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フラグ
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しおりを挟む「ロッペンという奴はどいつだ? 」
突然現れたその男は顔に深い切り傷があり、いかにも屈強そうに見えた。
そしてその鎧にはコンドルのマークがついており、その存在を示していた。
この戦場で一番力を持っているコンドル騎士団の命令に逆らえる者などこの場に
は誰もいない。
「団長、連れて来ました! 入れ」
何が何だかよく分からないまま、俺は男の後をついて歩きそして言われた通りに
天幕の中へ入ればそこには男が一人居た。
「昨夜はいい酒だったな。どうだ、よく眠れたかロッペン? 」
モーリス。昨夜一緒に盃を交わした男。
確か故郷には母親と病気がちの妹がおり、その妹の為の薬代を稼ぐためにここへ
やって来たと言っていた。その話に俺は単純に良い奴だと思ったし、生き残って
欲しいと思った。
「俺の頼みなら何でもきいてくれるよなロッペン? 」
だから俺は言ったのだ。「お前の頼みならきいてやる」と「お前のような奴は
生き残るべきだ」と。それは確かに言った、言ったがでもそれは酒が入っていた
からだし、そんなつもりは……
「なに簡単な事さ、俺の代わりに馬に乗って走り回ってくれればそれだけいいんだ。
簡単だろ? 馬に乗るのは得意だって言っていたよな? 」
無理だとは言えないし、断れる状況でもないという事は分かった。
そもそもここへ連れて来られる時にある程度の予想はあったのだ、俺の命はもう
長くはないと。だからこそ聞いておきたい事があった。
「分かった。やるよ。それであの話は本当なんだよな? 」
「人は嘘を吐く。戦場ではそういう奴が生き残るものさロッペン。
最後まで気を抜くなんて事をしてはいけない」
そう答えたモーリスはとても機嫌がよさそうに見えたがこちらはそうではない。
「クソ野郎だなお前は」
だから言ってやった。思った事をそのまま言ってやった。
どうせ早いか遅いかの違いでしかないのならばもうどうでもいい。
「その威勢のよさは必要だ。何せ俺の代わりをやってもらうんだからな。
簡単に死んでもらっても困るし、この作戦の意味がなくなってしまう。
だから許そうじゃないかその暴言。この俺に対してそんな事を口にして何事も
無かった奴なんてお前ぐらいだ、誇ってくれ。もう十二分に結婚条件は満たして
いるかもしれないが流石に目に見えた成果は必要だろ? 」
その時のモーリスの目はガラス玉のように濁りも無く透き通っていて、これが
戦場で生き抜いて来た者の目なのだと思ったし、そんな目に俺はなれないのだと
いう事はすぐに理解した。生きている場所が違ったのだ。
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