当てられている駐車スペースにスーッと駐車した蓮は、桜介がお礼を言って降りるのと一緒に車を降りた。
「あっお茶でも飲んでいく?」
送ってくれた人への礼儀として、桜介がそう尋ねると、蓮は「ああ」とうなずいた。
時刻は深夜2時を回っている。
桜介は先ほどの車内の無言の気まずさに、蓮は寄って行くことはないだろうと鷹を括って聞いた、言わば社交辞令のような言葉だったので、連の了承の返事に驚いた。
けれど、了承されたからにはと部屋へ先導して歩き、蓮を居間へと座らせてからお茶を準備した。
「はい、うち今麦茶くらいしかないけど」
「いや、十分だ」
「あ、酒ならあるけど、飲む?」
「俺はあと4時間もしたら出勤だ。麦茶でいい」
「そっか。明日仕事なんだ。それなら早く帰んなゃだね」
桜介は、少し寂しさを感じながらも、それを隠すようにニコリと笑った。
なんの気無しに、ベッドに腰掛てぬいぐるみの“レン”を抱き抱える。
ふわふわしたその感覚は、桜介の寂しさを幾分か埋めてくれるようだった。
「昨日」
「ん?」
静かな時間の中、蓮が唐突にそう言って、桜介は自分が眠りかけていたことに気がついた。
「昨日の夜、桜介に彼氏が出来たら俺に教えるって言ってたの覚えてるか?」
「え、俺そんなこと言ったっけ?」
そう尋ねてから朧げな記憶の中を探ると確かにそんな事を言ったような気がした。
「言ったんだよ」
「そ、そっか。うん……でも、そうだね、出来たらちゃんと紹介するよ」
「……なんでだろうな。俺は、そうなった時のことを想像するだけではらわたがにえくり変えるんだ」
「え……?」
「桜介が誰かと交際すると考えただけでイライラするんだよ」
蓮は麦茶の入ったコップを睨みつけながら忌々しそうにそう言った。
「それは……蓮さんは、俺のこと自分の子供みたいに思ってくれてるから」
そう、それは多分、娘を嫁に出す父親の気持ちを持ってくれているのではないのだろうか。
恋愛感情はなくともそう言った情を桜介に対して持ってくれているのではないのだろうか、と期待した。
「違う。これは多分違うんだ。俺はお前以外にも補導したり世話焼いた子供なんていっぱいいる。だが、そいつらが結婚したりすんのは俺にとって喜ばしいことなんだよ。なのにお前のことだけは喜べない」
ズキと心臓をひと刺しされたような感覚が走った。
門出を喜んでもらえないほどに嫌われていたのだと今、初めて知ったからだ。
だけれども、蓮がそう思うのも当然のことなのかもしれない、と、桜介は思った。
男が男に好きだと告白されて、それでも今までと変わらない付き合いを続けてくれるはずなんて、普通はないのではないだろうか。
腕の中の“レン”をギュッと抱きしめてその胸の痛みやり過ごそうとした。
そうしないと、手先はブルブルと震えて蓮に動揺を悟られそうで怖かった。
「あっお茶でも飲んでいく?」
送ってくれた人への礼儀として、桜介がそう尋ねると、蓮は「ああ」とうなずいた。
時刻は深夜2時を回っている。
桜介は先ほどの車内の無言の気まずさに、蓮は寄って行くことはないだろうと鷹を括って聞いた、言わば社交辞令のような言葉だったので、連の了承の返事に驚いた。
けれど、了承されたからにはと部屋へ先導して歩き、蓮を居間へと座らせてからお茶を準備した。
「はい、うち今麦茶くらいしかないけど」
「いや、十分だ」
「あ、酒ならあるけど、飲む?」
「俺はあと4時間もしたら出勤だ。麦茶でいい」
「そっか。明日仕事なんだ。それなら早く帰んなゃだね」
桜介は、少し寂しさを感じながらも、それを隠すようにニコリと笑った。
なんの気無しに、ベッドに腰掛てぬいぐるみの“レン”を抱き抱える。
ふわふわしたその感覚は、桜介の寂しさを幾分か埋めてくれるようだった。
「昨日」
「ん?」
静かな時間の中、蓮が唐突にそう言って、桜介は自分が眠りかけていたことに気がついた。
「昨日の夜、桜介に彼氏が出来たら俺に教えるって言ってたの覚えてるか?」
「え、俺そんなこと言ったっけ?」
そう尋ねてから朧げな記憶の中を探ると確かにそんな事を言ったような気がした。
「言ったんだよ」
「そ、そっか。うん……でも、そうだね、出来たらちゃんと紹介するよ」
「……なんでだろうな。俺は、そうなった時のことを想像するだけではらわたがにえくり変えるんだ」
「え……?」
「桜介が誰かと交際すると考えただけでイライラするんだよ」
蓮は麦茶の入ったコップを睨みつけながら忌々しそうにそう言った。
「それは……蓮さんは、俺のこと自分の子供みたいに思ってくれてるから」
そう、それは多分、娘を嫁に出す父親の気持ちを持ってくれているのではないのだろうか。
恋愛感情はなくともそう言った情を桜介に対して持ってくれているのではないのだろうか、と期待した。
「違う。これは多分違うんだ。俺はお前以外にも補導したり世話焼いた子供なんていっぱいいる。だが、そいつらが結婚したりすんのは俺にとって喜ばしいことなんだよ。なのにお前のことだけは喜べない」
ズキと心臓をひと刺しされたような感覚が走った。
門出を喜んでもらえないほどに嫌われていたのだと今、初めて知ったからだ。
だけれども、蓮がそう思うのも当然のことなのかもしれない、と、桜介は思った。
男が男に好きだと告白されて、それでも今までと変わらない付き合いを続けてくれるはずなんて、普通はないのではないだろうか。
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