30 / 425
夏の思い出
1
しおりを挟むちり~んと風がガラスを鳴らした。
まどろみの中でその音がなんとなく気になりながらも瞼は重く、このままスーっ
と眠りに落ちてしまいそうだったのに。そんなタイミングで彼はやって来る。
いつだって突然だから連絡くらいしてと言ってはみるものの、それに何の意味も
無いって事は知っている。私も彼の性格は理解しているからそれ以上は何も言わ
ないのが二人のいつものやりとりなのだ。
お決まりの台詞。
でもそれが私達の挨拶みたいなもので、なにより心地いい。
彼のこういう所が私は何よりも好きで、いつもいいなって思う所なのだ。
「最近どう? 」
そして雑な質問をしてくる彼に私はつい笑ってしまう。
彼みたいなタイプが周りにいないのでこの感じがくすぐったくなってしまうのだ。
「そうね、あまり他人に気をつかわなくなったかな」
私は自らが率先して何かをするようなタイプではないから、常に周りに気を配り
ながら生活してきたけどそれを止めたのだ。以前はよく好きでもないものを好き
だと言ってみたり、別に欲しくもないものを買ってみたりと他人に合わせた行動
をとる事が多くて結局後悔する事が多かった。
だから最近は無理に他人に合わせる事をしないように心がけている。
最初は驚かれたりしたけれど、一回目を乗り越えてしまえば後はもう問題なく
受け入れて貰えた。というか相手にされなくなっただけかもしれないけれど、
無意味な会話をせずに過ごせる日常はあまりにも清々しい気分である。
「ほら見てよ、結構この部屋って広かったのよ」
だからいろいろと身の回りの整理が出来た。
必要なものとそうでは無いものを分けるのは意外と簡単で、それでもそこそこの
量になってしまったけどどうにか片付いた。売るという選択肢もあったけど、
やはりこういうのは捨てた方が気分がいいという事も分かったのは意外な収穫で
もあった。
処分をしたという感覚は私の中で確かに自信に変わった。
エミコが好きなブランドのコスメとかポーチだとか、洋服もそうだし未だに何が
いいのか理解出来ないアイドルグッズに何処が面白いのか分からないが話を合わ
せる為に買っていた本だとかを捨てるという行為は何よりも贅沢な事だ。小銭を
貰っても決して得られる満足感ではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる