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好きになってはダメな人でした
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しおりを挟むどうして電話に出なかったのか?
その答えはとても簡単で「電話になど出る暇がない」からだ。
パパとママが私が居ない間に一体何をしているかを私は知っているから、それを
思えば到底無理だという事は分かる。まあナニをしている訳である。
だからといってそれを咎めるだとかなんだとか言う意味も必要もない、だってそ
れが貴族というものなのだと教えられて育てられたのだ私は。そんな訳でそこに
対する嫌悪感だとかは全くと言っていい程なかったし、別に好きにすればいいと
すら思っていた。そう、好きにすればいいのだ。私だって好きにするのだから。
私の場合は恋愛に興味がある系女子なので、セックスが気持ちいいだとかなんだ
とか言われてもじゃあやってみようなんて思考にはならないのだ。そんな事より
も恋愛がしてみたいのである。誰かを好きになるという感覚を味わってみたいと
常日頃から想っている。恋に憧れる系女子なのだ。
どうして私がそれに拘るのかと言えば間近で二人を見ていたからだろう。
それが一体どんな感覚なのかという方に興味を持つ事になってしまったきっかけ
だった。二人が夫婦というにはあまりにも歪な関係性だという事に気が付いたの
は最近の事ではあったけど、それでもやはりこの人達の間には愛情だとかいうも
のが一切存在していないのではないかと思えて来る。
パパが私に対するようにママへ興味を持っているなんて所を私は見た事がないし、
ママもママでパパの対する行動はいつだって興味を持っているとはとうてい思え
ない。あるとすればそれは義務感ぐらいなものだろう。だからいつも受け答えは
しても、そこには感情なんてものを感じられない最低限の返事だけなのだ。
そんな関係でもこの二人は夫婦だという。
好きでなくても結婚は出来るし、愛していなくたって夫婦ではいられるというの
は何か私には納得出来ない所であった。だからこそ私は恋愛に興味をそそられた
し、誰かを好きになってみたいと思うようになったのだ。
そう、それはきっととてもスペシャルで特別な事。
恋をするというのは今までの私とは全く違う私になれるんじゃないかと思ってい
る。否、なるのだという予感が私にはあった。それ程までに恋は人を変えるもの
なのだと私は信じて疑わない。
例えそれがどんな相手であってもそれは変わらない。
角刈り襟足長めが相手だったとしても変わりはしないだろうし、ピンク色のハゲ
だとしても同じである。恋に容姿なんて関係はないし、ましてや身分の差さえも
越えるものなのかもしれない。
年齢も時間も、銀河も次元さえも越えて行く。
そんな恋をしてみたい系の女子の私はどうにか我が家へと帰って来た。
長かった道のり、まったくどいつもこいつも全員殺してやりたいと思ってしまう
くらいに大変だったからついついいろいろと考えてしまった。嗚呼、なんてギャ
ラクシーなのだろうか。
別の事を考えていれば時間なんてすぐに過ぎてしまうとかいうけれど、この身体
に蓄積された疲れは無かった事にはならないのならあまりいい方法ではないので
はないだろうか。でもまあ、その事が知れたというだけでよかったと考える事に
しよう。そうでもないと割が合いそうにない。
「ただいま」
そして私はこの後知るのだ、恋というものを。
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