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好きになってはダメな人でした
おまけ
しおりを挟む私は分かっている、自分という存在がどういう風に扱われるのかという事を。
それは自分にはどうしようも出来ない事なのだから、それならばその範囲で出来
る限りの事を、利益を得ようと考えたのは商家に生まれた娘としては正しい判断
だったと思うのだ。
父にとって私は道具でしかない。
もしも私が男ならば違ったのかもしれないと考えた事もあったが、よくよく考え
てみればそんな事もないと今は分かっているのだ。この人にとって信用出来る者
などこの世には存在しないし、父にとって唯一信頼たるものはお金である。
どうしてそうなのかなんて知らないけれど、今更誰に何を言われた所で変わる事
などないであろうその考えを私は嫌いにはなれなかった。実際に結果を残してい
るという事が何より間違ってはいないという事の証明になっていたから私は貫く
という事の大事さを知った。
だから一人目も次の双子もまったくもってマグロニアには似ていなかった。
当然だ、どちらも子種が違うのだから当然の事ではある。でもそんな事など彼が
気にするはずもない、だって彼もそういう人間でただただ私達に興味がないとい
うだけの事でしかない。
それはそれでいいのだと思う。
彼は商会の為に、父の為に存在しているのだから。そんな人なのだから私達に何
か情のようなものを持っているなんて事があるはずもないと思っていたのだ。
「一体どういう事なんだ? 」
だからマグロニアにそう聞かれた時に私は彼が何を言っているのかが理解出来な
かったのだ。
「何を今更、ロニアもフミアもジニアもみんな違うに決まってるでしょ。
何処にアナタと同じ要素があるっていうのよ」
当たり前の事をどうしてきく必要があるのだろうか?
「俺は自分の子供だと思っていたのに、なのにどうしてこんな……お前も俺を裏切
ったのか! 」
裏切ったなんて心外だった。
そもそも私達の間に信頼関係が成り立っていたような口ぶりがなにより腹立たし
い。そんなものがあるはずがないではないか何をいっているんだ、馬鹿なのか?
「何処のどいつだ? 」
そんな事を教えた所でマグロニアが知っている相手ではないのだから、何の意味
があるというのだろうか?
「何? 父親の事? 父親はアナタよ。だってそう申請したんだから」
「ふざけるな! これ以上俺を怒らせるんじゃない、もっとよく考えてから答える
べきだとは思わないのか、フネ? 」
あ、でも会って居るのかもしれないのか、結婚式の時に。
だとしてももう教える必要はないだろう、私はこの瞬間に離婚を決めた。
損切は早めにするべきなのだ。
「わかったわ、別れましょう。仕方がないわ、アナタはもう使えない人になってし
まったのだから。父には私から言っておいてあげる。それぐらいは私がしてあげ
るから、もういいでしょ? 」
まあ、今までの成果を考えればそれぐらいはしてあげてもいいと思う。そもそも
マグロニアを結婚相手に選んだの父なのだから受け入れてくれるだろう。でもそ
れ以上はない、所詮は道具にすぎなのだから。
「ああ、もういい。よく分かった。お前達はもう何もしなくていい。これからは俺
が全てやることに決めたよ。もううんざりなんだお前達父娘には」
「何を言っ て へ? 」
こうやって父も殺されたのだろうという事だけは理解出来た。
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